「猫は逃げない。人間が逃げるのだ。」猫は逃げた ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
猫は逃げない。人間が逃げるのだ。
互いに不倫相手のいる、冷めきった夫婦関係の男女が、猫の親権を巡り、
離婚の最後の詰めを進められない、というお話。
「子はかすがい」でいう所の子を、猫に置き換え、
猫が、かろうじて夫婦関係を繋ぎ留めている設定。
ラストの、行方不明になった猫を巡り、4人が言い合いになる長回しシーンは、
それまで押さえ込んでいた各々の感情が、ぶつかり合うので面白かったが、
前半から中盤は、煮え切らない態度の登場人物に、ダラダラした展開も加わり、
睡魔が襲う。なんかあればすぐSEXで誤魔化すし。
夫婦喧嘩は犬も食わないなんて言うが、実際の犬は案外、
人間が喧嘩してると、仲裁に入ることが多い、賢い生き物だ。
ストレスに弱い猫のほうが、夫婦喧嘩を食わず嫌うかもしれない。
猫もうんざりして家出したんではないだろうか。
と、鑑賞直後は思っていたが、、、
猫は嫌気がさして家から逃げたのではなく、
隣家の飼い猫ミミちゃんとSEXしたいから、ミミちゃんのいそうな河原に赴いたのだ。
もしかしたら、自分の、そう長くない寿命に気づいていたのかもしれない。
子孫を残すためにSEXに赴いたと考えれば、猫のSEXは前向きなSEXだ。
一方、夫婦らの互いの不倫相手とのSEXは、離婚するかどうかを決めたくない、
現実逃避のためのSEXだった。
猫が逃げたのではなく、人間が逃げたのだった。そういう作品だったか、チャンチャン。
やはり、作品としての構成は面白い。形は面白いのに、
なんかこう、ダルい感じの感想しか持てない。
主要人物の4人に、好感を持ったり、共感する部分が全くないからだろう。
人間よりも猫のほうに熱いもの、一途なものを感じる。
猫を主役にすればよかったかも。
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