「「社会派コメディの傑作」なのだが…」スイング・ステート Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
「社会派コメディの傑作」なのだが…
本作は、
周到に用意されたラストが、まさに文字通りのクライマックスとなる!…はずだった。。。
が、実際には
映画の中味が充実しすぎて!、ラストにまったく左右されないほど(換言すれば、ラストはどうでもよくなってしまうほど)面白いのだ。
民主党か共和党か、
いずれの党にも偏らないで支持基盤が拮抗し、毎回の選挙結果(大統領選や上下院選、知事選など)が振り子のように変わる、いわゆる「スイング・ステート」。
ステートは「州」だが、本作の舞台は、その州に属するさらに小さな単位「町」の町長選挙戦となる。
Wikipediaによると、
本作は「社会派コメディ」とカテゴライズされている。
つまり、リアルに描こうとすると重苦しくなりがちな社会の実像を、喜劇調に取り上げることで、
・よりポップに、
・よりシニカルに、
・ウソのようだが、よりリアルに、
観客サイドに訴えかけてくる。
特に、主役を務めるスティーブ・カレルは、「社会派コメディ」との相性が抜群で、他の追随を許さない。
民主主義を他国に強要することすら辞さない、民主主義の総本山ともいえるアメリカにおける「選挙」の実像の滑稽さ、
選挙に勝ちたい立候補者や政党に巣食って、とてつもない利潤をむさぼるPRエージェント(ほとんど「選挙ゴロ」と呼べるレベル)、
選挙という手続きイベントがいつの間にか目的化してしまっている現代アメリカの実像を、豪快に笑い飛ばした傑作。
冒頭に触れた「計算ずくのラストシーン」は、本作の設定を正当化する意味では必要なのだが、
それが不要に感じるということは、初期設定にかなり無理があったこと、もしかしたら不要ですらあったことを示しているとも言える。
ゆえに、★3.0