「痛い、グロい、オシャレ、でなぜか昇華される変態映画」TITANE チタン ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
痛い、グロい、オシャレ、でなぜか昇華される変態映画
いやもう痛い、グロい、オシャレ、痛い、グロい、オシャレの連続。このような変態映画はかつてなかったわけではないわけで、90年代によく観たのかもしれない。特殊造形でスプラッターが流行り、その後にやってきたいわゆる幻想文学、というかクスリやってんじゃないかくらいほ幻惑の映画。クロネンバーグや塚本晋也や三池崇史とかの映画がそうだったと思うけど、女性監督がそれらを飲み込んでアップデートしてる感じがした。
冒頭の車の剥き出しのエンジンからはじまってエロティックなダンス、そしてシャワー室から始まる痛みへの変質的な始動、えっ、えっ、と話が進んでもう受け入れるしかない。この辺『ナイトメアアリー』なんかに比べると格段とパワフル。よっぽど悪夢。とんがったもの持つなよ、と注意したくなるほど最初っから殺し方が全部痛い。必殺仕事人か、と突っ込みたくなる。そして逃亡生活から次から次へと変態が現れる。変態の懐で変態が落ち着く。消防車の上での男の格好して踊る姿の隠しようのないエロティクな肢体のしなやかさ、それをエロティックに捕らえず呆然と見上げる男たちのポケ〜っとした顔のおかしさと直後の壮絶な死闘ともいえる新しい生命の誕生。いや〜何を言ってるのかさっぱりわからない詩篇ですが、痛快さと女性がどこへでもない場所へかっ飛んでいってるのはよくわかった。
昨年の『スワロウ』『プロミシングヤングウーマン』と並べて上映したい痛みを飲み込んで昇華していく女性の映画、な気がした。
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