「痛々しく生々しい神の子誕生譚」TITANE チタン ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
痛々しく生々しい神の子誕生譚
後半の消防隊長の父親ヴィンセントがわざわざ「オレは神でコイツはキリストだ。」とアレクシアを指しながら消防隊員に言い放つシーンより、かなりキリスト教的な話に受け取れる。
ただ、キリストはアレクシアではなく本当のキリストの誕生は終盤に訪れる。アレクシアは聖母だったことがわかり、神の祝福のように劇場が光に包まれるエンドロール。かなり狙いにいった内容だった。
雑誌ELLEのインタビューでジュリア・デクルーノ監督は"ベースはギリシア神話です。アレクシアがガイア(大地の女神)、ヴァンサンが、ガイアの息子であり、夫となるウラノス(天空の神)。彼らが合体してティタン(金属のチタンの語源。英名・タイタン)が生まれる。"と語っている通り。
デビッド ・クローネンバーグの「クラッシュ」、塚本晋也監督の「鉄男」、リドリー・スコット監督の「エイリアン」が融合したような映画だった。
しかしジュリア・デクルーノ監督の映像は何でこんなにいつも痛々しく、生々しいのだろうか!
痛い!鼻!バカ!何やってるの?!笑
と何度も悶絶しました。
そして殺傷率の高いあの髪留めを、消防隊長のヴィンセントから返された洗濯物の中に見つけた主人公の「Yes!」という笑顔を見て、ああ、この映画好きだわと思いました笑
乳首痛いし、耳痛いし、鼻痛いし、観てるだけでこんなにHPが削られる映画は他にはない。
ただ、気になるのはやはりヴィンセントのケツ!何回映すねんこのシーン!笑
これがカンヌ映画祭で金賞パルムドールか。
「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス監督もヤバい監督だと思っていたが、ヤバさだけで言えばジュリア・デクルーノ監督に軍配が上がるだろう。
琥珀糖さん、
拝読ありがとうございます!
最初から最後まで人体をひたすら痛め付けていて本当に不快で気持悪い映画でした笑
ただ、最後は痛みを寄せ付けないフルメタル(チタン)の子供が誕生するっていうのが、あぁこの子はもうこんな痛みに悩まなくていいんだな、というようなある種の救いというか、祝福感を感じるエンディングに感じましたね。