「変態なんて言葉で片付けられない」TITANE チタン CINE LADAさんの映画レビュー(感想・評価)
変態なんて言葉で片付けられない
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車とセックスする女がいるらしいぜ!
その程度の認識で観てしまったので、大変な目にあった。痛い。痛い痛い。ブラックエンジェルズの雪藤よろしく、とにかく痛い。前情報通りに主人公は車とセックスして、無事にご懐妊。出会う人を殺して殺して逃亡する。この荒唐無稽なストーリーを目の当たりにした人は、変態と評してしまっても仕方がない。でも、この作品を「変態監督が撮った変態映画」で済ましてしまうのは勿体無さすぎる。
無機質な鉄の塊が生命を生み、妖艶に女の性を全面に出して踊る主人公は、鼻を曲げ、髪を切り、サラシを巻いて男性として生きる。痛みが伝わる方法で人を殺しつつ、主題は出産で、主人公は処女懐胎したマリアであり、隊長=神の息子となりキリストに準えられる。
これらが比較的分かりやすく描かれ、性や生や聖をも超越した中で生まれるひとつの愛。誰からも教わったことがない愛の形だからこそ、嫌悪も賛辞も湧きあがるのだろう。異形の作品を変態と評するのは簡単だ。変態の向こう側に真の愛が見え隠れするはずだ(痛いけど)。
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