「「魂の結びつき」?」流浪の月 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
「魂の結びつき」?
「流浪の月」この寂しげなタイトルは、そのまま文と更紗の心情を表しているようだ。ずっと悲しみと痛みを抱えてきた二人だが、その本当の気持ちは実はよく理解できない。二人が10歳と19歳の時の「誘拐事件」がすべての始まりである。その真相は何だったのかは二人にしか分からない。警察をはじめ世間一般はロリコンの変態男がいたいけな少女を自宅に監禁して弄んだ、という風にしか見ない。少女が男から離れたがらなかったのは、一種のマインドコントロールを受けたからだと見る。確かに自分もそういう週刊誌的な見方を面白がるだろうと思ってしまう。しかし実際はそうではなく、同じ心を持った者同士が共感しあい、お互いを大切に思う純粋な「人間愛」で結ばれていただけではないか。しかし「ロリコン」などと決めつけなくても、二人の間に「性愛」のようなものがあっても全然いいと思うのだがそれはないという事らしい。
大人になって再会した時も、あの時と同じ心持なのに気づく。何を考えているのかよく分からないが、更紗の「自分のせいで文を苦しめてしまって申し訳ない」という気持ちと、文の「自分にはもう関わらない方がいい」という気持ちは素直に心に響く。
二人の関係性は、最後までよく分からないのだが、男と女を超えた「魂の結びつき」というやつかもしれない。しかしもう少し日常的な感覚でもいいのではないかと思ってしまう。松坂桃李と広瀬すずはこの特異なキャラクターで明らかに新境地を開いた。今後の活躍が楽しみな二人だ。
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