「シュークリーム濡れ場」猫は逃げた BDさんの映画レビュー(感想・評価)
シュークリーム濡れ場
「愛なのに」を数ヶ月前に見てからの鑑賞。まずはこの脚本交換、監督交換という神々の遊びのようなコンセプトで作品を出してくれた二人の偉大なクリエイターに感謝。
で、ふた作品見終わった結果として、やっぱり比較論で語りたい。「愛なのに」監督城定、脚本今泉。「猫が逃げた」監督今泉、脚本城定。作家性が強く出ているのは今泉監督の方かな、と感じた。城定監督(そこまですみません見てるわけではないのですが)の方にどちらかと言うと「せっかくなんでコラボしてるっぽい感じにしたいな〜」という欲望を感じ、今泉監督の方は通常運転。
で「猫は逃げた」に関して言うと、企画上必須項目だったであろう「濡れ場」が一つの鍵かなと思うんですが、なんか、そんなに張り切ってない笑。「愛なのに」の方は、うわ〜ネッチョリしてんなぁ…って感じに見えましたね。これ、濡れ場要ります?ってレビューが他のレビュワーの方にも散見される印象ですが、よく分かります。推測ですが、この企画において一つの約束事として濡れ場は用意されており、今泉監督はハナからそれを有機的に活用するつもりはなかったんじゃないのかなぁ。今泉演出にそれは不要、とも言えますし、コラボの機会に「ちょっと頑張ってみようかな」とはならなかったのね、とも言える。
「愛がなんだ」でもそうでしたけど(成田凌ができなかったやつ)今泉監督にとっての濡れ場は一つのプロットにすぎず、あのシュークリームのようなスポンジにふわふわと包まれたゆる〜いドロドロ劇の中の一つ。
ダメな人達がゆる〜い空気を揺蕩って、最後の最後ゆる〜く破裂する(とは言っても行われるのは短い痴話喧嘩で、結局みんな日々を引き続き楽しく生きる)と言うのが今泉作品の常套手段。濡れ場、と言っても、いつもの今泉作品でほんの一節として描かれているものと変わらない、シュークリーム濡れ場。
「愛なのに」は今泉ワールドの城定的解釈。「猫が逃げた」は城定監督による今泉監督に合わせた楽曲提供、って見えましたね。城定さんのプロット、その辺は完全に狙ってたかな、と言う印象。ハッキリ言って猫出してくんのズルすぎでしょ笑 それとも、こんな風にすると今泉さんっぽくなるかな、的なことだったのか。そんな目線でも楽しめました。
あとはまぁ、相変わらず素敵でしたよ笑 ゆるく冷めてる夫婦の二人とか、別にセ⚪︎レの二人も、言うは言うんだけどそんなに本気じゃなかったりとか、なんだかんだみんな楽しそうにしてたりとか。気軽に楽しめる今泉キャラって感じですよね。カジュアルに楽しんだ作品でした。