「慣れた方がいろいろと楽でしょ」流浪の月 まめこさんの映画レビュー(感想・評価)
慣れた方がいろいろと楽でしょ
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最近映画を見る時、台詞を気にすることが増えました。
前半、サラサが話す「慣れた方がいろいろと楽でしょ」を聞いた時、サラサを表す一言だと感じました。
その瞬間にこの物語に入り込めた気がします。
根底にあるテーマは、私の解釈では、『人の気持ちは、自分以外には、絶対にわからない』ということな気がします。
全然関係ありませんが、最近岩松了さんの「青空は後悔の証し」という舞台を見て、そこでも同じような印象を受けたためかもしれません。
閑話休題。
この映画でも、サラサやフミの気持ちなどないがしろにして、周囲は勝手に自分の解釈で物事を片付けたり、カテゴライズ化してしまう表現が印象的でした。
登場人物が極端に少なく、メインの俳優以外の刑事やスマホ片手に他人をバカにする学生などに、まったくフォーカスがあたらない、ほぼシルエットで見せているのもそれゆえなのかなと思いました。
後半でまとまりなく飛ぶ鳥たちの実景がこの映画を象徴していた気がします。
それから、フミがサラサの時はただ見送るしかなく、リカが警察に連れていかれる時は気持ちを爆発させる、ああいう心理描写の変化が丁寧に描かれていてグッときました。
最後に内田也哉子さんの佇まいが樹木希林さんのそれに見えて驚きました。
映画館で時間をかけてじっくりと観るべき映画な気がします。
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