劇場公開日 2022年4月1日

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「第一印象は「なんじゃこりゃ?」だったのですが・・・」TITANE チタン バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5第一印象は「なんじゃこりゃ?」だったのですが・・・

2022年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

オープニング以降しばらく観ていると、クローネンバーグの「クラッシュ」を彷彿させるテイスト。むむむ?倒錯ワールドかなぁ?苦手だなぁって思いながら鑑賞し続けてましたが・・・・。

・・・違いました。確かにぶっとんだ表現です。きっと万人受けはしないと思います。だってとってもとっつきにくいんですもの。なぜこのような表現に至ったのか?僕の想像は追いつかないです。しかし鑑賞後、作品を思い起こす程に味わい深くなっていくんです。見終わった直後の切なくも救われたような感情が日に日に大きくなっていくのです。エキセントリックな表現ではあるものの、心の救済を描いた寓話なんじゃないか?と。

結局、人は血につながり云々ではなく、どんな理由でも良いから「絆」ができれば救われていくんだなぁと。主人公はじめ人は何かしら「欠けている」いや「欠けてしまっている」だからこそ、人は共に受け入れ、理解し合い、補い合っていくのだろう。それが絆となり心を支え、救済に繋がっていくのではないでしょうか?

主人公は事故で欠けたものをチタンプレートで補ったわけだが、それが起因のように「人の心」を持ち合わせていないような女性。それだけではなく冷め切った家庭(愛情なさそう)が産んでしまったという側面もあるかもしれません。まさに機械のような心の持ち主。そんな彼女が内に育んだものは一体何だったのか?絆が生んだ心の救済の先にある新しい命、そこに愛情は芽生えているのだろうか?主人公の心の成長(というか修復かな?)を望みたいところです。
金属製だから心が無いわけじゃない。心が生まれて育つ理由はあるのです。温もりがある金属だって、機械だってあるはず。

オープニング画面に出るタイトル名の「TITANE」と、エンドロール前に出る「TITANE」の文字。何となく見え方の印象が変わったと思ったのは僕だけなんでしょうか?考えすぎかな?

バリカタ