「「恐竜の世界」を描くのかと思ったら…な一作」ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「恐竜の世界」を描くのかと思ったら…な一作
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でホラー味を前面に打ち出した流れから、再び「恐竜たちのいる世界」の面的な広がりを描くことに回帰した本作。『ジュラシック・ワールド』(2015)のコリン・トレボロウ監督が再登板しているため、オーウェン(クリス・プラット)を中心とした物語になるのは必然としても、マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)やグラント博士(サム・ニール)といった「パーク組」もしっかり活躍していて、(一応)シリーズ完結編として新旧両シリーズファンに目配せした俳優陣を揃えています。
もちろん本シリーズの真の主役は恐竜たちで、雪原やイタリア市街を縦横無尽に走り回る姿は、CGだと分かっていてもその迫力、存在感に驚かされます。今回はこれだけ「面的」な描き方をしてくれるのか!と期待していたんですが、後半になるとやっぱり閉鎖空間での闘いになってくるんで、ちょっと残念。とはいっても見せ場の連続なので、決して物足りない、ということはありません。ドラマパートはあまり練り込まれているとは言いがたいのですが(ドジスンが親玉、という時点で…)、やはりこの恐竜たちが躍動する姿を観るだけでも劇場に足を運ぶ価値は十分あります。
本作に対する一般的な評価としては、シリーズ完結編であるにもかかわらず、前作でマルコム博士が指摘したような、再び地球上を闊歩するようになった恐竜たちと人類がどのように共存していくのか、といった重要なテーマを十分掘り下げていない、として否定的に捉える向きも多く、それが影響してか興行的にも苦戦を強いられているようです。となると、真の完結編と銘打ってさらなる新作もあるかも、とちょっとうがった期待をしてしまいました。