劇場公開日 2021年9月17日

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「問題提起もわすれないブラックコメディ」スイング・ステート kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0問題提起もわすれないブラックコメディ

2021年9月28日
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鑑賞方法:映画館

トランプを大統領にしてしまったという点で、アメリカ大統領選挙って欠陥品だと思っている。制度だけではなく、選挙戦略でも腐っている気がする。日本の報道や映画等でのフィクションで知る限りの情報ではあるが、あまりにもイメージ戦略と誹謗中傷合戦がすぎる。それは日本でも似たようなものなんだけど。
本作は大統領選ではなく、大統領選に向けた前哨戦的な形で地方の田舎町の町長選挙に民主党候補を擁立させようとする話。ちゃんとした政治や選挙の話も出てくるが、都会の選挙参謀が田舎町の現実にぶち当たって戸惑うというコメディテイストな話。
ディアラーケンという町は、一晩泊まってバーで話しただけで町中の人々に知られてしまうという序盤のエピソードからして強烈。出てくる人も保守的な人々がたくさん。で、この人たちが終盤(本当にラストの方)で様変わりするところが個人的には面白かったし、やられた感が強かった。
ブラックコメディなんだけど、きちんと現在の選挙のあり方に対して問題を投げかけているところも好感が持てる。あんな形で選挙資金が使われたとしてもいいんじゃないかと思ってしまう。広島の元議員夫妻みたいに党からもらった資金をどう使ったか説明していない状況に比べると断然痛快な気分だ。これ実話じゃないんだよな。とてもよくできた脚本だった。

kenshuchu