「映画人は映画を作ってナンボだ」ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
映画人は映画を作ってナンボだ
お気楽なアクション映画だ。ギャグやジョークを多めに盛り込んでいるのだが、コロナ禍のせいであまり笑えない。コロナ禍の前と後では世界が違う。何をどう足掻いても、コロナ禍の前の世界には戻れない。人心が決定的に変わってしまったのだ。
コロナ後の世界に合わせて文化も変わる。映画も同じだ。変わらなければ観客の琴線に触れることができない。世界が変わっても生き残る作品は、どれも人生の真実を描いている。単なる娯楽作品は、コロナ後の世界に合わせないと笑ってさえもらえない。
本作品がいい例だ。ライアン・レイノルズは体を張って頑張っていたが、どうしても空回りに感じる。今どきカネと暴力で世界に復讐しようとする族(やから)はウラジミール・プーチンくらいである。どうせならプーチンをモデルにしてしまえばバカウケしたかもしれないのだが、本作品の製作時にはまだウクライナ戦争は起きていなかった。運が悪い。
作品自体は大したことがなかったが、コロナ禍の中でこういうガチ密着アクション映画を製作した心意気は買う。映画人は映画を作ってナンボだ。
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