「無関心は人を殺す」コレクティブ 国家の嘘 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
無関心は人を殺す
政治やシステム、企業が腐敗していくのはなぜだろうか。権力を握った人間が大義を忘れ、自分(もしくその周りの人間)だけに利するようになってしまうからなのか、それともそんな人間だけが権力を握れるようになるからなのか。
本作はルーマニアで起こった医療スキャンダルのドキュメンタリー。ライブ火災の惨事による負傷者が入院後に多数亡くなるという事態から、病院と医療製品メーカーの癒着、政治的な腐敗にまで切り込んでいく内容に驚いた。これ、本当にドキュメンタリーなのか?普通の社会派ドラマみたいな映像だぞ。
更に驚いたのが、新たに就任した保健相側の映像も撮影していること。政治的な思惑ではなく単に現状を変えようとしている姿も見せていたのが作品に厚みを与えている。
でも、最後はスッキリしない。ここで終わる?と。でもそうか、ドキュメンタリーだったよなと思い出した。根底まで腐敗したものは早々簡単には刷新できないということか。他人事には思えない。今の為政者が望むのは世間の無関心だ。どんなスキャンダルが起ころうと目先にうまそうなエサをぶら下げれば政権を維持できるってことなのか。この映画は、そうさせてはならないってメッセージに思えた。途中、抗議行動を起こしていた人たちが叫んでいた「無関心は人を殺す」というスローガンが心に刺さる。そう、長いこと腐敗してしまった原因の1つは無関心ってことだ。
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