「開始5分で演出・脚本がダメだと分かる」流浪の月 takfさんの映画レビュー(感想・評価)
開始5分で演出・脚本がダメだと分かる
冒頭、ファミレスで男子高校生グループが事件映像を動画サイトで観ながら「やばい!」だの「洗脳されてるじゃん!」だの盛り上がっている横を当事者であるバイトの広瀬すずが通り過ぎる。
どうやったら大昔の事件映像にあそこまで熱いテンションになれるのか。それもタイミング良く。
ありがちすぎる演出に嫌な予感がしつつ幕が上がるのだが、その後も登場人物はやたらと泣き叫び、悲しい場面では悲しい音楽が大層に流れる、といった説明くさいうえに陳腐な演出が続き、終始イライラさせられる。
せめて2時間に収めるべきだし、収められる内容だろう。
ストーリーはとても惹かれるもので、未読ながら原作は面白いのだろうと思う。
撮影も良く、映像には引き込まれるところがあった。
そのおかげで本作は映画として「良作」に見える仕上がりにはなっている。
特にサラサがフミの現在を知って嬉し泣きしながらひとり夜道を歩くシーンは屈指の名場面と言える。
良いところはいくつもあり、画力に引っ張られて退屈せずに観られるものの、先述のダメ要素が映画の格を著しく下げており、傑作とは到底言えない出来になっている。
極上の素材を平凡にしか料理出来なかった残念な作品でした。
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