「本当はどうすべきだったのか」すべてが変わった日 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
本当はどうすべきだったのか
1963年モンタナ、一人息子に子どもが生まれ、初孫と幸せに暮らしていた調教師のマーガレットと元保安官のジョージだったが、ある日息子が落馬して死んでしまう。残された嫁は3年後、孫を連れて再婚し、別居するが、たまたま新しい夫が嫁と孫に暴力をふるうのをマーガレットが目撃する。翌日、様子を見るために手作りケーキを持ってアパートに行くが、夫の実家ウィボーイ家に引っ越した後だった。日常的にDVを受けていると確信し、マーガレットは二人を連れ戻すことにする。仕方なくジョージも同行し、大自然の中を運転する。休憩していると一人暮らしをしているネイティブアメリカンの青年と出会う。ウィボーイ家のある町に着くと、まず夫のいとこという男に会い、その後、実家に招かれる。そこでは、ウィボーイ家の4代目という女主人がすべてを取り仕切っており、非常に身勝手で暴力的な支配をしいていた。そこに嫁と可愛い孫が帰ってくるが、遠方から会いに来たと言っているのに早々に寝かせてしまう。その夜は一旦引き下がるが、このままでは孫もウィボーイ家の人間のようになってしまう、と、翌日に嫁の勤め先のモールに行き、二人を引き取るから深夜2時にモーテルに来るように言う。
もう嫌な予感しかしないが、案の定、モーテルにはウィボーイ一家が襲いに来る。そこで家から持ってきていた銃をジョージが引くと、逆に「二度と引き金を引けないようにしてやる」と斧でジョージの指を切ってしまう。病院で手当てを受けた後に来た保安官は、地元の有力者ウィボーイ家の味方であり、孫を連れ戻そうという考えが誤りだと言われる。
怒りと悲しみに暮れ、再度大自然の中をマーガレットの運転で戻ってくるが、痛みに苦しむ夫を見て、彼女は行く道で出会ったネイティブアメリカンの青年を思い出し、彼の家に向かう。なぜ彼は一人で暮らしているのかといった身の上話をしつつ夜を過ごさせてもらう。すると、これまで孫たちを取り戻すことに消極的だったジョージは、夜のうちに抜け出し、車でウィボーイ家へ向かう。
確かに孫と血がつながっているのはマーガレットとジョージだが、正当性はあるのかどうか。
それ以外に、身寄りがないという嫁との交流、モンタナの大自然、馬の安楽死の時に耳元でささやいた言葉とジョージの最期にささやいた言葉、1960年代アメリカの保守的な社会、マーガレットが初対面の人に対する時の社交などが見どころだった。