「人が人に恋をする。純粋な愛、一途な愛、そして不純な愛。様々な愛の形を描いたシチュエーションドラマです。」愛なのに もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
人が人に恋をする。純粋な愛、一途な愛、そして不純な愛。様々な愛の形を描いたシチュエーションドラマです。
城定秀夫が監督で今泉力哉が脚本という、この作品。
やはり観ない訳には。と言う事で鑑賞してきました。
決して多くは無い登場人物の間で起きる
「好き」 という感情を、
いくつもの視点から描き出したお話でした。
♡女子高校生・岬は古書店の多田に好意を告白中
♡その多田は何年も前から 一花に片思い中
♡その一花は婚約者との間で結婚に対する温度差を感じ中
♡婚約者・亮介は結婚式場のプランナー・美樹と不倫中
さらには
婚約者の不倫を知った一花が
多田に、仕返しのため一度きりの不倫をもちかけたり
最初は断るものの結局ヤッてしまったり と
… うーん。 実はドロドロ ?
と思いながら観てましたが
ドロドロな内容だけかと思えば、そうとばかりも言えず
陰湿なドラマかと言えば、意外とそうでも無く
モラルとインモラル
純粋と不純
そういったものが微妙なバランスを取った上でお話が進む
軽妙かつ巧妙なラブコメディー作品
そんな感想を持ちました。
※一歩間違えば 自己中心エピソードのオムニバスになりそう
…とも思ったり (…汗)
とかいいつつも
鑑賞後のトータルな心象は、悪いものでは無かったです。
観て良かった。
満足です。
◇で
観終わって帰宅して、しばらく経つと
「よく考えると、色々と分からない事があるなぁ」
-という事に思い当たります。
・「この娘はいつ、主人公(瀬戸くん)を好きになったのだろう?」
・「何かきっかけとなったエピソードがあるのか?」
・「新郎と結婚式場の女は、いつから肉体関係になったんだろう」
ストーリーを思い返しても
話の中でそういった事は触れられていません。 (…そのハズ)
「スクリーンの中で起きている事」
が作品の全て。
会話のひとつひとつにリアリティが感じられ
見ている最中、スクリーンの中の会話に
集中してしまっていました。
「人物の背景なんか気にしたらアカンですよ」
終始、そう言われているような気すらしました。
脚本が良いのか、構成が良いのか。 はて。
この作品
「リアリティに溢れたシチュエーションドラマ」
なのだろうと、勝手に納得することにしました。 (良いのか…?)
観る人の感性に合えば、とても楽しめる作品かと思いますし
私は楽しめました。
◇あれこれ
■下手っぴ (…ナニが?)
今日で不倫関係を最後にしようと別れを切り出す新郎。
それをあっさりと受け入れる相手。
「もっと引き止めるとか、しないの?」
「あなた会話は面白いけど」 けど…?
「ヘタだもの」 えっ
「控えめに言っても」 えええっ
「どう考えても (以下略)」 …
二人の女性の間を、上手く泳ぎ回り
自分のことを「冷静で華麗な男」と信じて疑わない
自己中心ナルシストの新郎くん。
散々に言われ、取り繕いながらうろたえる姿が可笑しい。
■出来た (何が?)
子供が逆上がりに挑戦するシーン。
ストーリー本編の背景的に、何度も登場。
失敗しても諦めず、ようやく成功。 やったね。
「お父さんもやってみせてよ」
「お父さんは …いいから」
「ええ~ やってよ」
「… お父さん、本当は出来ないんだ」
「…」
「…」
こうして父親の権威は地に落ちていくのですね。 (涙)
■嫌な奴 (誰が?)
多田くんの暮らすアパートに突然やってくる岬の両親。
「あなたのやってること、分かってます?」
「娘は高校生なんですよ。キモチワルイ」
いやいや。
あなた達も充分、非常識でキモチワルイです。
こんなのが親だから、早く家を出て
自分の家族を作りたいのかなぁ …などと思いました。
◇最後に
徹底的に「あるはずの世界を見せない」のが
「アルプススタンドのはしの方」に通じる部分なのかも
などと、一人で勝手に納得しています。
※城定秀夫監督の他の作品を見ていないので、
違うかもしれませんが…
この作品の組み合わせとは逆の作品も公開中ですね。
( 「猫は逃げた」 )
今泉力哉が監督で城定秀夫が脚本。
これも気になっています。 ネコ様だし。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
いいね、ありがとうございます。そしてあけましておめでとうございます。俺はかなり好きな映画です。
もりのいぶきさんが気になった点は、おっしゃる通り明らかにされてません。俺はそれをすんなり受け入れられるのが、いい脚本なのかな、と勝手に思ってます。(実は、単に気づかないだけ、とも言いますが(笑))
お忙しい中お邪魔します。
昨年は大変お世話になりましてありがとうございます。
新年早々の映画がR-15、少し恥ずかしいです。でもユーモア溢れて
良い映画でしたね。
今年もよろしくお願いいたします。