TITANE チタンのレビュー・感想・評価
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ぶっ飛んだ映画だけど・・・
バイオレンス満載の前半パートと消防士のおじさんに引き取られる後半パートとで分けられると思うが、前半の激しく動きがあった盛り上がりに比べ、後半は主に家族なのか恋愛なのかの微妙な心の交流のようなものが描かれ自分が期待していた面白さには少し及ばず、一体お腹から何が出てくるのだろうか、というこの1点の興味のみで鑑賞していた。
時間配分からしても、監督の主張したいことは実は後半ではなかろうかと思っている。
愛する息子を失った(常に強くあろうとする消防士の)父親が代わりに心の穴を埋める存在としてこの娘(当初は多分男という認識)を自宅に引き取り、男らしさを求めつつも最後は父と娘のような関係になっていく。
娘の方も最後まで不器用で面倒臭くなると殺意が湧いてくるのだが、一緒に過ごしていくうちに親子なのか恋愛なのかわからない愛情が出てきながら徐々に打ち解けていく。
設定はぶっ飛んでいるものの、本質は擬似親子から本当の親子、そして祖父と孫になるという話。
オイルの母乳キモい。
炎まみれのキャデラック
変態度MAXからの刺激的な描写とオチを含めたギャグ感満載な痛々しさは監督の前作『RAW〜少女のめざめ〜』からパワーアップした勢いのままパルム・ドールを獲得した凄み、デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』程の衝撃には及ばないにしてもカンヌ映画祭のイカれた感覚にアッパレ!!
本作からイメージするジョン・カーペンターの『クリスティーン』は愛車の嫉妬心から芽生える狂気性、クローネンバーグの『クラッシュ』は自動車による衝突事故から性衝動がセクシーかつメタリックに、キャメロン・ディアスが『悪の法則』で車のボンネットから繰り広げる性的な場面、本作はマジでキャデラックとヤッちゃってるように思うしかない、そんな展開が続き混乱が生じながらのビックリ仰天、孕ませてるし!!
ホラー映画にありそうな題材から意味不明な殺人衝動、逃げるために取る手段の痛々しさと無理矢理感、歪んだ愛情と近親相姦を匂わせる雰囲気から産み出される奇形児は"トランスフォーマー"でも誕生する勢い!?
監督の前作同様に責任と負担を強いられるのは哀しき中年男性である、ラストはギャグとして捉えるしかない衝撃と潔さ。
バルト9 初日の初回10:40 L列の左中央付近に座った貴方へ
シアター6でチタンなんて、空席に十分余裕がある中で、本編開始直前に入ってきて、俺の右隣に着席・・・思わずマジかよと声に出してしまったわけだが。。
大人しくしてるならまだしも、こいつは落ち着かない輩だとすぐに判った俺は、
同じ列の左側に座る2人組まで席に余裕があることを確認したうえで、1つ左に席を移させてもらいました。
特徴的な貴方の容姿を書くのは控えるが、言われてるのが自分のことだと分かるよね?
鼻はジュルジュルしてるし、何度もマスクを外しては、持ち込んだ飲み物を音を立てながらゴクゴク飲んで、プハァーみたいな。要所要所でケラケラ笑うし。
このパンデミック下、貴方のやってることは非常識もいいところ。
ここにコメントしてきなさい。
直接会って教えてあげるから。
見る映画ではなく、体験する映画です
開いた口が塞がらない、というか…
一体何をしてくれちゃったの?
今まであまり味わったことのない複雑で奇妙な感情の余韻がなかなか引かずに困ってます。
「不条理な設定」と「前衛的(アヴァンギャルド)」
そうだ、これだ❗️
昔、安部公房という作家の本を読んだときに、誰かの評論で使われていた言葉です。
まさにこの映画の世界観にも当てはまるように感じます。
(以下、一部ネタバレあります)
チタンを埋め込まれることで、何か異質な脳内作用のスイッチが入ったのか、はっきりとした説明などありません。それでも動機不明の殺人衝動は破滅的で破壊的です。
それでいてサイコな怖さよりも、彼女が抱えている精神的な病理の正体のほうが気になります。
中盤以降は、生命を宿すことから生じる〝有無を言わせない身体的懊悩〟がつまらない理屈で何かを語ろうとする小賢しい試みを蹴散らかしていきます。
筋骨隆々の屈強な男たちに比べて遥かに脆くて弱々しいはずの女。しかし、その女しか持ち得ない〝命そのもの〟を宿し育む肉体。その生命体としての力が真に迫ってきて、とにかく圧倒されました。
見る映画ではなく、体験する映画です。
意外と浪花節
悪の法則のファックシーンに感動した身からするとこの映画ではその更に先を行く。最初の20分は復讐するは我にありを女性にしたみたい。友人はその凶暴性の理由が分からなかったと言っていましたが、最初は身の危険を感じて、2回目は憐れみを持たれた逆上かと思いました。その後は流れに身を任せて。そこからサバイバルとして挑戦するのが異性への身代わりとはかなりハードルが高い。これはどう見れば良いのだろう。ドラマのサスペンスとして面白いといえばそうだが、男性になりたい願望なのだろうか、そう捉えると暴力も理解はしやすい。その目的を選んだときに主人公の行動が一気に受け身にならざるを得ないので、映画として萎んでしまうなという危惧があったのですが、ジジイがなかなかに見応えのあるジジイでイライラしながらステロイドを打つのは、自らの老いへの恐怖ということかな。そりゃ子供を持ったことがあるオジサンなんだから性別については最初から確信犯のように思う。簪とサラシなんて五社監督の映画みたいで面白い。何が出てくるかは引っ張りまくったので人型の時点でちょっと攻めが足りないと思ってしまう。いっそトランスフォーマーみたいなのでもいいのに。
考え方によっては東京物語みたいな映画だ。
黙して語らず
の映画です。
新しい映画経験であるのは確か。
殺し方が鮮やかだし、「キル・ビル」みたいなかっこよさもあるけど・・
とにかく皆さんおっしゃってるように大変態映画としか言えない。
登場人物もだが、セリフも少ないです。
手に負えない洋画です。
痛々しく生々しい神の子誕生譚
後半の消防隊長の父親ヴィンセントがわざわざ「オレは神でコイツはキリストだ。」とアレクシアを指しながら消防隊員に言い放つシーンより、かなりキリスト教的な話に受け取れる。
ただ、キリストはアレクシアではなく本当のキリストの誕生は終盤に訪れる。アレクシアは聖母だったことがわかり、神の祝福のように劇場が光に包まれるエンドロール。かなり狙いにいった内容だった。
雑誌ELLEのインタビューでジュリア・デクルーノ監督は"ベースはギリシア神話です。アレクシアがガイア(大地の女神)、ヴァンサンが、ガイアの息子であり、夫となるウラノス(天空の神)。彼らが合体してティタン(金属のチタンの語源。英名・タイタン)が生まれる。"と語っている通り。
デビッド ・クローネンバーグの「クラッシュ」、塚本晋也監督の「鉄男」、リドリー・スコット監督の「エイリアン」が融合したような映画だった。
しかしジュリア・デクルーノ監督の映像は何でこんなにいつも痛々しく、生々しいのだろうか!
痛い!鼻!バカ!何やってるの?!笑
と何度も悶絶しました。
そして殺傷率の高いあの髪留めを、消防隊長のヴィンセントから返された洗濯物の中に見つけた主人公の「Yes!」という笑顔を見て、ああ、この映画好きだわと思いました笑
乳首痛いし、耳痛いし、鼻痛いし、観てるだけでこんなにHPが削られる映画は他にはない。
ただ、気になるのはやはりヴィンセントのケツ!何回映すねんこのシーン!笑
これがカンヌ映画祭で金賞パルムドールか。
「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス監督もヤバい監督だと思っていたが、ヤバさだけで言えばジュリア・デクルーノ監督に軍配が上がるだろう。
エグい。キモい。グロい。イヤ、なんなんですか、コレは?と言うか、痛いって!
と、正直に言います。カンヌのパルムドールです。反社会的素養が元々あった少女が、社会的にも家庭でも、おそらく拗らせた挙げ句。自分を無条件に受け入れてくれる人を見つけて、愛に目覚めると言うのが、物語りの基本的な建て付け。
が。
コレを、思い切り「非共感性」を過剰なまでに強調しながら話を進めて行きます。もうね。凡ゆるものに嫌悪感を抱かせるのが狙い。
もう良いよ、そう言うの。
明確に言えるのは。
映画祭向けであって、映画館向けじゃ無いよ。
って事で。
正視に耐えない場面、チラホラ有りますので覚悟は要ります。と言うか、覚悟無しで観たんで、ワタクシの場合。
辛かった。とっても。
評価できない大変態映画
とんでもない大変態映画で主人公の趣味嗜好はまったく理解が出来ませんでした。
ですが、じゃあこれが駄作かと言われると決してそんなことも無くて、最初の大ウソさえルールとして受け入れてしまえば、脚本や演技や編集はちゃんとまともだし、美術や照明やカメラアングルなど画に映るものすべてカッコよくて、監督は相当ハイレベルな演出力とセンスを備えている人だなと感心しました。
変態設定なだけで映画としての完成度はメチャメチャ高いわけです。
始まってすぐの交通事故、手術、頭にチタンが入った、タイトルイン、成長した主人公がモーターショーでダンサーしているシーンを長回し、の一連の流れは最短距離をテンポ良く突っ切る感じがたまらないですね。
さすがカンヌのパルムドール。
これが邦画の奇をてらっているだけ、もしくは芸術家気取りなだけの監督だとダラダラだらだらテンポが悪くて不必要に長いだけになるわけです。
この監督さんは技術的な基礎もメチャクチャちゃんとしてるのが分かりますし、有りがちなストーリー映画もやろうと思えば普通に面白く作れるけど、わざと難解なことに挑戦しているのもよく分かります。
ですから、今作を理解できない私の映画リテラシーがまだまだ不足しているんだと思いました。
キリスト教的なモチーフがたくさん隠されているような気もしますが、宗教的知識が無いのでそれも読み取れませんでしたしね。
テレビ局が出資している映画しか観ない人は絶対観ない方がいいですが、エログロに耐性があって、マニアックな映画も好きなシネフィルにはとてもオススメな映画です。
チタンは軽くて強くて腐食しないけど
チタンネジを体内に埋めてあるわが身の行く先に不安がよぎる。まだ車に欲情したりしてないが。
見終わった後思い出すのは「RAW少女の目覚め」のモヤモヤ感。
軽いフレンチポップに乗せてエグイものを見せられ続ける。今どき特別エグイわけではないがそこに切り込んでくるか、という感じ。
自らの乏しい感性の引き出しを探しまくって感想を書こうとするがまとまらない。モヤモヤさせるのがこの監督の狙いなんだろう、と今日は考えておく。次回作も見るんだろうなあ。
黒いミルクとマタイ受難曲
ヴァンサンは消防士で部隊の隊長、神だ。だから息子は神の子イエス・キリスト。アレクシアがマタイ受難曲と共に生んだ幼な子はイエスで、産婆の役割をした「父」ヴァンサンはヨセフであり、洗礼者ヨハネであり、幼な子を胸に抱くマリアでもある。アレクシアは聖母マリアでありイエスでありマグダラのマリアでもある。すべてを一身に備えていた失われた両性具有への憧れも根底にあるのだろうか?マッチョ的肉体の若い消防士達が男だけで踊り狂う様子は恐怖でもあり子どもっぽくもあり何かが欠けていた。
「クラッシュ」と同じく金属やメタルの冷たい感覚。そして再生と生誕のプロセスは炎と血のイメージで熱くて痛くて不気味で、赤くて黒い。腹部に何かが「居る」のかなという感じから共生の感覚を覚え、一体感に満たされ、胎児がぐるぐる動き出すと「これ」を守るのは自分だ、と思いきや出産は怖い、という妊娠の状態と変化は大変な経験で、忘れたくても身体が覚えてる。怖い映画なのに悲しくもあり幸せで何度も涙が流れたのは「ザ・フライ」以来。見てよかった。
おまけ
パンフレットがエッジ効いててかっこよかった。中身も良かった。
この狂った世の中で信じられるものが欲しかった
例えば性もフェチも越える多様性、すべてを通り越した先にある愛。自分勝手に女性性に群がる男たち、刺す、燃え盛る(=家庭など平穏を壊すもの)、そして歪な親子関係…など繰り返されるイメージの中で、命を容赦なく奪う側から守り、与える側へと変化していく奇妙奇天烈な(ジャンル分け不可能)ドラマ。アガト・ルセルの体当たりな熱演が引っ張る!
老いに勝てないと知りつつも抗おうとしている義父は消防士として、あるいは32歳の主人公ももしかするとダンサーとして、ともに年齢的に現役の厳しくなっていきそうな傷(=身体的欠損)を背負った二人。そんな不思議な疑似親子モノからの年齢差純愛としてヘンテコな面白さ、スリリングな興奮、そして…。
もっと理解できない"劇薬"的作品を想像していたら、思ったよりちゃんとした作品だった。神経逆撫でブッ飛びジュリア・デュクルノーがまたも挑戦的かつ衝撃的なビジョンを打ち立てやってくれた!例えば同監督前作『RAW』(個人的にはハマらなかった)でどれほどショッキングなシーンが展開されても、それはあくまで"食人目覚める系"とでも言うか同ジャンルから抜け出さない範疇のものだった気がする。
それに対して、本作はよりオリジナルで挑発的。『クラッシュ』ミーツ『鉄男』などレッテルも無意味。一見、普通の映画ではあまり見ることのないようなシーンから雑多にこんがらがった印象も受けながら、意外と芯・軸は通っているという不思議な作品で、逆に困惑しながらも最後は落ち着くところに落ち着いてきれいに纏まっていた。すごく好きかと言われたら悩むけど、このカオスな面白さになんだかんだ魅了されてしまった。
♪She's Not There(まさしく彼女は"いない")
目を反らしっ放しの108分
刺殺、撲殺、放火、自傷、汚物、嘔吐にまみれた前半から、妄想に憑かれた後半へなだれ込む様は黒いユーモアの表象か。
ホラーのみならずミュータントのごとき生命体の登場とその展開の飛躍は近未来型変態映画の称号に相応しい。
力強い愛に包まれる
噂どおりの問題作。
カンヌでは途中退室者続出と耳にしましたが、実際キツかった〜。
痛いの苦手なんで。薄目で鑑賞。
でも、実際には映っていなくても痛さを感じるって凄いですよね。映像力!
痛いのが苦手な方は注意した方が良いですが、それを乗り越えてでも見る価値はあると思います。
『オールドボーイ』『嘆きのピエタ』『オンリーゴッド』あたりが大丈夫なら問題ないレベルかと。
しかし、これをパルムドールに選ぶとは、さすがはカンヌ。
ぶっ飛んだ映画ですが、ラストは今まで感じたことの無い、ものすごい愛情に包まれます。
あらすじでは「アレクシアの体には重大な秘密があった」までしか書かれていないので、この先はネタバレか。
要点をぼかして書きますが、気になる方は読み飛ばしてください。
ツッコミどころ満載のぶっ飛んだ展開についていけるかどうかで賛否が分かれるかと思いますが、私はメタファーとして受け止められました。
「車」はどう考えても女性ではなく男性の象徴でしょうが、この映画では父親として描かれていたと思います。
父親との確執に始まり、父親を求め、父親の愛で終わる。
それに、これまで女性が母性と言う名の幻に言いくるめられてきた感覚には、ものすごく共感できます。
一応、経験者なので。自分の体への違和感や自分でハンドリングできない恐怖に気づかないように麻痺させて、やり過ごすしかない。
グロテスクな肢体から目を逸らすのに重宝するのが“母性愛”
“チタン”は私たちに後から埋め込まれた“固定概念”そのもので、逆説的に説いていると感じました。
女性が乗り越える過酷な変化に対して綺麗事で蓋をせず、「気持ち悪い」や「怖い」と感じてしまう事を責めないで欲しい。
それに母性を賛美しておきながら、そのくせ職場(社会)では身体に異変が無いフリを暗黙のうちに強要される。体調が悪くなろうものならポジションから外されかねない。(と本人がプレッシャーを感じることも)
その辺の現代女性が抱える問題にも切り込んでいると感じました。
そして、それと同時に、滑稽に感じていたフォルムが美しく愛おしく見える瞬間があることも描かれています。自分の体を受け入れる瞬間が見事です。
じゃあ、男に父性は無いのか??
もちろんその問題にも言及しています。
時として他者を排除してでも失いたくない存在がある。
私たちは、良くも悪くも愛に依存出来る。
そして私たちは、男であっても女であっても、
この未知なる得体の知れないものを無条件に愛で包み込むことが出来る。
そんな力強いラストに震えました。
パルムドールに通底するメッセージはあれど、狂気!
Filmarksのオンライン試写で拝見。
自分はどちらかというと、リアル9:フィクション1で、リアルがフィクションを超えていく瞬間に映画的快楽を覚えるタイプ(桐島、部活やめるってよ、愛がなんだ、ファントム・スレッド、Swallowなど)。これは言うなら真逆といえば真逆で、フィクション味が強い、どこかSFのようなスリラーなので本来なら好まない。評価も難しいタイプの映画である。主人公に感情移入しにくい設定であり、思い切って説明セリフを排しているから。
じゃあこの映画がつまらなかったかと言えば、これもその真逆で、とてつもない映画体験をさせてもらったし、映画館で見ると震え上がるようなグロシーンもあるので、オンライン試写で見させてもらって本当に良かったと思ってる。
タイトルの作り方だよね。TITANEの文字の中に何があるか。この時点で作り手の確かな技術が伺える。
オープニングの交通事故までのシーンからのダンスシーンの毛色の美しさ。証明やカメラの撮り方まで本当に素晴らしい。
類似作としては、遊園地の遊具に本気で恋をする「恋する遊園地」に近いだろうか。これもフランス映画。でももっと容赦ない。車との性描写はもはや暴力と言ってもいい快楽の求め方だったし、己の幸せしか見えてないような作り。愛されて育ってこなかったことへのメタファーなのか?
エンディングにかけて疾走感を失わないのは、主人公と息子を探す父親の確かな演技力。先程も書いたように説明セリフを排しているからこそ、演者の目線一つ、唸り声一つ、ため息一つでわからせてくれる。
これがパルムドールですか…攻めてますね…とも思ったけど、どこか万引き家族やパラサイトにも通底してるものも感じた。愛とは、家族とは、成長とは何か、狂気も感じつつ確かな技術によって作られた傑作です。
金属のように冷たく、燃え盛る炎のように熱い、「RAW 少女のめざめ」ジュリア・デュクルノーのパルムドール受賞作
途轍もない怪作。幼少期に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンを埋め込まれた女。歪な快楽と衝動的殺人… 本作は、痛みに抑圧され続ける女性とマチズモに囚われる男性の奇妙な交感を通して、変態的だが究極的な愛を描いているように感じる。「RAW 少女のめざめ」ジュリア・デュクルノーのパルムドール受賞作。
あまりにも痛々しい描写が多くあり、思わず声を上げてしまう場面も…
それだけ女性が抱える果てしない痛みを、倫理から外れ、雑然としながらも、説得力のある描き方で視覚的かつ潜在的に響くように表現する。控えめにいっても奇天烈で、時に痛々しさ故に不快で、それでいてディープな魅力に溢れる良作だった。
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