異動辞令は音楽隊!のレビュー・感想・評価
全53件中、1~20件目を表示
ネガティブな空気が苦手だった!!
出だしの詐欺シーンが上手かったです。音楽隊のメンバーや組織までもが隊の活動にネガティブで、楽しい気持ちになりません。誰か隊を大事にして愛してあげて下さい。後半も同じ調子で息苦しいです。このようなお仕事映画は、やはり矢口史靖監督が数段上手いと思いました。楽しい音楽も、「音が苦」に感じました。
音楽はどこでもできる…
仕事もそうだと思う。パワハラ全盛、昔取った杵柄、独り善がりな古き刑事が部下の告発によって音楽隊へ異動。私生活でも妻に出ていかれ、痴呆の母と娘との暮らしで上手くいってない。最初は音楽隊を馬鹿にしていたが、同僚と知り合ううちに、助けられ、協調性、仲間の大切さを知る。今与えられた場所、仕事を一生懸命やる。サラリーマンの応援劇のようにも思えた。阿部寛の変わりゆく様が良かった。
アウトレイジで始まって、幼児向け番組みたいに終わる
大好きな阿部寛さん主演の作品なので、息子達が見れる作品かなと思って妻と視聴したが、これはオススメできなかった。
序盤はバイオレンスな展開で始まり、最後は冗談みたいに薄っぺらい終わり方。最後の「こいつが星だ!」は流石に笑った。
主人公の会心を見せる為とはいえ、序盤にバイオレンスな流血させる。話を盛り上げる為に老人を亡くならせる。いずれも、ちょっとチープ過ぎではなかろうか。いっそのこと、最初から最後まで後半の軽いノリの方がまだ見どころがあったと思う。
ベタだけどいい作品
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現場たたき上げの刑事・阿部だが、告発があって音楽隊に異動。
正義感が強過ぎて、パワハラ・暴力の傾向があったため。
少年時代に和太鼓をしてたことで、ドラム担当になった。
そこで清野らと出会い、チームワークの大切さを知る。
ところが偉いさんの方針で、音楽隊を廃止する方向に。
そんな折かつての部下の機転で、阿部がかつて追ってた犯人を、
音楽活動中に音楽隊の手で逮捕することに成功。
知事がそれに感動し、音楽隊は継続となる。
でそのかつての部下が、安倍を告発したのは自分と告白。
人として成長してた阿部は、許す。
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まあかなりベタな内容ではあるが、終始涙が止まらず。
こんな昭和みたいな熱血刑事、いねーわってツッコみたくなるが、
まあそれもこの作品の味だろう。
刑事時代は忙し過ぎて娘のバンド活動に何の興味も持てなかったが、
音楽隊になってからは共にセッションする機会を得たりもした。
向いてないと思われた仕事が意外と向いてた、典型例だろう。
安倍のドラム姿、なかなかサマになってたな。
阿部寛の泣くシーンが好きです
阿部寛演じる刑事の再生の物語。
こういったドラマは人物のBefore/Afterのギャップと、その変化への過程への共感が物語の成否を決めていくように思う。
今回の阿部寛の演じる刑事は、「足で稼ぐもの」というかなりオールドタイプな刑事として描かれる。
熱血でありながら、傍若無人、犯人逮捕という目的のためなら手段は選ばないタイプ。流石にいまだにこんなタイプいるんだろうかと思う、ちょっと極端、漫画みたいである。
ただ、その彼も奥さんには出ていかれ、娘にも愛想を尽かされ、実母は認知症。
音楽隊に左遷された自分、そして認知症の母しかいなくなった自分を再認識させられた際に、強がっていた殻が割れて、立ち尽くして我が身の不甲斐なさを思い涙する。
悔し涙なんて簡単に言い切れないほど、さまざまな感情が溢れるような涙に見えた。
どうしてこんなことに、何が悪かったのか、どうしたら良かったのか、自責の念と共に理解されない悔しさ、苛立ち、寂しさがあったのだと思う。
そこから少しずつ変わり始める。
そのきっかけが音楽である。
娘とのセッション。支えてくれる人たち。
悲しい事件が、ドラマのエンディングに向けて物語を動かす。
この悲しい事件は予想できただけに、切なかった。
協力し合い物語は解決に向かっていく。
そして、最後のセッション。
忘れられない時間となっていった。
人は、何か夢中になれるものを見つけると変われるという事を教えてくれる作品
予告を見て、なんだか面白そうな作品だなと気になり視聴。
内容としては、部下に厳しく犯人逮捕のためなら手段を問わないベテラン刑事の成瀬は、アポ電強盗事件を捜査している中、パワハラによる内部告発が上層部に届き刑事部から警察音楽隊への異動を命じられるところから物語は始まる。
また異動先の音楽隊は、他の業務と兼任している警察官が多くやる気も覇気もないという有様だったが、トランペット担当の来島春子からセッションの楽しさを教えられた成瀬は、気持ちを切り替えドラム担当として練習に励むようになる。
その成瀬の変わっていく姿が、徐々に周りへも影響を及ぼし音楽隊の人達も変わっていく姿を見て、周りを変えるには自らがまず変わっていく事が大切だという事を教えられた映画でした。
主人公の成瀬役を演じた、阿部寛の演技はとても良かったです。自分中心で無骨な感じだったのが、音楽隊を通して他人との関わり方を身につけていく姿や素直さといった変化を上手く表現されていました。
また音楽隊の皆さんも、徐々に変わっていく姿(演技)がとても印象的でした。
この作品を通して、改めて音楽の素晴らしさを実感することができた作品でした。
磯村勇斗さんいいですね!
すっかりファンになりました。
阿部さんは元々好きだったのですが、今回はトランペットを吹いていたお母さん(清野さん?)も好きになりました。
いい映画を見ると好きな役者が増えます。映画自体は、なぜ、急にみんなあんなに熱心になったのか、など?の部分もあったのですが、逮捕のシーンでは思わず目頭が熱くなりました。
先日「アナログ」を見た時にも感じたのですが、内容としては「ベタ」であっても、役者の力で人を感動させることができるんですね。
阿部ちゃんファンなんだけど
んー。
鬼軍曹ってあだ名なのに走るの遅い。身体重そう。演出なのか?服装もダサすぎでしょ。これも演出?演出ならそれらしいセリフ入れてほしかったな。
ドラム叩いてる画と音が全くあってなくてもう少し上手く撮れなかったのかな
大好きな俳優さんなのにいいところどこにもなくて残念だった
心変わりした訳は
警察の仕組みを全く知らないが、
警察官の仕事で採用された人が畑違い管轄違いの部署に行けるんだな、と知り得た。
阿部寛さん、ドラムお上手🥁
他の楽器と違いごまかせない。元々経験がおありだったのだろうか。
初めに赴任した時腰掛けのつもりのようだったが、
終盤、後輩刑事に声をかけられても、自分の居場所は音楽隊だと明言している。
その心の変化の要因は?
音楽隊の演奏が人々への心の励ましに効果があると気づき、楽しみにし生きがいにまでしている人たちもいると知ったから。
音楽隊に半生を費やしている人がいるし、取り締まりなどの仕事と掛け持ちまでして音楽隊に励む同僚たちがいるから。
そしてその楽しみにしている人たちと同僚たちとの心の繋がりを持つことで今までに無い充実感を得ることができたから。
やはり人との繋がりの中で自分は生きている、
と感じられたのだろうと理解した。
ただ警察、大丈夫かな?
タイトルからいえばコメディーですが。
犯罪スレスレの強引な捜査、部下へのパワハラなど、
昭和なスタイルを貫く刑事が、告発されて、
まったく違う部署へ左遷されてしまうという物語。
左遷先が音楽隊というのがおもしろいですね。
設定からいえば、コメディーになりそうなんですが、
そうしなかったのが
正解だったのかもしれない。
内田英治監督の作品は、ハードな展開をしていくイメージが
あるんですが、この作品は、ストレート、かつハートフル。
ただ、犯人逮捕の流れがなあ。もうちょっと違う
展開はなかったのかなあ。
阿部寛は良いのだが
個人的に気になった点
・キレた娘が阿部寛の腕時計を無理矢理奪い取り壊すシーンの必要性
・認知症の母親(別れた奥さんのほうが良かったのでは)
・音楽隊に配属されたことを音楽隊の白い制服を見ただけで分かるもの?
・阿部寛一人ならパワハラ気味な誇張されたキャラクターは分かるが高杉真宙のようなやる気のない先輩に噛み付くようなキャラに真面目ぶった女性隊員など漫画チックな人物造形に違和感
・犯人を囲んでいたのに取り逃しなんとか捕まえる
・お婆ちゃんを殺す必要性。与えられたストレスに対して犯人が捕まったカタルシスが薄くなってるので殺さず怪我に留めるべきかと。
音楽は元気をもらえる
先が読める展開でしたが
おもしろかった。
・・けど
マヌケな刑事たちに
腹がたった。
ある意味音楽隊に移動になって
よかったと思う。
いままでの自分を省みることが
できたこと。
そして娘とも共通する
音楽で仲良くなれたこと。
新しい世界を知ることも
必要かも。
おいらはドラマー
年寄を狙った連続アポ電強盗と時流にのった犯罪、事件を背景に昔気質の熱血パワハラ刑事が音楽隊への左遷にもめげず事件解決という、誰にでも分かるシンプルストーリー。
見どころはパワハラ親父から子供のように夢中でドラムを叩く阿部さんの健気な変身ぶりでしょう。
内田監督からの吹き替えなしのお達し、ドラム経験のない阿部さん、3か月の猛特訓を重ねたそうです。
痴呆症の母親、離婚した別居の娘との絆、かっての部下や音楽隊の仲間など山田洋二監督ばりの人情喜劇としても良くできています。
どんな仕事も大事で尊い!
Paraviで鑑賞(レンタル)
ノベライズは未読です。
気になっていたので観ました。タイトルの感じからコメディかと想像していましたが、まさかヒューマン・ドラマとは。
主人公が急に改心したように感じてもやっとしたものの、ストーリー的にはかなり王道の部類で、どんな仕事も大事で尊いものなのだと云うメッセージが心に沁みました。
[余談]
公開時点はそこまででは無かったでしょうが、実際に連続強盗事件が起きている今観ると、内容が生々し過ぎました。
現実の事件と重ねてしまい、音楽隊ファンのおばあさんが殺害された出来事は本当に怒りが湧いたし、悲しくなった。
※修正(2023/08/27)
音楽隊は地域住民との架け橋
とても良かったです。
音楽のチカラは殺伐した成瀬の心ををよみがえらせた。
ワーグナーの「ワルキューレ」を聴くと、異様に興奮しますし、
「威風堂々」「第九」を聴くと、なんとも説明できない幸福感に
満たされます。
ワーグナーはヒトラーが軍人を鼓舞するために重用したことで
知られてきますが、
音楽には心を動かすチカラがあります。
成瀬警部補(阿部寛)は、それまでのコンプライアンスに反する行動から
音楽隊へ異動を命じられ不平不満いっぱいでしたけれど、
昔、幼い頃に打ち込んだ和太鼓。
それは夏祭り、若い母親の笑顔、綿菓子の甘さ、などなど
思い出深いものだったと想像します。
楽器がドラムに変わって、持ち前の負けず嫌いもあり、
ドラムに打ち込む成瀬。
春子(清野菜名)のトランペット
北村(高杉真宙)のサックス
国沢のチューバなどのメンバーとのセッションに次第に
喜びを感じて行く。
心も穏やかになり、
犯罪者と向き合う刑事の顔が、普通のサラリーマン的に
視線さえ穏やかになります。
この変化を阿部寛は自然に演じていてさすがです。
後半で、時間不足からちょっと強引な展開もがありましたが、
それを補ってあまりある人間ドラマ。
人の心を思いやれなかった無骨な男の、再生の物語でした。
ストーリー
成瀬警部補(阿部寛)は刑事畑一筋で、殺人・強盗・窃盗など、
自分の正義感が強いあまり、犯人逮捕以外は見えていない。
家庭生活より事件解決に心を砕いてきた。
そのため妻は去り、娘の心を傷つけることも多かった。
母親は認知症の症状を見せて、ストレスの多い日常です。
ファーストシーンの本部長(光石研)への尊大な態度は、傍若無人で、
面目をつぶされた本部長の頭に血が昇り、それ以後、
成瀬を目の敵にするのもある意味で当たり前。
阿部寛の怒鳴り声はビビリの自分が震え上がるほどで、
ペアを組む磯村勇斗にとってパワハラ上司そのもの。
そして遂に栄転の名目で、送られ、田舎町の音楽隊の練習場へ
向かいます。
成瀬の心には現場を外された怒りと虚しさが・・・
音楽隊で成瀬はどう気持ちと折り合いをつけて行くか、
そういうストーリーです。
冒頭の「アポ電強盗」シーンから夢中で観ました。
『ミッドナイト・スワン』とは180度転換の刑事物+人間ドラマ。
内田英治監督の原案のオリジナル脚本。
アポ電強盗の逮捕!
警察音楽隊の存続危機!
娘との和解!
ラストは音楽隊の定期演奏会で締めくくる。
(流行りのマーチングバンドも取り入れて、)
最高に楽しい仕上がりでした。
新たなパッションとセッションを奏でて
『ミッドナイトスワン』で鮮烈な衝撃と感動を魅せてくれた内田英治監督。
その次回作なので気になりつつも、タイミングが合わなかったりで劇場鑑賞スルー。
昨夏同時期公開の『アキラとあきら』共々、劇場で観れば良かったと後悔。
あのセッションなんて臨場感たっぷりだったんだろうなぁ…。
開幕シーンからは白石和彌監督や片山慎三監督のようなハード・サスペンスにも出来た筈。以前『グレイトフルデッド』というバイオレンス作を撮った事あり。
ところが内田監督は、意外なジャンルへ“異動”に…!
現場一筋30年の刑事・成瀬。
数々の難事件を解決してきた名刑事だが、“軍曹”と呼ばれるほど性格に難あり。
上司の前でも無礼な態度。楯突いたり、命令無視もしょっちゅう。
大声を上げたり、時には手が出たり、コンプライアンスなんて知らねぇ。時代錯誤のパワハラ言動。
すぐカッとなったり、違法捜査は専売特許。
犯罪は許さない熱血鬼刑事故なんだけど、そのせいで…。
巷で頻発する老人を狙ったアポ電強盗。
主犯に目星を付け、一味のチンピラ宅に令状ナシで乗り込み、相手を威圧。
警察に抗議の連絡があり、その問題行動、パワハラを訴える投書、上司の私怨もあって、成瀬に異動辞令。
異動先は…
お、音楽隊…?
警察のイベントなんかで楽団を組んで演奏するアレ。
そういうのがあるのは知ってはいたが、改めて警察にもこんな部署があるんだなぁ…と思う。
勿論成瀬は面白くない。
何で俺が?
現場一筋。長年警察に身を捧げてきたというのに…。
しかもその音楽隊はやる気も覇気も無く…。
そんな音楽隊で成瀬は…。
…と、まあ、その後の展開は概ね予想通り。
あの『ミッドナイトスワン』の後、意外な王道路線とは。
意外もう一つ。タイトルやあらすじから、阿部寛が仏頂面で音楽をやるコメディと思って見たら、それを期待した人には期待外れかもしれないが、自分的にはいい意味で期待を裏切ってきた。
ユーモア交えつつ、意外や感動的なヒューマン・ドラマ。
不遜な性格だった男が自分自身を見つめ直し、再出発。
当初は音楽隊の面々とも衝突してばかり。嘲笑したり、刑事だった俺の方が格上でこんな所で音楽にうつつを抜かしてるお前らは格下。あからさまに嫌々態度。…
どうせ短い間だけ。俺はすぐ現場に戻る。
音楽なんて下らない。暇人がやる事。
音楽なんてやる為に警察官になったんじゃねぇ。現場に出て、犯罪を防ぎ、悪党を捕まえる立派な仕事が俺にはある。
自分の境遇が全く分かっていない。
ニュースで新たなアポ電強盗を見て、居ても立ってもいられず、捜査本部へ。
完全なるアウェイ。お前はもう刑事じゃない。誰もお前なんかを必要としていない。
このやり場のない悔しさ、屈辱感…。
ようやくそれに気付いた時、さすがの鬼刑事も堪える。嗚咽。鬼の目にも涙…。
そんな時拠り所になったのが、音楽隊。
少しずつ少しずつ、音楽にのめり込んでいく。
やる気の無かった練習も。普段の事務職中でもリズムを取ったり。
初の演奏披露。大失敗。知事の怒りを買うも、警察の音楽隊のファンの初老の女性からエールを送られる。音楽隊を必要としてくれる人も。
隊の面々もぎくしゃく。演奏会の失敗をなすり付けあったり。お前らが悪い、自分らの部署を棚に上げたり。
このままでは音楽隊はお先真っ暗。
ある練習も散々。お開きしようとした時、成瀬がもうちょっと練習しようと言い出す。一番嫌々だった成瀬が…!
自分たちの部署の仕事があると言い合いになり、成瀬が一喝。
それでまた修羅場になりかけた時、成瀬が自分の態度に否があったと頭を下げる。あの成瀬が…!
そんな成瀬の真摯な態度が、自分自身だけではなく隊の面々の心も動かす。
成瀬の言動は確かに問題あり。が、彼の存在が刺激になったのも事実。
異端児でも、やはり一人くらいそういう人物が居ないと。
そうこうしていく内に、隊の面々とも交流を育んでいく。
シングルマザーの春子。交通課所属。トランペット担当。彼女とはちょくちょく言い合う。が、最も腹を割って向かい合う。鬼刑事の成瀬にも臆する事なく。
成瀬はドラム担当。陽気な性格のドラムの先輩・広岡。交通機動隊所属。
共に自動車警ら所属。チューバ担当の国沢は熱く、サックス担当の北村は斜めの性格。
穏やかな性格の隊長。
一人一人個性があって、悩みや問題も抱えていて。
次第にチームとなっていく。
家族ドラマとしても。妻とは別れ、認知症の母と二人暮らし。時々高校生の娘が様子を見に来る。
刑事時、自分を困らす母に怒鳴り散らし、娘との約束も忘れる。
娘からは絶縁迫られる。家族との関係も崖っぷち…。
音楽をやるようになって、娘との関係を取り戻す。娘は友人とバンドを組んでいる。娘らと練習も。
娘とこれほどの向き合い、刑事やってた時からは考えられない。
音楽は見下してた自分は愚かだった。
音楽は必要だ。
所変われば“人”変わる。それを地で行く。
最も音楽を見下していたのは、成瀬ではなく上司たち。
異動が言い渡された時、直属の上司は嘲笑。
本部長は異動を言い渡した張本人にも関わらず、音楽隊の廃止を考えている。音楽なんて無意味、不必要。
音楽隊も立派な警察部署の一つだが、偉そうなこいつらにとっては厄介者払いの左遷墓場。共々葬ってやる。
そしたら最後、ある事があって手のひら返し。警察組織へ風刺をチクッと。
アポ電強盗事件も疎かにせず。
ある時遂に、殺人発生。しかも、その被害者は…。(予想は付いたけど)
絶対に許さない。隊の皆も同じ。
どうして罪の無い老人ばかり狙われるんだ!?
成瀬の怒り悲しみ訴えが、後輩刑事の坂本を動かす。
成瀬が目を付けていたチンピラをマーク。とうとう自供し、主犯に辿り着く。
さすがは名刑事。成瀬の読みと勘は当たっていた。
坂本の判断で、音楽隊と協力。
憎き主犯を逮捕する事出来るのか…?
密かに伏線回収も。
刑事志望だった北村。かつて犯人を取り逃がした事あり。そんな彼がラストで意地を見せる。
成瀬が異動する事になった要因の一つ、投書。したのは誰…?
娘と言い合いになった時、娘の大事な楽器を粗末に扱い、ブチギレられる。ラスト、主犯と格闘中、ドラムが傷付けられそうになる。序盤から一転、「俺のドラムを!」の台詞にはウケた。
YouTubeで愛知県警の音楽隊のフラッシュモブを見て着想。
それに主人公の再起、仲間との絆、家族との関係、警察風刺や捜査サスペンス、何より音楽の喜びを織り混ぜた内田監督のオリジナル脚本が魅力。
多少ご都合主義でベタかもしれないけど、エンタメとしてストレートに響く。
実力派や売れっ子たちが奏でるアンサンブル。
前半は硬派な鬼刑事、徐々に丸くなり人間味たっぷりに。昔だったら三船敏郎や高倉健が演じそうな役所、今では阿部寛の十八番に。彼ならではのぶっきらぼうとコミカル加減も絶妙。そして勿論、猛特訓したという華麗なドラムさばきも披露。
周りは引く手あまたの売れっ子たち。よく集められたと感心。
『キングダム2』が好評だった清野菜名。本作でも好演。
ひねくれ態度の高杉真宙の成長。
渋川清彦は相変わらずナイスな役回り。
音楽隊廃止の危機に隊長が思いを吐露。下積みが長かった酒向芳だからこそ言えた台詞。
阿部寛や皆の演奏は必見必聴!
磯村勇斗のあるシーンの告白は胸を打つ。それに対する阿部寛の台詞は本作を物語る。
阿部寛の娘役、母役の倍賞美津子、憎々しい光石研らも好サポート。
やはり音楽はいい。
私は音楽に詳しくなくとも、聴くのは好きだ。
歌や映画音楽。クラシック音楽やその演奏。
劇中では聞いた事ある曲が奏でられ、それだけで気分高揚。ラストも演奏で締め括られ、ラストカットも秀逸。
何で俺が…。誰しもこんな思い抱いた事ある筈。
最初はそう思う。でもそれが、思わぬいい方向へ向く事もある。
捨てたもんじゃない。
警察官としてのパッション。
音楽へのパッション。
仲間とのセッション。
家族とのセッション。
自分の新たな人生への、パッションとセッション。
さあ、奏でてーーー。
余談その1
アポ電強盗事件が今世間で問題になってる強盗事件と被って…。劇場鑑賞はスルーしちゃったけど、今この時期に見た事にも意味が…?
余談その2
本日発表の2022年度キネマ旬報ベストテンで、本作は一点も一票も入っておらず。つまり、批評家たちには全く見向きもされず。こういう作品を良かったと思う自分は単純な作品好みの見る目ナシのただのバカなのか、それとも批評家たちが頭堅すぎなのか。
税金ドロボーは本部長の方では?
実際の警察音楽隊はほぼプロミュージシャンと言っていいほどで、音楽大学出身者が多いとのこと。ただ、大都市以外ではこの映画のように警察職と兼務であり、ダブルワーク並みに大変なようだ。
強引な捜査をしたり、昔気質の足で活躍する刑事・成瀬。パワハラの投書がきっかけで音楽隊へ異動辞令が出た・・・タイトルまんま。序盤ではアポ電強盗事件が描かれ、正義感溢れるものの家庭を顧みずに30年過ごしたことから離婚。母親(倍賞美津子)が認知症となり、苦しい生活も窺える。
社会的弱者ばかり狙うアポ電強盗。成瀬のような刑事がいないと捕まんないじゃん・・・などと心配もさせてくれたけど、上の命令には逆らえない公務員の悲しさ。しかし、徐々にドラムの腕を上げていき、娘ともセッションを通じて和解。音楽隊のメンバー達とも仲良くなっていく。さすがにシングルマザーの春子(清野菜名)とのロマンスまでは描かれなかった。それでいい。
これぞまさしく音楽映画の一本!子供の頃に和太鼓をやっていたというだけでドラマーに選ばれ、興味もなかったが、事務仕事中にナンバリングスタンプでリズムを取り、感動の娘とのセッション、そして定期演奏会でのフィナーレ。どことなく『スウィングガールズ』(2004)を彷彿させるシーンやプロットが気になったけど、大好きな映画なのでOK。「イン・ザ・ムード」が始まったときにゃ最後に「シング・シング・シング」まで演奏するんじゃないかとヒヤヒヤしましたよ。いや、吹替えなしの演奏といった点も考えると、むしろ『スウィングガールズ』にオマージュを捧げていたのかも・・・
全53件中、1~20件目を表示