「脚本の組み立てが微妙だったのが残念」劇場版 異世界かるてっと あなざーわーるど Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本の組み立てが微妙だったのが残念
KADOKAWA異世界アニメの共作劇でおなじみのこのシリーズは、デフォルメキャラとCG独特の動きの特徴を面白さに引き出せた感のある『こう云うのもアリ』な作品です。
主要人気作5作品のファンを束ねたコンテンツですが、イヤミな言い方で恐縮ながらKADOKAWAの商売上手を見せられている気もします。
それに、各作品の各キャラ一人ひとりが主役級であるだけ、いわばカオスな絵面と内容を巧くまとめるのに苦慮した形跡が残ってしまう作品でした。
その最たるシーンがオチのバトンリレー?だったり、ナゼか〆めにイイトコ持たされたカズマ、ラストに追加されたキャラ、などでしょうか。
個人的には、これだけの豪華な食材を余す事なく絶品料理に仕上げるのは困難を極めた事と察します。
ですが苦労の甲斐あってナントカお話としては無難であったものの、かと言って無難の域を超えるものでは有りませんでした。
そもそも論、異世界転生した各作品の各キャラが異世界(作品上での主人公の現世)に転生させられ、そこから更にアサッテの世界に転生してしまった部分の根拠と経緯がほとんど伝わりませんでしたし、またユグドラシルのゴーレム云々の件も未解決?
ただしこの辺は個人的に、各個別の作品視聴が〝歯抜け〟であるため知識不足なだけかも知れません。
3つに分けるキャラのシャッフリングは絶妙にバランス取れてたと思います。
アクア+エミリア+アルベド、マーレ+フィーロなどの逆癖のあるキャラ同士の組み合わせなどは、この作品ならではの面白さでしょうし、印象的でも有りました。
なので絵面や掛合いの各シーン一つひとつは面白く楽しめましたが、一歩引いた目線ではストーリーの構造?立て付け?の全体的な俯瞰図に違和感を覚えつつ、逆に個別の細かいシーンでシッカリ面白さを構築できてた分、何とも言えない後味のモヤモヤが残る作品でした。
個人的に思ったのは、ストーリーにおいて『元の世界』てのを、あの学園生活の事と明示せず、各作品個別の帰るべき場所扱いにすること、そして異世界転生してしまった各主人公たちが、ソレ以前の元の生活に戻ることなど。
つまり表の裏の裏は再び表、そんな展開案をイメージしていました。
その辺を含めた『複雑怪奇な異世界転生』ストーリとなれば尚良かったんじゃないか、と妄想は尽きません。
一見さんは厳しくとも、各作品ファンは是非見て欲しい作品であることには間違い有りませんし、十二分に楽しい作品です。
ただ盾の勇者を加えて5作品、既にカルテットではない事には触れないのはお約束、と言うかご愛嬌でしょうか。