すべてうまくいきますようにのレビュー・感想・評価
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綺麗でした
経済的に恵まれているからこそ選択できる方法。
頑なに希望した父親と娘達のストーリー。父親は美術関係の仕事をしていたから、姿を晒したくないと考えたのかな……でも、大好きな孫もいるのに……
安楽死の手続きや方法、その実際も分かる。
それでも、ラストはちょっとした衝撃でピントのあってない画面の奥を見つめてしまった。
フランス映画だから、部屋の装飾、配置、配色、小物なんかもおしゃれに見えて、色々画面をチェックしてしまった。
そして、ソフィーマルソーは変わらず美しかった。ほうれい線も目尻のしわも全くなくて、きっと毎日顔筋体操やマッサージをしてるんだろうなぁ〜と思った(余計なお世話)。あと、コートやセーター、部屋着から水泳したり、ジムでのトレーニングウェア等など、彼女のファッションショーでもあった。
なぜ原題と大きく意味を変えてしまったのかが本当に謎…。
今年43本目(合計696本目/今月(2023年2月度)9本目)。
いわゆる尊厳死を扱った映画です。
日本では「消極的な」ものは行われていますが、「積極的な」ものについては今でも犯罪に問われるという考え方が強く(判例もはっきりしていないし、医師としても免許はく奪などの処分になる「可能性がある」(判例がしっかりしていないため)ものをやるのは怖い)、日本とはやや違います。ただ、これから高齢化していく日本では遅かれ早かれテーマになっていくのでしょう。
ということで、海外フランスを舞台にした尊厳死の在り方を問う映画です。ストーリーはちゃんとありますし、アクションものなど何ら関係しないものは大半出ないのでそこは大丈夫です。日本では「導入が検討されている」「合法かどうかは別として、存在は知っている」人が多いこのテーマを、海外で合法化されているフランスを舞台に描いたというのは大きかったかなと思います。
日本ではまだ生命倫理に対する国民(ここでは外国人等でも長年住んでいて、意思を表現できうる日本語ができる外国人なども便宜上すべて含む)の考え方がまだ流動的で、また法制度もまだまだといったところですが、それでも少しずつですが、日本でも「このような」(映画内のような「積極的な」やり方)をとっていくことになるのか、それは10年20年先の話になってくるかなと思います。
採点としては気になったのは下記です。
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(減点0.5/原題を変えすぎた結果、タイトルの意味が全然違う状態になっている)
まず、原題は何かというと
Tout s'est bien passé.
…で「すべてはうまくいった」という過去形(複合過去、se passer のような代名動詞はetreで複合過去を作る)という意味です。
しかし日本は「すべてうまくいきますように」は少なくとも「過去にそうなっていない、未来どうなるかを願う」意味の文です。
つまりこの2つはそもそも「意味が全く異なるなら示唆する内容も違う」部分です。
ただ、この類の変更を「英語で」やるとさすがにバレてしまうので(一応、中高で英語は6年間やりますから)まれにしかみませんが、(英語以外の)外国語で「時制ごまかし」といのははじめてです。もっともこれも、「すべてはうまくいった」だと、「映画を見る意味がなくなる」ため(どうなったか、結果がわかってしまうため)、こう翻訳せざるを「えなかった」ということになりますが、それでも仏検準2くらいあると、「???なタイトルと???な日本語字幕が出て、未来のことなのか過去のことなのかわからない」状態になってしまいます。
これは…まぁ、趣旨(どうなっているかわかると映画の趣旨的に人が来にくい)点は理解するものの、原題タイトルから「未来の希望」を述べるような文になっていないことは明らかで(直説法複合過去、という一番簡単な過去形。なお、「複合」過去という以上「単純」過去はあるのか?というと「単純過去形」という過去形もありますが、めったに使いません)、多少にもフランス語がわかるよレベルだと???な状態になり、それもそれでどうなのか…というところです。
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尊厳死が、金持ちの道楽に思えてしまうのはいただけない
なぜ、父親が、あれほど死にたがっているのかが、まず、分からない。
別に、寝たきりになった訳ではないし、耐えられない苦痛に苛まれている訳でもない。
半身が麻痺しているとはいえ、車椅子を使えば、孫の演奏会を鑑賞することもできるし、レストランで美食を楽しむこともできる。
そうした姿を見ていると、父親が望む尊厳死が、金持ちの道楽のように思えてしまうのである。
それから、登場人物の関係性というか、彼らが抱えている確執のようなものが、よく分からない。
劇中、2度ほど、主人公である長女が子供だった頃のエピソードが描かれるのだが、それでも、彼女と父親との関係性は、はっきりしないままである、
たまに顔を出す母親は、さすがに存在感があるものの、彼女と、父親や娘たちとの関係性も、今一つ、明確に描かれない。
極めつけは、「くそ野郎」で、一体何者なのかが、しばらくの間、分からないままだったが、終盤で、ようやく父親の恋人だったらしいことが判明する。それが、いかにも当たり前のように描かれているのだが、フランスでは普通のことなのだろうか?
いずれにしても、登場人物の関係性がよく分からないため、彼らにすんなりと感情移入することができないのである。
それから、尊厳死に賛成だとか、反対だとか、そうした政治的なメッセージを声高に訴える映画ではないのだが、それにしても、すべての描写が淡々とし過ぎているのではないか?
例えば、警察に呼び出されるくだりなどは、ドタバタ劇として面白くなりそうなのに、やけにあっさりと終わってしまうし、ラストに、心を揺さぶられるような展開が用意されている訳でもない。
娘たちの葛藤を描くにしても、もう少し、映画的な盛り上りがあっても良かったのではないかと、物足りなさを感じてしまった。
最後まで主人公な父親
ドタバダするシーンやすっとぼけたオヤジのシーンを見るとちょっとコメディっぽくもあり笑ってしまった。
ラストシーンはフランス映画によくある感じ。
お年寄りが半数以上占め満員御礼の平日の昼に鑑賞。他人事じゃないって感じなのかしらん?
金持ちは死ぬまで道楽もの
ソフィー・マルソーが歳を重ねてもソフィー・マルソーで、美しい。
いい歳の取り方で、羨ましく感じた。
アンドレ・デュソリエの演じる父アンドレは、確かに黙ってられない、かまってほしいくせに、頑固で人の話を聞かないタイプ。
今まで自由を謳歌しておいて、病気で身体が麻痺したら安楽死を望み、娘にやり方を調べろと命令した自分のせいで、その娘たちの身が危なくなるという始末。
見方によって、チャーミングな可愛らしいおじいさんとも言えるが……
弁護士だの、国境越えでタクシーがわりに使える民間救急車だの、さまざまな費用だの……
「金があると、生き死にも自由なんだな」という点が、鼻についちゃって。
世の多くの人は、死にたくないのに(または死ぬと分からずに)死を迎えるのに、剛毅かつ豪勢な死に方を選べるなんて。
まぁ、金持ちはいいよな……
と、カツカツで生きているこちらの僻み根性を、アイスピックで突き刺すような刺激をいただきました。
観客が、『PLAN75』同様に70~80代が多く、みんな死に方に興味あるのかな、って印象も受けました。
23-020
一見すると「些末なシーン」
冒頭、急を要する電話でバタバタと家を飛び出すエマニュエル(ソフィー)。エレベーターを待つのも惜しい様子で階段を駆け下りますが視界がぼやけます。どうしたのかと思えば、家に戻ってコンタクトを入れるシーン。一見すると「些末なシーン」にも思えますが、このシーンで如何にエマニュエルが焦っているかを伝えています。そして、その後の怒涛のような出来事から一旦帰宅し、そのコンタクトを外すところまで見せるなど「小道具」一つで状況や心情を表す演出、裏切りません。
脳卒中を機に介護が必要になったことで、生き続けることよりも尊厳死を求める父。姉妹は思い悩みつつも父の絶対的立場と、頑なな意志の強さにその計画を進めざるを得ません。
それでも良い展開から当然のように「期待」を持つ娘たち。ところが、期待したばっかりに「落胆」も深くなる父の言葉に、彼女たちへ同情しきりです。
とは言うものの、彼女たちにも生活と家庭があり、感傷に浸っている間もない感覚を実感できる展開のテンポの速さもきちんと効果的です。
そしてソフィー・マルソーの「疲れ切った顔」が素晴らしくリアルでいい。勿論、相変わらずの美しさはベースにあるのですが、発散を兼ねて余裕があればスポーツしているシーンに、彼女自身の美貌キープへの意識の高さも重ねて感じ取れます。
さらに、他のキャストも皆素晴らしく、父・アンドレ役のアンドレ・デュソリエは頑固だけど茶目っ気たっぷりでついつい笑わされますし、シーンは少ないながらも母・クロード役のシャーロット・ランプリングも相変わらずの存在感で強く印象に残ります。
「尊厳死」という難しい題材ながら、やはり「選択肢」という観点においては議論することくらいは余地があってしかるべきと思える、いいバランスの作品ではないかと思います。
安楽死と尊厳死、どう違うの?
高齢者にはかなり響く作品
なんだろ この空虚な後味…
ソフィーマルソーいいねー。
年齢を重ねることで人は魅力を増すことを周知させる力。
それにしても 巧みな役者達が演じてるのにまるで心に届かない不思議。 泣きも笑いも胸熱くなることさえない時間がラストまで。
いまいちよくわからない、私小説的映画。お客は結構入ってた。尊厳死...
いまいちよくわからない、私小説的映画。お客は結構入ってた。尊厳死への興味なのか? むしろ、尊厳死問題批判かと思うほど、主人公はデタラメ感がある。子どもたちに甘えきってるし。フランス人っぽくもるのか。マルソーの頑張りは自分を思い出させてしまい、世界中で同じなんだろうと思うけど、あんまり気持ち良くない。こんな風な関係になってしまうのだ。
父と娘、尊厳死のリアル。
かつては殺したいほど憎んだ父親、実業家として長けてはいたが年頃の娘にとっては最悪の父親だった。
年頃の娘に対して散々無神経な言葉を投げつける。母親は長男を死産で失ってから長きにわたりうつ病で実質父子家庭。
父親を憎みながらも実業家としてはリスペクトしていた。そんな父が脳梗塞に。自分の思う通りに生きれない現状を嘆いて父は娘に尊厳死を持ち掛ける。
最初は一時的な感情かと思ったが父の意思は硬い。それを頼まれた娘は苦悩する。かつて殺したいほど憎んだ父、そんな父が殺してくれと懇願する。自分は父を殺したいのか、それとも思いとどまらせたいのか。娘の葛藤が丁寧に描かれる。この難しい役を演じたソフィーマルソーはさすがだった。
能天気に死を望む父とは対照的に苦悩する姉妹。フランス映画ならでは、ある部分とても能天気に見えて、ある部分とてもリアル。
自身が娘たちと同世代だけに要所要所で自分と照らし合わせずにはいられない。とてもリアルな体験が出来た稀有な作品だった。
後半は一種尊厳死をめぐるドタバタ劇の様相、しかし結末はやはりドラマチックではなく、現実を突きつけられる。
最後まで身勝手な父だった、娘たちがどんなに苦悩したことか。だが、最後の最後娘たちは親孝行ができたのだと信じたい。
安楽死するためのトリセツ
さて、あなたならどうしますか?
世界には自殺幇助を認める国が10ヵ国以上ある。
ネットで調べたらそう書いてありました。
心臓移植を海外で受けることができるように(億単位の高額ではありますが)、日本人でもそれらの国で法的にクリアできれば、認められるのでしょうか。
でも、移送費や色々な準備の手間ひまを考えると、極めてハードルは高い。
いや、この映画でそういうことを考えるのはお門違いか。
人権という概念や医療技術が現代ほど発達していない時代は(先進国ですら、二つの世界大戦前は、大半の人が栄養不足で、肥満や成人病になるなんてかなり限定的な現象だったはずです)、カロリーを確保(食糧の調達)するのも困難で今安楽死を望むような状態の人は、たぶん放っておかれたし、どれほど心身の痛みを抱えていようが、安楽死を望むかどうかなんて誰からも関心を持たれないまま、そう長くは生きられなかった。
生きる権利が、基本的人権のひとつならば、死ぬ権利だって同様に認められるのが、筋ではないか。
という論理立ては、一見真っ当なように見えるが、生きることは極めて自発的な行為であるのに対し、自殺幇助は〝殺してあげる〟〝殺してもらう〟ことであり、極めて他者からの能動的行為となる。当然、能動的行為には、責任や妥当性や社会的要請(世間的に認知されること)の有無などの検証が必要だが、そこに殺意や犯罪的な意図の介在が可能であることが、問題を複雑にしている。
『金の国 水の国』のように、人間の資質の基本がほとんど善意で成り立っているのなら、法的解釈としてはそれほど難しくはないと思うのだが(手を下すことへの罪悪感や心のケアについては、死刑執行に携わる方などにお聞きしながら整理する必要はあると思います)、残念ながら現実は違います。
正解のない堂々巡りの問題ではありますが、
さて、あなたが当事者になったらどうしますか?
ということを突きつけられる映画です。
同時に、ソフィー・マルソーの成熟した大人の魅力だけでも、十分に見応えのある素晴らしい作品でもあります。
死ぬ権利を認めたい
淡々と
とっても『だらしない』
人類の半数くらいは『だらしない』と思うけど。
上映直前に、着席してる私の前を、
私のポップコーンを倒して通った奴がいたので、
憤慨してしまって。
それが無ければ、感想は若干違っていたのかも
知れない。
とにかく『だらしない』
病気で心が病んでいることを考慮したとしても、
安楽死を望む父親の姿は、
あまりにも『だらしなく』て
辟易した。
いや、
現在の私が、健康なので、
病に冒された、身体の自由を奪われた人を
『見たくない』と思っているだけなのかも
知れないけど。
大半の人間は、
本質は『だらしない』ものだろうと思うけど。
『だらしなく』て『わがまま』で、
『美しくはない』のだろうとは思うけど。
生きていく、生き抜く、って、
とてもドロドロと、
『美しくは無い』ものなんだろうなぁ、と。
安楽死、尊厳死、そういうものを考えて、
『涙する』ことを期待して見に行くと、
『ちょっと違う』切り口の作品だった。
全70件中、41~60件目を表示














