「何を期待したら楽しめただろうか」TANG タング seegenさんの映画レビュー(感想・評価)
何を期待したら楽しめただろうか
予告や広告から感じる作品の雰囲気といえば「ハートフルコメディ(ライト)SF」くらいの雰囲気だと思うのだけど、ことごとく裏切られるテイスト。
原作未読ですが、レビューの中に「SFじゃない」と言われる人の気持ちが痛いほど分かったので、おそらく自分もそういう期待を持っていたのでしょう。
ロボットじゃない。
SFじゃない。
AIじゃない。
近未来じゃない。
アニメじゃない。
……いくらでも出てきそう……
では一番的確に思えるハートフル・ファンタジー映画なのかと言えば、そうではあるのだけど満足度はかなり低い。ふだんそういう作品が好きな自分が苦笑して眠くなるという展開。
ファンタジーであっても世界観に約束事が提示されれば納得でき楽しめるというもの。例えば「ハリーポッター」なら、魔法世界の不思議なことは人間(マグル)世界における何かってのは察する事が出来て、その違いを面白がれるじゃないですか。
ところがタングは全方位的に納得できない事づくし。近未来なのに今あるテクノロジーの殆どが無い。特に通信手段。
なので、そういう世界かと思うと後半にネットがないと有り得ない描写とか、現代世界ならプライバシー保護的にアウトな事が頻出。倫理観が危ういのに、なんとなくカワイイから良いか、的な展開。論理じゃなくて感情論ばっかり。
たぶんSFと一番遠い美的感覚でできてる世界。
おそらくではあるが、原作もきっとそういう作品なのでしょう。
そして残念ながら実写映画版というリアリティが必要な媒体においてもあまり改変せず映画化してやいませんか…。
理屈なく感情論だけでも楽しめる人にはオススメです。
自分は徹底徹尾、キツかったです。
自分が主役奥さんのポジションなら最後まで改心できそうにありません…。
きょうびCGアニメーションでも物理的な重みを表現する映像作品群を見慣れていると、物理無視のアニメートが多い、まるで魔法で動いてるタング。それをカワイイから、ま、いっか!って人には心底オススメです。
…つらい…楽しみたかったです…