劇場公開日 2022年5月13日

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「互いの内情が分かち合い」流浪の月 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0互いの内情が分かち合い

2022年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

現実は時に無常であり、故に真実は目に見えるものではなく、触れ合いの中に何を垣間見るのか、情報の認識が「理解」ではないことを、この作品は社会の暗部に真摯に問いかけてもいる様だ。変哲のない様相だけでは計り知れない心境を、人は携え生活を続けている。社会である種のレッテルを貼る行為の裏には、単純で浸透が早い愚行がつきものだろう。そのことに抗わず流浪する覚悟。記憶に宿る苦悩の季節を、その移ろいを見守る時、二人の生き方への視点は、異常から共感へと変化するだろう。月は、晒された弱さを優しく受け止めて生きる姿を照らしていく。

yutamuroki