劇場公開日 2022年2月25日

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「下手っていうか…下手ですね」愛なのに 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0下手っていうか…下手ですね

2022年3月2日
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鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

萌える

女子高生の岬は古本屋に通い詰め、店主の多田へ猛烈に求婚。
来店するたびにプロポーズの手紙を渡している。
一方、多田は一花のことが忘れられない。
その一花は亮介と婚約中。
結婚式の手伝いなど、何もしてくれない亮介に不満を抱いていた。

城定秀夫×今泉力哉なんてつまんないわけないじゃんか。
城定監督のエロスと今泉監督の男女間の空気作りが上手くマッチして、観たかったものをしっかりと観せてくれた。
お互いの足りない部分がお互いで補完出来てて◎

食い違ってなかなか1つに集約しない愛。
それぞれがすれ違ってもどかしくて腹立たしくて。
でもそういう不完全こそ愛なのかも。代用したり復讐したりするのは少し違う。
「結婚は相手の親と自分の親と生まれてくる子供たちのためにするものだよ」
どうしても愛を結婚という形に収めたがるけど、愛は別にあっても良いという、新しい愛の形を見つけられた気がした。
毎回、新感覚で独特かつ納得のいく恋愛観を提示してくる今泉脚本。
多田は岬にとって“ただ”1人の男性、一花はこれから“一家”を築く、とか勝手に思ってる。
本屋のお爺ちゃんとか逆上がりの親子とか主人公たちの隙間にいる人たちもなんだか良いよね。

内容やその他諸々の中で“群を抜いて”良かったのは、亮介を演じた中島歩。
最近よく見かける俳優さんだけど、今作で大好きになった。
低めの声と濃いめの顔立ち。
亮介という男は色気ムンムンでカッコいいのに、やってることがカッコ悪い。
クズすぎてどうしようもないけどなんだか憎めない。
彼のシーンはずっとニヤニヤしてた。
河合優実も個人的ベストアクト。

愛について深く切り込んだり神に縋ろうとしたりすれど、結果的にはコメディ。
結局は気持ち良いからとか、御心とお心を間違えちゃうところとか、下手ですねの件とか、声に出して手紙読むところとか。
会話の雰囲気がとても好き。
『猫は逃げた』も楽しみです。

唐揚げ
琥珀糖さんのコメント
2023年1月1日

今年も良い年でありますように。
よろしくお願いします。

琥珀糖