劇場公開日 2023年4月21日

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「変とまともが合わさった登場人物」レッド・ロケット talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0変とまともが合わさった登場人物

2023年4月22日
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鑑賞方法:映画館

笑える

知的

「まとも」と「変」の境界線はあるかも知れないけれど曖昧だ。

煙草吸い過ぎ、マリワナ売る、吸う、買う、暴力。恰好もヘアスタイルも服もぐちゃぐちゃ、太ってる、すごく痩せてる、ドーナツを沢山嬉々として食べる。家族の結束が強い、なんとなく或いはとても貧しい、石油が出た地域はちょっと豊か。時代はまさにトランプ vs. ヒラリーによる大統領選挙運動中。テレビ画面に映し出されているのはトランプだけ、この地域はトランプ支持だろう。

帰ってきたマイキーに、家族、友だち、隣人皆が尋ねる:「なぜここに戻ってきた?」住んでる人もそこに住んでるの嫌だったし、マイキーの出戻りによって、日々の生活にうんざりしてる気持ちに蓋してたことに気づかされてしまったし。

マイキーはハンサム、笑顔がいい。砂ぼこりの町を自転車で移動して(子どもっぽい)、高校生に一目惚れして(子どもっぽい)ジワジワと食指を伸ばす(大人の男の嫌らしさ)元・ポルノ俳優。

生まれ故郷はあんな場所なんだ。工場が沢山、煙突から色んな色の煙がいっぱい。そんな背景をバックにしたマイキーの自転車移動映像はかっこいいし、騒音がすごくて話が聞こえないのもリアルだった。そんな土地から離れてどこか別のところに行きたくてもできない。親がいる、子どもがいる、どこかに行って働く具体的技術も知識も移動の為のお金もなければ気持ちも失せている。

埃っぽいローマ郊外が舞台の映画「アッカトーネ」(パゾリーニ)を思い出した。「アッカトーネ」では戦後のイタリアが経済復興に向かう中、ローマ近郊でヒモ男が女を売春婦にする底辺社会が描かれている。「レッド・ロケット」では夢も豊さもとうに消えて取り残された工業地帯。マイキーもヒモ男だが根拠ない自信と行動力と笑顔はある。それで女たちにボコボコにされる、自業自得。

予備知識ゼロでショーン・ベイカー監督の映画を初めて見た。とても気になるので他の作品も見たいとすごく思った。

talisman
いぱねまさんのコメント
2023年4月24日

コメントありがとうございます

いへいへ、貴殿は消えずにご活躍願います^^

害は、私と今作主人公だけで充分w

いぱねま
Bacchusさんのコメント
2023年4月24日

そうなんですね!
作中で少しだけセリフにあった穴を抜いた際の端材のことでしょうかね。
先日邦画で「ドーナツもり」という作品があり、そこに出てくるお店でも「ドーナツの穴」という名前で端材で作られたドーナツを出していましたし。

Bacchus
Bacchusさんのコメント
2023年4月24日

跡からじわっと来る作品てありますよね!
ドーナツホールはなんか狙っている気がしました。w

Bacchus
ノブ様さんのコメント
2023年4月23日

やっぱり思いますよね!
武蔵野館、シネマカリテ
(笑)
流石で御座います❣️

ノブ様
ノブ様さんのコメント
2023年4月23日

僕もショーンベイカー監督作品初めてでした。フロリダプロジェクト観てみようと思ってます!

ノブ様
bionさんのコメント
2023年4月22日

僕の見た回は、監督のオンライン挨拶があったのですが、作品同様にめちゃくちゃ明るい人でした。

bion