「リバースエンジニアリング」日本語劇場版 サンダーバード55 GOGO Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
リバースエンジニアリング
サンダーバード
1965年から1966年にイギリスで
放送された人形劇による1時間枠の
特撮テレビ番組で人形劇でありながら
細部にまでこだわった造形や洗練された
デザインの模型
リアリティを追求した特撮技術は
当時としては驚異的なクオリティであり
その後の特撮作品への多大な影響を及ぼした
そんなサンダーバードのイギリスで発見された
音声ドラマに「新作」映像を制作したのが
今作である
日本語吹替版であるためオリジナル版の
音声は意味がなくなっている気もするが
声優陣は豪華です
自分は全然世代ではありませんが
前から興味があったのと
やはり日本で今特撮やアニメの現場に
いるクリエイターの人々への影響を
考えるとこれは原点の一部に違いない
と思いさながら研修のつもりで
観る事にしました(笑)
その結果何よりメカニックに
魅かれるところがありました
サンダーバード1号がまず衝撃的です
ずっとロケットだと思ってましたが
尾翼を下にして垂直に離陸した後
水平飛行に移ってそのまま着陸する
乗り物だったんですね
現実でもかつて実験機「テイルシッター」
ってのはあったそうですが
当時の最新ギミックを取り入れて
いるんですね
主翼も速度によって角度が可変する
のはB-1爆撃機やF-14が有名ですが
これらの登場は1970年代ですから
これより早いんですね
2号は輸送機でコンテナ換装ギミック
などが楽しいですが主翼が
進行方向に向かって前進翼なのです
これも現実での実験機は1980年代
輸送機だから速度が必要ない部分と
失速しにくい構造がちゃんと
デザイン上考えられているのは
ちょっとすごいと思います
子供向けだからとバカにして
なかったんだなと
他のメカも魅力たっぷりで
当時プラモデルやおもちゃが大ヒット
したのもよくわかります
ストーリーは1960年代なりの
シンプルなものが多いですが
ごく自然に動くスーパーマリオネット
リップシンクもしっかりして動く
様はCG時代の今だからこそ
感じるところがあります
勘違いしちゃいけないのは
CGだから昔より楽をしている
という先入観
CGワークも手間も時間も予算も
莫大に費やして作られています
クラファンでこうした旧来の形式で
撮影して作品にできたというのは
ひょっとしたらCGよりこういう
形でやったほうがと
一石を投じるものかもしれません
昨年話題になった一人で作った
ストップモーションアニメ
「JUNK HEAD」でも思いました
割引なしの一律1900円を出して
若い人お断りと言わんばかりの
公開形態はどうかと思いますが
(劇場おじさんしかいなかった)
何か観る機会があると良さそうです