劇場公開日 2022年4月1日

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「映像的にも物語的にも優れていることは間違いないが、かなり心の準備がいる一作。」TITANE チタン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映像的にも物語的にも優れていることは間違いないが、かなり心の準備がいる一作。

2022年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

女性の成長を、「性」と「痛み」を手掛かりとして描き続けるジュリア・デュクルノー監督の最新作。映像面でも物語面でも、高度に練り上げられた作品であることは間違いないのですが、デュクルノー監督が追及する「痛み」表現は本作でも容赦なく、かなり直接的な描写が頻出するので、鑑賞するにはある程度の心積もりが必要でしょう。実際のところ、劇場でも途中で席を立つ人がちらほら見受けられました。

性別どころか、生物としての境界線すらも飛び越えてしまったようなアレクシアは、本能と欲望の赴くままに破壊的で場当たり的な行動を繰り返しているように見えますが、中盤以降、その状況、心境に大きな変化が訪れます。

結末は冒頭のどぎつい演出、映像からは想像もつかない着地点に落ち着くのですが、この、「性」「現実」「道徳」といった、序盤から中盤にかけて様々に張り巡らされていた要素が、終盤にかけて次々とひっくり返されていく構成の巧みさには驚かされると共に妙な高揚感を覚えました。もっとも、非現実的な状況に対して、自分の願望を反映させて高揚する行為そのものが、しばしば第三者の視点では受け容れがたいほどに奇妙であることを、ある人物の口を通じて示しているところが、デュクルノー監督の絶妙なバランス感覚なのだけれど。

yui