「あらすじの先に広がる景色、ビジュアルより語ることで想像的な恐怖も」オールド たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
あらすじの先に広がる景色、ビジュアルより語ることで想像的な恐怖も
予告でずっと注目していた作品。それ以上のことは無いんだろうな…なんて舐めてかかったら痛い目を見る。口が開きっぱなしになるような恐怖とその向こう側へと連れて行かれる作品。
ビーチに近いホテルに泊まる家族。離婚するつもりで来ており、最後の旅行になるはずだった。しかし、ビーチの様子が何かおかしい…。気づいたときにはもう遅い。時間の経過が早いのだ…。
このプロットだけ聞くと単調で終わってしまいそうに聞こえるが、そこに何捻りもしてくるのが本作の面白いところ。ラッパーと彼女、年の差夫婦の家族、てんかん持ちの妻がいる夫婦…。背景や関係性が顔を出しては起きる悲劇たち。その描き方は、傷口を直接開く様子を見せるように、精神的に来る様に淡々と綴る。それでいながら、意外と説明しながらパニックの状況を説明するので直接的なグロテスクはない。それがかえっそれが返って想像的な痛みへと誘う。
やっぱりネタバレレビューしたくなる作品なので下にネタバレ付きで書くことにする。未見の方はお気をつけて。結構スリルがあり、考えさせられるラストは必見。オススメのサマーバケーションスリラー。
↓↓以下ネタバレレビュー↓↓
序盤に渡されたメッセージが意味を成さない訳がないと思っていたが、まさかあそこまで食い込んでくるとは。増してや製薬会社のホテルという所も事前にリーチしており、序盤からかかっていた未曾有の恐怖からミステリーへと変貌する。
会社の"検体"として利用される恐ろしさをサラッと黙祷だけで済ませる製薬会社のおぞましさったら。その一方、謎を解くまでのリーチが突発的だったのは勿体なかったところ。
ただ、新型コロナのワクチンの陰謀論とか信じる人がいる訳で。こういうモノを勝手に背景に加えて見てるんだと思うと、このビーチの秘密より怖いなって感じたり。かなり精神的に来る映画だった。