「これでいいのだ!」異動辞令は音楽隊! pekeさんの映画レビュー(感想・評価)
これでいいのだ!
とてもよかった。期待以上だった。
何度も笑い、何度もグッときた。
高級料理でもなく、創作料理でもない、町の食堂の美味しい定食のような食べもの。豪華さや斬新さはないけれど、お腹とこころを満たしてくれる料理。
味覚でたとえるなら、これはそんな映画だ。
こういう理屈ぬきに楽しめる映画をもっと観たい。現実世界に嫌なことがいっぱいあるのに、なんでお金を払ってまた気が滅入る思いをしないといけないのか、というような鬱陶しい日本映画がこのところ少なくないからね。もう問題作も衝撃作もいらない。こういう作品をもっと作ってほしいと願う。
単純明快、大いにけっこう。勧善懲悪、大歓迎だ。
阿部寛の見事な熱血刑事ぶりが作品のボルテージを上げ、清野菜名がそこに清々しさを与える。そして『PLAN75』に続いて、磯村勇斗が大事な役どころをこなしている。この作品ではじめて知ったが、モトーラ世理奈という人がやけに気になった。
端役・ちょい役の使い方もうまいなぁ(音楽隊のファンのおばあさん、ドラムを譲ってくれた青年、春子の子どもなど)。
緩急つけた構成の妙。
笑いの間(ま)のとり方も巧みである。
映画と音楽の魔法に酔った2時間だった。
「これでいいのだ」とうなずいた。
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