劇場公開日 2022年5月13日

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「今のところ今年1番」流浪の月 うめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5今のところ今年1番

2022年5月15日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

文を軸とした物語も観てみたいと思った。それほど松坂桃李の演技が光る。ほとんど表情に変化のない役であるためか、控えめで抑えに抑えた無駄のない演技。それでも惹きつける魅力を出せるのは凄い。
相手役として存在感を出してはいるが、主役の広瀬すずを食ってもいない。そこが松坂桃李の演技の上手さが光る所以だろうか。
広瀬すずもよかった。体当たり演技と言えばよく聞く言葉選びである。あるシーンでの、感情の変化が一瞬で目に出た瞬間がとても印象的だった。彼女にああいう一瞬を創れる実力があるとは。若く清潔感ある女優として世に知られる彼女がこんな表現ができるのかと驚き、甘く見ていた自分の見る目のなさを実感。
映画の題名のみでこの映画を選び、原作を知らず空っぽの状態で鑑賞。それもこの映画を観るにあたって新鮮な感情を持つことが出来たのも後になってみればよかったと思う。
色んな角度から観ることが出来る内容である。みんな間違ってないけれど間違ってもいる。あって当然だが無くても当然。鑑賞中主役の感情にどっぷり浸かる時もあれば他の役の感情に同調したり、客観的にもさせてくれる。立場の違う人間の感情のスイッチングもなかなか楽しいものであった。
素人のおこがましい感想だが、演出やカメラワークもよかった。普段あまりカメラワークに気を取られることは少ないが、この映画は上手いなと感じた場面がよくあった。
少し、話を掘り下げて欲しかった部分もあるにはあるが、原作を読みたくなる魅力の一つとして前向きに捉えたい。
内容が内容なだけに、そして松坂桃李の演技によって今年1番の映画になりそうな予感。

うめ