「共存とは」ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
共存とは
30年前に劇場で「パーク」1作目に遭遇し、映像の凄さと音楽の素晴らしさ、そしてSF・パニック・ホラーが見事に融合した物語に身体が本当に硬直しているのを感じながら観た思い出は、今も鮮明に覚えてる。
スピルバーグ作品としては一番好きかも。
で、「ワールド」。
これも1作目は楽しめた。
今回はその「パーク」「ワールド」の両雄が邂逅する。
…たぶん、それがいけなかったんだ。
全員集合しないとダメ?
確かにスター揃いで画にパワーがあるのは認めるけど、本作の新キャラや敵も合わせて増えすぎた登場人物に時間が割かれ過ぎて、肝心の恐竜とのドキドキは非常に淡白。
少なくとも、全員を一つの画面にまとめる必要は特にないし、その為に全員を合流させる流れがいかにも無理やり。
で、物語なんだけど、まず出てくる大人達がとにかく「うかつ」過ぎ。
そしてこれが一番私は呑み込めなかったポイント。
映画のラストに「恐竜との共存はできます」みたいなこと言わせて、恐竜と動物が仲睦まじげにしてる映像が続くんだけど、生物界の「共存」ってこういうことじゃないよね。
(正式な定義は知らないけど)食ったり食われたりしても、それぞれの個体数や環境が維持継続される状態が「共存」なんじゃないの?
人間が一人も喰われない状態を前提にしている人類にとっての「共存」って、そもそもそういう動物を檻に入れたり、距離をとって眺めたりすることでしか成り立たない訳で、それは結局他の猛獣たちと同じ。
これを「共存」と呼ぶなら、ラストの映像はただの妄想であり欺瞞。
むしろ映画冒頭の「恐竜パニック」的な状態こそ、「共存」なのでは?と思えてしまう。
ま、その辺りはあくまで個人的に引っ掛かった部分だけど、いろんな人といろんな恐竜がワチャワチャする2時間半。
もう少しシンプルに見せて欲しかった。