「逃避行」流浪の月 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
逃避行
映像がとても美しく、空、水、窓の外の光が素晴らしいです。カフェもおしゃれです。ただ、ちょっと雰囲気で押し通している感じがしました。リアリティには欠けています。
いたずらをされて、それを言い出せないのはよく分かります。一方で、知らない大人の男(20歳未満でも)に付いて行ってしまったり、ずっと一緒に暮らしたいと言うのはかなり大胆な行動です。
大好きなお兄さんが逮捕されたなら、大人びた10歳の子は釈放されるように証言しないのかな。
ラストは、そういう生き方もあるかもしれませんが、決断したというより、現実から逃げていると感じました。大切な人を守りたいなら、周囲に理解してもらう努力はすべきです。(わかってもらえないとしても)
社会と完全に関係を遮断して生きては行けません。店長の言葉に耳を傾けて。
内田也哉子さんは浮いていました。
――――5/25追記――――
もう少し書こうと思うので、ネタバレにします。
本作には、誘拐事件の加害者と被害者との間に恋愛感情、一般的には歪んだ関係、はあり得るか、というテーマがあります。
私は文と更紗のような愛もアリだとは思います。
ただ、そもそもなぜ二人が加害者と被害者の関係になってしまったのかというと、どうせ周囲は分かってくれない、という考えで、説明して助けを求めなかったからです。
文も更紗も不器用で、誤解されてしまいますが、自分は誤解されても良いとしても、相手まで世間から白い目で見られることになっても良いのでしょうか。
また、二人とも愚かではないのに、キャラクターと行動が結びつかないように思いました。
ゆり。さん
フォローありがとうございます。
共感もありがとうございます。
更紗の大胆な行動・・・ほんとですね。
とても自由に育てられて父親が病死して母親は恋人の所へ去る。
そして母親の姉は謹厳で常識を押しつけられる。
家に帰りたくない更紗(いとこの孝弘にいたずらされている)
16年後も大胆でしたね。
文のアパートの隣に引っ越して来る。
同僚の小さい女の子の世話をよりによって文に任せる。
ごめんなさい、長々と。
原作でももう少し、お利口に行動したら?と何回も思いました。
やはり映画は雰囲気に流されていて、ゆり。さんのおっしゃる通り、
リアリティが薄いと思いました。
原作を読むと本に縛られて良くないかもですね。
これからも色々教えてください。
よろしくお願いします。
説明すること、主張すること、って難しいことだし勇気も必要なんだと思います。
それが理解されにくいことならなおさらだし、子供にとっては重いことだと思います。
私も、疲れちゃって主張することを諦めることがあります。比較になりませんが。
もっと頑張って理解を求めるべきだったかもしれませんが、更紗なりに、文なりに頑張ったのかもしれません。
少なくとも更紗は後悔してましたから。
そこが、ゆり。さんの仰る「不器用」なんでしょう。
ゆり。さん
みかずきです
コメントありがとうございます。
ゆり。さんのレビュー視点、理解しました。
お互いのレビュー視点、主張をディスカッションすることって大事ですね。
他のレビュアーさんの書いたレビューへの理解度が深まることで、
作品の理解度が深まります。
もっとコメント欄を活用したいところですが、
レビュー作成に時間を取られて、活用というには程遠い状況です。
では、また色々な作品のコメント欄でのディスカッションをお願いします。
-以上-
ゆり。さん
みかずきです
共感ありがとうございます。
切れ味鋭いレビューですね。
仰る通りだと思いますが、私は二人には希望はあると感じました。
母親との関係は駄目でしたが、二人は強い絆で結ばれる人に出会えました。自分のことを分かっている人に出会えました。
社会的接点は必要ですが、相互理解、相互信頼できる人がいることが前提だと思います。
ラストの流れるという台詞は確かに流離うという意味であり現実逃避です。
しかし、流離う為には、生き続けることが必要です。
ラストは決して力強くはありませんでしたが、二人が生きる選択をしたと解釈しました。
強い絆で結ばれた二人が生き続けていけば、きっと二人の人生が好転する時は来ると信じたいと観終わって思いました。
甘い考え方かもしれませんが。本作をポジティブに捉えた結果です。
では、また共感作で。
-以上-
わざわざご丁寧にありがとうございます。
ご両親に褒められた事がないんですね。
今は解放されていると良いです。
私は10代で家を出て、両親とは遠く離れた場所で暮らしています。
昔は自分の事が何も分からなかったのに、今は自分で考えられるようになり、とても幸せです。
悲しくて、隠れて泣いていましたが、辛すぎて自殺を考えるようになりました。(まだ子どもだったので、私の世界は、小さな家の中だけでした)
作者がどうなのか分からないですが、親に愛されなかった子どもを、少し理解されているのかな、と思いました。
仰るとおり、
評価、分かれますね。
3.5にしましたが雰囲気は好きでした
ゆりさん、コメントありがとうございます。
映画って育った環境によっても、感想は変わりますよね。
物心ついた時には、なぜか私だけ両親に嫌われていて、とにかく無視されていました。
そのおかげで『この部屋に子どもがいたの!?』といつも母のお客さんに驚かれるくらい、静かで笑わない子どもになりました。