劇場公開日 2021年8月28日

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「横浜中華街の歴史から見る日中台の複雑な関係」華のスミカ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0横浜中華街の歴史から見る日中台の複雑な関係

2021年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

横浜中華街における、中国と台湾の対立の複雑な歴史を、監督の家族のルーツをベースに個人史と絡めて解き明かす素晴らしい作品。
中国大陸と台湾の対立は、近年国際社会の中でも大きな関心ごとになっており、日本も利害関係においても地政学的リスクにおいても無関係ではない。その中国と台湾、そして、日本の歴史が複雑に絡まり合い、今の横浜中華街が出来上がっている。大陸系と台湾系の対立はこの街にも存在し、学校が分裂、中国と台湾の政治的な動きに常に翻弄されてきた。親戚同士でも政治的な考えが対立することすらある。
今でも横浜中華街には、中国系と台湾系の学校に分かれている。それぞれの学校に通わせるのか、日本の一般の学校に通わせるのかの選択は、中華街の住民にとって大きな意味を持つようだ。
中華街では国慶節などを祝う行事も催される。それぞれの記念日には、台湾系の店は国旗の旗をしまうなど、譲り合いの精神もあり、対立はあっても共存している様子をカメラは映し出す。だから、いつ訪れても、水面下での思想的、歴史的対立はあれど、中華街は平和に見える。しかし、中国と台湾の大陸はどんどん先鋭化している。これからも中華街の平和は保てるのだろうか。
この映画は見せる歴史は間違いなく、日本の歴史の1ページでもある。この歴史を知ることができて本当に良かった。

杉本穂高