コレクティブ 国家の嘘のレビュー・感想・評価
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無力感と向き合いながらも問いかけるもの
発端は基準より大幅に希釈した消毒液だった。
ライブハウス「コレクティブ」で多数の人間が大火傷を負い、担ぎ込まれた大病院で助かるどころか続々死者が出たことから、メディアが原因を究明するところから物語は始まる。
制作陣は、これは大事になると予感したのだろうか。よくぞ早くから密着してカメラを回したものだと思う。
調べるとその消毒液はビッグファーマからの賄賂授受で国内ほぼ全ての大病院に納品されており、更に病院は倹約のため消毒液を薄めてきた。結果、基準より10倍近くも薄められ、成分を再検査すると殺菌できる細菌はたったの四つで、さらに消毒液に抗生物質のきかない細菌が混じっていた。
調べれば調べるほど、保健相や大学病院、雪だるま式に汚職の暴露につながっていき、最終的には国家や法そのものをどうにかしないといけない話になっていく。ことの大きさに、正義感あふれる新大臣も、ジャーナリストたちも、どこから手を着ければいいのかと茫然自失として映像は終わる。
口封じとしか思えない、製薬会社の社長の交通事故死。
ウジのわいた患者の顔に布をかける医者。
臭い物に蓋をする政治家と病院。
内部告発した看護師が吐き捨てる。
「医者はすでに人間ではないのです」と。
なぜ25年も見過ごされてきたのか?と新大臣が嘆くが、汚職に無関係の人が事態に気がついたとしても、見て見ぬふりが続いてきたのだろう。
その小さな見過ごしが雪だるま式に大きな悪事になってしまう。一人一人の面倒なことに巻き込まれたくないという保身が、大きな歪みとなって跳ね返ってくる。
新聞記者は、人間は権力側に回ると腐敗するものだから、市民は権力が暴走しないよう監視しなければいけないと語る。
デモのスローガン「無関心は悪」。それが一番の根幹なのかもしれない。
ルーマニアの医療危機
2015年10月、ルーマニアのブカレストにあるクラブ、コレクティブ、で火災が発生し、死者27名、負傷者180名を出す大惨事となった。さらに、助かったはずの入院患者が複数の病院で次々と死亡し、最終的に死者数は64名に増えた。この事を調査したスポーツ紙の編集長は、背後に製薬会社、病院経営者、政府関係者の癒着があることを突き止めるた。ジャーナリストたちは命の危険を感じつつも真相を究明の調査を続けた。一方、報道を目にした市民の怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職。正義感あふれる新保健大臣は、腐敗まみれのシステムを変えるべく奮闘するが・・・というドキュメンタリー。
新大臣は頑張ったが、このラストはせつない。
選挙でしか変えられないのに若者の投票率の低さは日本と変わらないんだなぁ、って思った。
ルーマニアの医療危機はいつまで続くのだろうか?
日本では、ここまで酷い汚職、癒着は無いとは思うが、似たような事例はいくらでも有るだろう。ハッピーエンドじゃなくてもこういう作品を残すことが次の時代の為に必要だと信じたい。
どこの国での多かれ少なかれ、政治のこの手の話は有るのだろうけど、こ...
どこの国での多かれ少なかれ、政治のこの手の話は有るのだろうけど、こうまざまざと見せられるといたたまれない気持ちになる。
政治は政治家に任せきりじゃダメなのね…国民が見張ってないと。
『腐敗は続くよ何処までも』(ルーマニア版)
①権力を恐れず報道を続けるジャーナリスト達、勇気を奮い起こして不正を告発した医療関係者達、妨害にも屈せず政治家=病院=製薬会社の癒着と贈賄とを追求した新保健相、彼らの奮闘にも関わらず結局何も変わらなかったという結末に驚いた。上記の人達(特に告発した人達)はその後大丈夫だったかと心配になる。②それでもこのドキュメンタリーが優れているのは、単に「ルーマニアでこんな事があったんですよ。怖いですねぇ。」というだけの話ではなくて、世界各国の政治・報道・企業・国民生活等にあまねく存在する普遍的な問題を私達に突き付けるから。
つまらない映画体験に感謝
私が映画を観る理由は作品を通して自分の心がどう動くかを観察する為(要は自己理解の為)であったり、好奇心を得る為であったりします。残念ながら本作からは何の新鮮味も感じることができず、つまらないという感情しか残りませんでした。
何故つまらないのか?まず、事実の明かされ方が淡々とし過ぎる点。そしてこれが最大の理由なのですが、国家や企業の隠蔽問題なんてメディアが連日騒ぎ立ててるし、社会人やってれば企業活動に対する疑問は大なり小なりあるわけで、今更驚かないです。おまけに本作の事件の根本にあるのはただただ怠惰なだけというお粗末さでコメントのしようがない。
仕事で起きてる悪循環なんてもはや先代から脈々と受け継がれてきた伝統文化なので、本作でも指摘されてる通り根深く、上の世代が引退しなければなかなか変えられないと思ってます。エンディングでは虚しさを突きつけられたような気がして、明日も来年も数十年後も似たような事件は起きるんだろうなと思いました。選挙の投票率の低さも指摘してましたが、私も含めて若者の興味は政治ではなく、変化を実感できる日常なのです。(私は選挙の時は自分なりにスキャニングして一票投じるタイプですが、基本的に政治の行方は政治に興味のある人達に託します。)
ただ、強烈なつまらなさに駆られたおかげでこの手のジャーナリズム映画には今後興味を持たないようにしようという方針を立てる事ができましたし、つまらないという気持ちについてこうやって因数分解できましたので、そういった意味では感謝です。
壮絶なライブハウス火災に端を発した連続死亡事故の背後にある闇に迫る二人の男の奮闘を描いた良質なスリラーのようなドキュメンタリー
2015年10月、ブカレストにあるライブハウス“コレクティブ”でバンド演奏中に火災が発生、死者27名、負傷者180名を出す大惨事となったが、命が助かったはずの負傷者が搬送先の複数の病院で次々に死亡、死者数が64名に達してしまった。その不可解な事件の調査に乗り出したのはスポーツ紙“ガゼタ・スポルトゥリロル“の編集長カタリンとそのスタッフ。彼らは事件の背後にある製薬会社や病院、政府関係者達が絡んだ闇を次から次へと暴いていく。一方ルーマニアの政治も混乱を極め、次々と保健大臣が辞任に追い込まれる中で金融のスペシャリストであり慈善家でもあるヴラドが就任、腐敗まみれの社会福祉行政にメスを入れようとするが・・・。
まず圧巻なのはライブ演奏に火災が発生し観客が逃げ惑う様を鮮明に映した映像。いかに“コレクティブ”で起こった事故が凄惨であったかがすぐに解るわけですが、その後に次々と暴かれていくとても現実のものとは思えない社会福祉行政にまつわる闇の深さに身の毛がよだちます。主人公はカタリンとヴラドですが、彼らの奮闘の合間に差し込まれるのが火災から生還したものの全身に夥しい火傷を負い指の切断も余儀なくされた女性テディ。建築家である彼女が自ら被写体となることで変わり果てた自分と向き合いながら他の人たちにも生きる希望を与えようとする様が挿入されることで、こんな悲劇を二度と起こしてはならないという強烈なメッセージが響いてきます。終幕後に漂うずっしり重い虚無感は格別で、しばらく席から立ち上がれませんでした。
真に迫るドキュメンタリー
どこの国も、権力を手に入れると金に群がる輩がいるけど、人の命を預かる医療がこれでは、もはや絶望的。
交代した保健相は、いたってまっとう、誠実に対応しているのに、選挙では政党が大敗。
これだけのことが明るみにでて、腐敗は過去に遡るとわかっていても、国民は腐ったリンゴが好きらしい。
あれ?身近で聞いたような?無策のコロナ対策だと実感したのに、腐ったリンゴを買い続けるどこぞの国民と似ていやしないか。
それにしても、ここまで裏をとって真実を炙り出すジャーナリズムの凄さ。
これほどの冷静さと、激しさ、事実の追及に対する貪欲さがなければ、世論はついてこないだろう。
それでも…である。
こうなると、選挙すら金の匂いがしてくるのは、穿った見方か?
ルーマニアの抱える闇は、児童福祉だけじゃないんだ。政府が、腐っているからか。
こういう映画こそ、多くの人に見て欲しい。
選挙後でも遅くない、見て!
ライブハウス火災事件をきっかけに、病院の不正行為を暴く、、、というシンプルな内容かと。
いや違う。
不正を暴いた記者から主人公はルーマニア政府保健相へと変わり、最後は人命よりも賄賂や権力を優先する超絶腐敗政府へと話が広がる。
マジで腐ってんな、この国、、、
日本はどうだ?色々考えさせられる。
日本だって、他人事じゃない。
映画の作りもとてもよく出来ていて、写し方も効果的。最後まで集中して見れた。飽きさせない。
最後のほうで、ああ、そうだよねえ、これじゃあ賢い人は海外に流出しちゃう、と思ったが、wiki 見たら、ちゃんと戦った意味あったのだなと。
こんな酷い状態の国がどれだけあるのやらと思ったが、若い人が選挙に行かない日本だって他人事じゃない!と、はっとした。
軽減税率という補助金貰っている日本のマスコミでは・・・
ルーマニアのマスコミは正義で日本のマスコミは悪だといいたいわけではありません。
おそらくどこの国でもノリはいっしょなんじゃないでしょうか、秘密を暴くとか特ダネスクープって楽しいし気持ちいいし自分が正しいことをしている実感もある。
実際、現場ではどこの国でも似たような感じなんじゃないでしょうか。
でも補助金貰ってたら忖度せざるを得ないですよね。
日本のマスコミも政府の批判をしてると思っている方もいるかとは思いますが、それは政府というより与党の批判をしているだけで、もちろん反社や警察や軍まで使って圧力なんてかけてきません。
そういう意味で新聞の軽減税率やNHKのいろいろ非課税、民放の格安電波使用などしっかり手綱を握られている日本のマスコミは機能しようがないかと・・・官僚のいやがらせを受けるより補助金貰ってよろしくやってたほうがいいですからね。
しかし既得権益側のプロパガンダはだいたいどこの国でも外国人に安く売るっていうロジックなんですかね。
選挙に行こう。
予告編を見ずに(=ほとんど予備知識なしで)観た。スタートのライブハウスでの火災の映像がものすごくリアルだと思ったら本当にド偶然現場で撮られた映像とのことだった。それ以降もドキュメンタリーとのことだったが100%納得しかねる。どう考えてもカメラが入れないはずの数人での会議まで撮られているのは、やはり純粋なドキュメンタリー映画ではないということなのだろう。そういう疑念は残るが面白い映画だった。スポーツ新聞の編集者といい若い保健相(当時はまだ36歳)といい素晴らしいキャラクター。ルーマニアの現状を見て感じたのは政治に関してははるかに日本の方がマシだがメデイアは逆であるということ。とにかく今回も選挙に行こう。民主主義を守らなくてはいけない。
《権力の腐敗は世界の共通言語?》
国家権力の腐敗を暴くことを使命とする新聞記者と、腐敗した政治を正そうと奮闘する若き保険相(日本の厚労大臣)を追ったドキュメンタリー映画である。映画としての凄いのは、日本では考えられない場所で撮影していることだ。勇気と勝ち得た信頼感があるからこそだろう。そしてさらに凄いのはインタビューを一切使わず、撮影された事実だけで構成されていることだ。ドキュメンタリー作品を作る人たちが面食らったことだろう。
2015年に起きた事件で発覚した不正をめぐるやり取りには既視感を感じる。嘘、隠蔽、論点ずらし、責任逃れ… 日本で見られるものより「少しだけマシ」な光景が映し出される。「マシ」なのは『さら問い』が行われていることである。
そしてルーマニア総選挙では既得権益にまみれた政党が勝利し、何も変わらないのではという絶望感が映し出される。その選挙においての投票率が40%に届かなかったこと、20代では僅かに5%しかないことが絶望感を象徴していた。
2021年の日本、まずは投票しよう!このタイミングでこの映画が教えてくれたことではないだろうか。
民意は 常に操られる
製薬会社と医療法人の理事長との癒着や
政治との癒着を暴いたジャーナリズムの功績により 国民の批判で政権が倒れる
医療制度改革に立ち向かった新しい保険相だったが
現状では 国内で移植手術ができる医療水準ではない事を熟知する彼は 国内での肺移植を承認しない。
それを 社会民主党より 外国勢力と結びつきルーマニアの医療を売り渡す行為だとキャンペーンを張られ 改革半ばで失脚してしまう。
また、医療法人の理事長改革も頓挫してしまう。
民意は 常に 人命の尊重、高度な医療を求めるのだが 現状認識の差によって 正反対の選択をしてしまうことが皮肉であり、マスメディアナドの報道で 容易に操れることも露呈した映画
また 次世代の若者も投票率が 致命傷的に低いことは日本も同じ。世界的な問題だと思う
マスコミの役割とは
選挙の時期に観に行った。
権力は監視していないと腐敗していくってよく言われるが、マスコミがマスゴミでない国に限る話だろうと思った。
世論を誘導するからこそ、自分の利益に基づく正義を振りかざしている記事,意見でないかという部分もちゃんと見極めていないとならないと感じた。
組織の中で正しい事を言う事の難しさを思い出させられた。
直属の上司(中間管理職)が実は一番クソまみれという、、、
本当に、投票に行こう
細かいカットでテンポよく進み、国家の闇に迫る緊迫感もあり、最後まで飽きることなく引き込まれました。
様々な事実や情報を淡々と的確に伝える映像で、ナレーションや被写体と撮影者の対話などもありませんが、合間に捉えられた人々の仕草や表情から、苛立ちや不安や緊迫感なども切実に伝わります。
客観的な視点の映像で、ことさら情に訴えるような感じがないのは好感が持てます。
序盤の火事の映像も衝撃的ですが、中盤の患者の映像も衝撃的でした。
現代の病院であれは、嘘だろと……
人の命を蔑ろにする腐敗した医療業界も、黙認している国家も恐ろしいです。
新聞記者、新任の保健相、火事災害の生存者や遺族、それぞれの立場から理不尽な社会状況が映し出され、国民が国家権力に虐げられないためのメディアの役割についても考えさせられます。
理不尽な中でも、真っ当な信念、哀悼や再生など、人の心の光を感じる部分も印象深いです。
隠ぺい改ざん裏金疑惑の日本の国家権力についても、やはり連想してしまいます。
丁度選挙という時期ですし、他人事とは思えない展開です。
本当に、投票に行こうよ、と思います。
嘘の定義
上映中ただ、作話であって欲しいと願っていた。ため息しか出ない。現実だと認めたくない時間が流れてた。
国家の役割とは?政治家の仕事とは何かを問うことなんだが、そもそも「嘘」ってどういう意味かを考えたい。
辞書的には事実ではないこと。人を騙すために言う、事実とは異なる言葉らしい。
国民としては当然、政治家の国民に対する事実と異なることを嘘とおもっているが、政治家からすればそうではないようだ。政治家にとって、あるいは利益共有者にとっての事実てあるらしい。
この映画の国はルーマニアだが、おきていることは日本だ。
ここ最近の政府の対応と全く同じだ。嘘が正されずそのまま時が流れ、受け流され慣れさせられている。その嫌な習慣は悲しくも国民の、社会生活の場面でも現れてしまっている。
映画ではそんな現実に立ち向かう、立場の違う二人の姿を追って進んでいく。美しくも背筋が伸びる思いだった。
ラストはやはりため息しか出ない、なんとも言えない虚無感だった。
自分に置き換えて、次の機会は良い方向に向かうことを願うばかりだ。
医療者目線
医療技術そのものは、映画だけ観ると、日本の25年前以上と同等かそれ以下。
まず、映像を観る限りは医療機材(メス)などは、ガス滅菌などではなく、消毒液につけておくだけだったのだろうか(哺乳瓶をミルトンに漬けるみたいに)?
そして、熱傷患者にアレが出現しているシーンがあるが、あれは治療として行なっていたのではないか(日本でも10年前くらいにやっていた)。
色々、疑問が残るが、現在は改善されていることを祈る。
皆さんお元気だろうか
役者は1人もいないわけだけど、だからこそなのかキャスティングがドンピシャ。(何いってるかわからなくなるが)悪いヤツは見事に悪い風貌だし。
事実だけに厳しすぎるがこれが映画にできるのはまた凄い。(悪いヤツ以外)皆さんお元気であります様に。
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