スイング・ステートのレビュー・感想・評価
全47件中、1~20件目を表示
地方の町長選が民主党対共和党の代理戦争になる痛快風刺エンタメ
ブラッド・ピット率いる制作会社プランBは、アダム・マッケイ監督と組んで『マネー・ショート 華麗なる大逆転』や『バイス』といった金融業界や政界を風刺する社会派エンタメを作ったが、この2作にも出演していたスティーブ・カレルを今度は主演に据え、地方選挙を題材にしつつもテイストの似た新作を送り込んできた。
カレルが演じる民主党の選挙参謀ゲイリーは、かつてヒラリーの大統領選を支えるもトランプの共和党陣営に敗れたという設定。その時の宿敵である共和党の選挙参謀フェイス(ローズ・バーン)と、ウィスコンシン州の小さな町の町長選で民主党対共和党の代理戦争を繰り広げるという話。ストーリー自体はフィクションだが、17年のジョージア州下院議員補選で55億円相当の選挙資金が投じられたことや、地方選挙の候補者たちがニューヨークに出てきて現地の金持ち(当然その地方の有権者ではない)を集めて資金調達イベントをしているといった事実を反映したという。
カレルとバーンはライバル同士を大真面目に演じているが、「そこまでやるか!」という、なりふり構わぬ戦いぶりで大いに笑わせる。ゲイリーが支援する町長選新人候補役のクリス・クーパーと、その娘役のマッケンジー・デイビスもいい味を出している。予想外の結末も悪くない。
メガホンをとったジョン・スチュワートは、長編監督としてはこれが2作目だが、政治風刺コメディ番組「ザ・デイリー・ショー」の脚本・副プロデューサー・司会を16年間務めた経歴を持ち、在任中のオバマ大統領にインタビューするなど大物政治家からも一目置かれている人物。日本でも近年、「新聞記者」や「パンケーキを毒見する」など、同時代の政治を風刺する映画の文化が育ちつつあるように感じるが、この「スイング・ステート」を観るとまだまだだと思う。“代理戦争”つながりで振り返ると、2019年の参院選広島選挙区で菅官房長官(当時)が推す新人の河井案里氏と岸田氏らが推す現職の戦いが「菅vs岸田」の代理戦争と騒がれ、のちに河井夫妻が大規模な買収に関わったとして選挙違反で逮捕された事件などは映画化のネタの宝庫だろうが、この事件を題材にした社会派エンタメが作られたらきっと面白いのにと期待しつつも難しいだろうなと考えてしまう。
秀逸作品
笑えるところも多く、選挙戦の闘い方を皮肉を含めながら見せてくれて楽しく観れました
主演のスティーブ・カレルを始めそれぞれのキャストも良かったです
スティーブ・カレルとローズ・バーンの小競り合いが何回も笑えました
選挙はどんな結果になるかと思っていたら、「やられたー」となる結末
そんな予想外の着地点でさらに楽しくなりました
選挙参謀の物語
スティーヴカレル扮するゲイリージマーは、大統領選で民主党ヒラリークリントンを推したがトランプに敗れた。その後ゲイリーは田舎の町長選に乗り出した。
選挙参謀の物語だね。まず看板を立てる。そして電話作戦。運動しなきゃならないし忙しいね。アメリカンジョークは難しいね。
「社会派コメディの傑作」なのだが…
本作は、
周到に用意されたラストが、まさに文字通りのクライマックスとなる!…はずだった。。。
が、実際には
映画の中味が充実しすぎて!、ラストにまったく左右されないほど(換言すれば、ラストはどうでもよくなってしまうほど)面白いのだ。
民主党か共和党か、
いずれの党にも偏らないで支持基盤が拮抗し、毎回の選挙結果(大統領選や上下院選、知事選など)が振り子のように変わる、いわゆる「スイング・ステート」。
ステートは「州」だが、本作の舞台は、その州に属するさらに小さな単位「町」の町長選挙戦となる。
Wikipediaによると、
本作は「社会派コメディ」とカテゴライズされている。
つまり、リアルに描こうとすると重苦しくなりがちな社会の実像を、喜劇調に取り上げることで、
・よりポップに、
・よりシニカルに、
・ウソのようだが、よりリアルに、
観客サイドに訴えかけてくる。
特に、主役を務めるスティーブ・カレルは、「社会派コメディ」との相性が抜群で、他の追随を許さない。
民主主義を他国に強要することすら辞さない、民主主義の総本山ともいえるアメリカにおける「選挙」の実像の滑稽さ、
選挙に勝ちたい立候補者や政党に巣食って、とてつもない利潤をむさぼるPRエージェント(ほとんど「選挙ゴロ」と呼べるレベル)、
選挙という手続きイベントがいつの間にか目的化してしまっている現代アメリカの実像を、豪快に笑い飛ばした傑作。
冒頭に触れた「計算ずくのラストシーン」は、本作の設定を正当化する意味では必要なのだが、
それが不要に感じるということは、初期設定にかなり無理があったこと、もしかしたら不要ですらあったことを示しているとも言える。
ゆえに、★3.0
皮肉が心地よいコメディ映画
トランプに敗れたヒラリー陣営の選挙参謀が、失地回復を狙って挑む田舎の町長選を描く物語。
アメリカ社会、政治を風刺するシニカルなコメディ映画です。
アメリカの政治風景を理解するのに、丁度良い映画のように感じました。
ただ、そこはコメディ映画。テンポも良く、笑いもあり、観やすい映画に仕上がったように思います。
ラストは驚きもありましたが、映画全般に伏線を配していないので、物足りなさを感じたのが残念なところ。
私的評価は普通にしました。
なかなか面白い
大統領選の裏側にはこんな風な汚い駆け引きがあったんだろうな、と納得させられるポリティカルコメディ。
スティーブ・カレルとローズ・バーンのいかがわしさも、とても笑える。「リベラルな農民」クリス・クーパーもはまり役ですばらしい。最後、意外な展開を見せますがそれも快哉。
2022年 111本目
正直日本の政治もよくわからないのにアメリカの選挙の話とは。。と思ったがスティーブ カレルが出てたから観ました。普通に笑えるところもあり面白かったです。また最後にはいい意味で騙されました。
鑑賞動機:あらすじ9割、カレル1割
あらすじがちょっと面白そうに見えたから観たのだが、ちょっとどころじゃなかった。主人公が嫌な奴なのがまたいい。
現状ありえるらしいのがまたすごい。お見事でした。
まあでも誰かに訴訟起こされそうな気もするけど。
二大政党制の良し悪し
米国共和党と民主党の自治体選挙での争いコメディ。両党の専任アジテーター(というべきか)が、神輿を担いでぶつかり合うっていうとだんじり祭みたいだけど、まあそんなものか。
それだけで終わらず、皮肉り方もなかなか面白かった。
救世主はダイアナ!
なんとなく物語が進むに従って、わかってくる…
そう、未来はやっぱりダイアナが!
アメリカは政治をコケにできるだけの民主主義が育ってる。
オレが子供の時から好きなアメリカ。
でも日本でも、近い将来、こんなダイアナがおじさんたちに一杯食わせる、きっと。
【米大統領選で、共和党のトランプにまさかの敗戦をした、民主党ヒラリー陣営の選挙参謀が起死回生を狙って田舎の町長選に波乱を齎すシニカルコメディ。最後に勝利したのは、どっちだ!】
ー 名優、美人どころ総出演である。
共和党の選挙参謀、ゲイリー・ジマーに、スティーブ・カレル。
民主党の美しき選挙参謀、フェイス・ブルースターに、ローズ・バーン。
そして、ゲイリー・ジマーに”担がれちゃって”町長選に出馬することになった退役軍人ジャックには、クリス・クーパー。
コレマタ、雛には稀な美人で、ジャックの娘にはマッケンジー・デイヴィスである。
そして、何故か、皆、与えられた役を楽しそうに演じているように見えた・・。ー
◆感想
・とにかく、序盤からアメリカの選挙(日本も同じだな・・)を、おちょくるシーン連発である。
・普段はのどかな田舎町だが、ゲイリーが一晩泊まっただけで、翌日には町の皆が彼を知っている、プライバシーとWifiなしの町の人々の面白さ。
ー ”あいつら、4年に1回しか来ないからなあ・・。”彼らのベタな、ゲイリーへのもてなし方が、ラストに効いてくるのである。
・スイング・ステートとは、字幕では激戦州と訳されるが、要するに共和党が勝ったり、民主党が勝ったり、という意味なんだよね。
あと、原題の”Irresistible"は、”選挙って、一回やると止められないよ!”ってことかな。
・劇中、頻繁に登場する選挙コマーシャルの面白さ。(日本も同じだなあ、ヤッパリ。)
何故か、斜め上を見た凛々しい顔と、重々しい決め台詞。
ー ”ウツクシイクニ、ニッポン”とか言ってた人、日本にもいたなあ・・。ー
・報道のスタイルも実にシニカルに描いている。いい加減な事しか言わない、自称評論家達。
・金権選挙の風刺の仕方や、フェイス・ブルースターの”私、この町の出身です!”と平然と嘘を言う姿。(で、全然反省していない・・。)
ー 選挙に勝つためには、手段は選びません!ー
<”普段、田舎には、全然関心を持たない癖に、選挙になると、ニコニコしながら
”皆さんのために!”とか言いながら、ノコノコやってきやがって!
田舎町を舐めんなよ!”
オチも最高な”架空の町の金権選挙”を描いた面白き作品である。>
<2021年10月30日 刈谷日劇にて鑑賞>
ためになったし、エンディングは痛快
恋人同士なのに、かたや民主党の、かたや共和党の、それぞれ選挙対策陣営の顧問をしているゲイリーとフェイスが、とある片田舎の基地閉鎖でさびれた町の町長選挙をかけて争う話。
ここまで巨大化、お祭り化した全米大統領選挙を痛烈に皮肉った作品。最後まで観れば、ちゃんとどんでん返すよ。痛快。
その分、途中の流れは、自分にはそんなに面白いわけじゃなかったけど、これは米国人じゃない弱みかも。たとえばフェイスが「情報戦に負けないように、津会える奴を連れてこい。誰かって?名前なんか知らない。ヒゲとオタクとメガネだ!」って叫んだその時に、それらしき3人が主人公ゲイリーの陣営に加わっているのが見える、なんてシーンは全米では大笑いなのかな。人種差別撤廃を訴える民主党の選対の中でも明らかに人種差別しているスタッフがいるってのも「あるある」って大笑いなんだろうな。大佐のニューヨークでの "裕福な人たちの前でのスピーチ" も米国人なら胸がすっきりするのかしれない。
いずれにしろ、米国の選挙がよくわかるしちゃんとエンタテインメントだし、観て損なし。他山の石としよう。
原題 「irresistible」 の意味は、抵抗できない、抑えられない、禁じえない、人を悩殺する、愛らしい、魅力的な、文句の言えない、いやおうのない といったところ。
選挙は、いったんやったらはまっちゃってやめられないもの、という点を揶揄したものかな。
この映画を見るにあたって必須の知識です。まあ、俺は知らないで観ても楽しめたから必須とは言いにくいかな、でも知ってた方がより楽しい。
スーパーPAC:米国でも企業・団体・組合が政党や政治家に直接献金することは禁止。通常は政治活動委員会(PAC)という政治資金団体を設立し、企業の役員や大口個人株主といった個人から資金を集めて献金していたが、個人献金は年間1人5000ドルに制限されていた。しかし、2010年の判決で「支持する候補者や政党と直接協力関係にない政治活動であれば、献金額に限度を設けてはならない」との命令が下されて以降は、「候補者から独立した政治団体」が、企業献金や個人献金を大量に集め影響力が大きくなった。これが、特別政治活動委員会(スーパーPAC)。無制限に資金を集めることが許されており、テレビのCMなどを利用して様々なキャンペーンを行なっている。
527条政治団体:公職者の選定、指名、選挙、または任命に影響力を及ぼす目的で結成され、選挙委員会によって規制されず、またPACのように寄付制限を受けない。これに対し、以下の批判もある。
「米国の選挙費用はきわめて高く、その費用が民間の資金源への依存と結びついているため、富裕な献金者と強大な利益団体が社会政策に不当な影響力を及ぼすという不安を引き起こしている」
(以上2件、Wikipedia等より引用)
以下はネタバレのあるかもしれないけど、いいなと思ったセリフを残しておきます
・ (景気が)よい時代に強がるのは簡単。苦しい時にこそ、信条を貫け。
・ 敵とは正直にぶつからないと勝負には勝てない。
・ 敵が汚いならこちらは清潔に。いっしょに汚くなったら後悔する。
・ 個人攻撃じゃただの足の引っ張り合い。情報戦じゃみんなをおかしくしてしまう。
・ 報道も加担していること。ニュースはもはや娯楽のひとつだ。自己免疫疾患だ。
以上です。
選挙の正しい使い方
気取った奴を小バカにするってなんて笑えるんだろう。
意気揚々と乗り込む選挙屋をアウェイ感たっぷりに描き、鼻で笑う。もうこれだけでも充分に楽しめた。
上の上を行くあっぱれなラストは気分爽快。
チ○○゜の時間だw‼
2016年の大統領選で敗北し、自棄になっていた民主党参謀のゲイリーが、見事な演説を行う退役軍人の動画を観たことから、彼を激戦地区(スイング・ステート)のウィスコンシン州の町の町長にしようと奮闘するが…と言った物語。
普通なら小難しい政治選挙の世界を小さな田舎町に落とし込み、穏やかな雰囲気と下品な下ネタで分かり易く楽しむことのできる、風刺いっぱいのコメディ作品。
民主党参謀のゲイリーのライバルとなるのは、やはりというか共和党参謀女性、フェイス。二人の下品な闘いが、田舎町の皆を巻き込んだ騒動になる…と思ったが。
資金調達、広報、根も葉もない嘘と相手スキャンダルのキャッチ。醜い足の引っ張り合い…と、一国の選挙も小さな町の町長選も基本は同じなんですね。なんか逆に感心してしまうw
滅茶苦茶なコメディに見えて、選挙戦のアレコレを非常に上手く、リアルに分かり易く見せていく様はお見事‼さて、どういうオチに持っていくのかと思ったら…おおっ‼
こういうのがあるから映画は面白いですよね。序盤はそこそこでしたが、後半はガッツリ面白く、ラストの盛り上がりにはやられました。
「28歳の自分が…(中略)…そんなのないよ」
う~ん成程。これもある意味、リ○○○派の仲間と思っていたところで…と考えると、深いですね。
笑えるポイント(と言っても、かなりアレな下ネタですがww)が随所に散りばめられつつ、政治やマスコミに一石を投じるメッセージ性も強い掘り出し物作品だった。
ウィスコンシン州と言えば、去年の大統領選でも大いに盛り上がっていましたね。
4年に1度だけ・・・成る程そうなのか。。
とんだ食わせ物め‼
ゲイリーとフェイス、良いキャラでしたね。きっと二人は今頃なが~いf…おっと失礼。
またじっくり観てみたくなる作品だった。
問題提起もわすれないブラックコメディ
トランプを大統領にしてしまったという点で、アメリカ大統領選挙って欠陥品だと思っている。制度だけではなく、選挙戦略でも腐っている気がする。日本の報道や映画等でのフィクションで知る限りの情報ではあるが、あまりにもイメージ戦略と誹謗中傷合戦がすぎる。それは日本でも似たようなものなんだけど。
本作は大統領選ではなく、大統領選に向けた前哨戦的な形で地方の田舎町の町長選挙に民主党候補を擁立させようとする話。ちゃんとした政治や選挙の話も出てくるが、都会の選挙参謀が田舎町の現実にぶち当たって戸惑うというコメディテイストな話。
ディアラーケンという町は、一晩泊まってバーで話しただけで町中の人々に知られてしまうという序盤のエピソードからして強烈。出てくる人も保守的な人々がたくさん。で、この人たちが終盤(本当にラストの方)で様変わりするところが個人的には面白かったし、やられた感が強かった。
ブラックコメディなんだけど、きちんと現在の選挙のあり方に対して問題を投げかけているところも好感が持てる。あんな形で選挙資金が使われたとしてもいいんじゃないかと思ってしまう。広島の元議員夫妻みたいに党からもらった資金をどう使ったか説明していない状況に比べると断然痛快な気分だ。これ実話じゃないんだよな。とてもよくできた脚本だった。
激戦区という意味。
田舎の選挙にプロの選挙屋が全力で介入する話し。
クリスクーパーがかっこいい。
基本アメリカの選挙ビジネスや、投票の仕組みを知ってないと完全に楽しめないのが悔しい。しかし登場人物は分かりやすくカリカチュアされ楽しいし、テンポもよいし、落ちもある。
まあ、その辺ももっとアメリカの選挙わかってるとガッツり楽しめるんだろうなぁ、、、くそー。
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