「作り込みが足りない」TANG タング LSさんの映画レビュー(感想・評価)
作り込みが足りない
アニメでは既視感ある題材だが、邦画で実写SFというので1年前から期待していた。
すごいと思ったのはCGで描かれたロボットTANGの映像としての実在感。役者や背景と合成しても全く違和感ないのはすごい。ただTANGのCGにリソースを使い過ぎたのか、他のプロップの出来や見せ方は物足りず、ロボット・AIが普及した社会という世界観の、映像での裏付けは弱い(例えば島のバスが普通に現代のもの。『アイの歌を聴かせて』で外見は普通のバスをAIロボが運転していたのを思い出す)。資金力かな……
物語はTANGの来歴を追いながら、人間とTANGの(ディス)コミュニケーションを軸に展開し、それなりにハラハラもさせるが、TANGの成長、あるいはAIの進化がストーリーにあまり絡んでいない気がした。「事故」やマッドサイエンティスト武田鉄矢から受けたトラウマも、主人公との絆も、TANGに影響を与えているのだろうが、TANGがAIならではの形でそれらをどう受容したのかーー例えば、TANGの生命反応(拍動)を検知できる機能と「事故」や動物を慈しむかのような行動には関係があるのか、とかーーがうまく可視化されていない。結果、夫婦の物語が本筋で、それに介入するのが子供でも動物でもロボットでも大差ないような視聴後の印象を持ってしまった。
他のわりと戯画的な演技の中で満島ひかりの表情芝居だけうますぎて浮いていた。(褒めてる)
総じて、作り込みの途中で展示した習作のような印象。方向性は好きなので加点0.5。
そうですよねー。今、改めてLSさんのレビューを読んでいて感じました(既に共感していたのをうっかりして、また共感押してしまった。共感がいったん減るんですね)。
タングの画像収集・解析の作業は繰り返し出てきますが、具体的な成長・進化が見るものに伝えられない。だから、凄いロボットだったと言うサプライズも弱かったんですね。