「連続活劇の面白さ❗」ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
連続活劇の面白さ❗
2023年5月4日
WOWOWのシリーズ一挙放映にて。
ワールド三部作は、1作目『ジュラシック・ワールド』でも監督を務めたコリン・トレヴォロウに全3作のコンセプトを任せたことが正解だったと思う。
全作デレク・コノリーと共同で脚本に携わり、2作目『…/炎の王国』からは製作総指揮も兼務している。
ディテールに矛盾があったりはするが、パーク三部作よりも一貫性を保つことができている。
このトレヴォロウという人は、このシリーズ以外の作品を知らないのだが、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の監督・脚本を更迭された経歴を持つ人物。脚本が通らなかったらしい。
本シリーズは〝戦い〟の要素を加えて、見事にアクション色を強めているから、もしかしたら『…スカイウォーカー…』のプロットもアクション性が高いものだったのかもしれない。
本作で監督に復帰したのは、演出力も評価されているからだろう。2作目で若干もたついたのを挽回して、キレが良いのは間違いない。
さて、映画のシリーズものは、一本一本が独立・完成したものでなければならない。
大長編の小説を何本かに分けて映画化するものと違い、本シリーズのように1作づつオリジナル脚本を練っていくのは、相当に大変なクリエートだと思う。
「007」のダニエル・クレイグ編でも感じたが、あたかも最初からシリーズ一気通貫のプロットがあったかのように最後に纏めあげる脚本チームを凄いと思う。
小説家や漫画家も、連載中の読者の反応を見て先のストーリーを考えたりするのだから、同じようなものだが、映画は出資者や役者・スタッフも絡んで、相当に大変だと思う。
映画史にエポックを画した第1作を引き継ぎ、ジュラシックシリーズの6作目で見事に有終の美を飾った本作の製作・制作陣を称賛したい。
****以下、公開時のレビュー****
理屈はいらない。
とにかく、アクションの連続。
『ジュラシック・パーク』から始まったこのシリーズは、スピルバーグが監督した1・2作目だけマイケル・クライトンの小説を原作としている。特に1作目はクライトン自身が脚本に参加していて、彼のSF的設定の解説はそれなりに説得力があった。
3作目以降は、クライトンから離れてアクションに重心を置いている。
本作においても、ああだ、こうだと理屈付けする説明台詞はあるにはあるが、どうせ説得力などないのだから適当にさらりと流していて潔い。
クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワード主演の『…ワールド』三部作の完結編で、メイジー役のイザベラ・サーモンも前作から続投。この娘、キリリとした目元が魅力的だ。
そこに、第1作目のサム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムが同じ役で加わる。
シリーズ集大成の呼び声のとおり、新旧キャラクターが合体して悪と戦い、襲いかかる恐竜たちをかわし続ける。
文句のつけようがない胸ワクのエンターテイメントだ。
主人公たち一行は、どんな目にあってもたいした怪我すらしない。飛行機が墜落しても無傷だし、分厚い氷が張ったプールに潜っても、全然寒そうにない。
素晴らしいじゃないか、この徹底ぶり。
もちろん、見過ごせない部分もなくはない。
密輸航空機のパイロットであるケイラ(ディワンダ・ワイズ)が命懸けで主人公に協力する理由がいい加減だし、バイオシン社のエリート職員ラムジー(マムドゥ・アチー)が会社を裏切るきっかけが軽い。ラムジーは裏があるんじゃないかと最後まで思っていたが、そのままストレートだった。
ウー博士(B・D・ウォン)の扱いも納得感がない。彼に罪はなかったのだろうか。『…パーク』『…ワールド』を通してのキャラクターだから花を持たせたのか。
結局、恐竜たちとの共存環境の問題は片付いていないのではないかとも思える。問題が巨大イナゴによる農産物被害にすり変わったようで、恐竜が繁殖して人間の居住環境に侵攻していた問題は、このままだと再発必至だ。
本作でシリーズは終幕とのことだが、未解決イシューをちゃんと残しているので、きっといつか復活するだろう。
それに反対はしないし、このクオリティなら歓迎だ。
ただ、スピルバーグの指揮下を離れてしまうと品質維持は難しいだろうと思う。
コメントありがとうございます。
最後なのであのテーマ曲で締め括って欲しかったのですが…。
奇しくも“共存”というテーマが世界の現状と被ってるようにも見えましたね。
このシリーズは究極のエンタメでありつつ、テクノロジー警鐘などメッセージも込められていますから。