劇場公開日 2021年7月22日

「観客が自主的に応援上映を作ってしまう、という一作。」とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観客が自主的に応援上映を作ってしまう、という一作。

2021年8月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まさか『モルカー』初見が劇場になるとは、全く予想していなかった観客による感想です。テレビシリーズの再編集版ということで、短いエピソードが30分という上映時間の中にぎっしりと詰め込まれています。

『モルカー』のファンなら当然既に観ているであろう映像なので、エピソードとしての真新しさはないかも知れません。一方で、「テレビでは分からなかった細部がよく見えたし、モルカーの質感も増していて、別の作品を観ているみたい」という意見も多いらしく、「劇場でモルカーを鑑賞する」という体験そのものがファンにとって十分満足いくものだったようです。

それに加えて、実際の劇場では、来場記念にもらうモルカーのフィギュアが一種の応援上映のような鑑賞形態をもたらしていました。この子供の手のひらにも収まる小さくて柔らかいフィギュアは、握るとかわいい音がなるんですが、場面の音楽や動きに合わせて、観客がフィギュアを鳴らす、というアクションが自然発生的に生じていました。

これはおもしろい!と思って、3Dや4DXも観てみたいな、と思いましたが、特別料金(1000円)に加えて追加料金がかかるため、一回あたり2000円以上かかっちゃう場合も…。さすがに30分の映画にこの値段は躊躇しますが、喜んで払うファンも多そうですね。

初めて観るモルカーは、評判通りのかわいくて魅力的なキャラクターですが、中に人が乗り込む仕様にぎょっとしたり、生き物なのか乗り物なのか区別が曖昧なところにちょっとしたシュールさを感じました。作者の見里朝希はモルカーの鳴き声に強くこだわっていたということで、そういえば改めて作品を思い返してみると、エピソードはほとんど覚えていなくて、モルカーの動きと鳴き声しか記憶に残っていない…。

「モルカー」は見里監督のテレビアニメーションシリーズとしては初監督作ということですが、『ジャンクヘッド』の堀貴秀監督同様、凄まじい才能に驚くばかりです。これまでに作られた作品も、ぜひ鑑賞してみたいです!

yui