劇場公開日 2021年8月13日

「【観ているこちらの感情移入先が二転三転させられる物語も含めてハラハラドキドキできるアトラクション映画】」ドント・ブリーズ2 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【観ているこちらの感情移入先が二転三転させられる物語も含めてハラハラドキドキできるアトラクション映画】

2022年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

・2021年公開のアメリカのホラー・スリラー映画。
・1作目で生き残った盲目の老人。あれから8年。彼には新たな娘(少女)がいる。誰の子かは謎。2人で静かに暮らしているものの、少女は友達を作るために外の世界へ行きたいと願うも、父である盲目の老人がそれを許さず、基本的に2人だけで生活をしていた。一方。外の世界では幼い子供が誘拐される事件が立て続けに起きいた。そして、それと関係あるらしき謎の武装集団が、突如、少女をさらうためか盲目の老人の家に踏み入ってくる。果たして少女は、老人は、どうなるのか。武装集団の狙いは一体何か。 という大枠ストーリー。

[お勧めのポイント]
・観ているこちらの感情移入先が二転三転させられる物語の創りが圧巻
・ハラハラドキドキのアトラクション映画にヒューマンドラマの要素がしっかり入った力強い物語
・哀愁漂う盲目の老人(スティーブン・ラングさん)

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[物語]
・1作目の時から「設定はB級映画っぽいのに実際には一級映画」と感じていましたが、2になってさらに凄みを感じました。物語を端的に表現すると「観ているこちらの気持ちが何度も右往左往させられるすごいヒューマンドラマ×ホラー・スリラー」に仕上がっている感じです。
・1では、物語の視点が盗みを働く3人の若者たちで、盲目の老人が圧倒的な恐怖の存在でした。一方、2では盲目の老人と少女の視点で、謎の武装集団が恐怖の存在。殺人やレイプを犯してきた盲目の老人という存在が、視点を変えるだけで不思議と「悲しい物語」にすら感じてしまいます。
・しかも、物語の流れや伏線の張り方によって、感情移入先が二転三転させられます。普通なら「主人公」に感情移入させて、それを軸にハラハラドキドキさせたり、喜んだり悲しんだりさせたりしますよね。が!こちら映画では、観客の感情移入先を全く落ち着かせてくれません。笑 ここが凄い。演出で驚かすだけがアトラクション要素でなく、感情移入先を定めさせないこともまた、アトラクション要素になっているのです。
・序盤で出てくる「少年少女がさらわれている事件」のニュースが、一見フェイクのように感じましたが、これが最後にこう絡んでくるのかぁ…という伏線も凄かったです。

[演出]
・武装集団が侵入してきたとき、見つからないように逃げる少女の動きと魅せ方。一連の恐怖を感じさせられつつも、「静」を感じる非常にスムースな役の動きとカメラワーク。そして、沈黙が破られた(見つかった時)の「動」。この静と動の緩急が圧巻でした。
・中盤でキーマンが登場するシーン(影を使って顔を見せない焦らし)の魅せ方も好きです。

[映像]
・1と似たような空中から俯瞰で街並みを映し出す冒頭シーンにワクワク。脚本は1の監督であるフェデ・アルバレスさんと2の監督であるロド・サヤゲスさんの共同執筆のようですが、この映像は1とのつながりか、1へのオマージュか。いずれにせよ、この冒頭シーンが「これから映画を観るぞ!」というワクワクを誘ってくれました。

[音楽]
・際立って感じたことはありません。

[演技・配役]
・盲目の老人役のスティーヴン・ラングさん、今回は哀愁があり過ぎて逆にカッコよい。猫背チックなたたずまいで、暗闇からふっと現れるときの姿とカメラアングル。もはやこの役の恐怖のトレードマークと言っても過言ではないですね。

[全体]
・1作目では単に「アトラクション映画としてのクオリティの高さ」を感じましたが、2作目はドラマチックな面も相まってさらに面白くなっていたと思います。ただ、個人的には1作目を見ずに2だけ見ると「???中途半端じゃない?」と思われてしまう気もしています。1作目の積み上げがあってこその作品。ただ、続けてみればかなり満足できる面白い作品かと思います。
・1作目でも「神」について言及していた老人。2ではその言葉の重みがぐっとまして、心に刺さりました。
 「気を抜くな。油断すると神は奪う。」
・結局、始まりは恐怖の存在でしかなかった盲目の老人も、実は一人の普通の人間で、報われない人生を生きてきた。そんなことを、ハラハラドキドキの感情と併せて感じさせてくれます。
・ラストシーンについて、私は結構救われました。アトラクション要素というより、しっかりドラマ要素のあるラストかと思います。
・もう、物語のつくり方がうますぎて、やろうと思えばいくらでも続編が創れるんじゃないかと思います。もちろん、結構大変な思いをされてプロットから創り上げられたのかと思いますが💦
・そして最後に、愛をこめて、、、
 「やっぱりドント・ブリーズ(息をするな)のタイトルがしっくりきません!」
・ありがとうございました。

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#全体3.7 #物語3.8 #演出3.6 #演技3.7 #配役3.6 #映像3.6 #音楽3.5

3104arata