「観ていてつらいです。」ニトラム NITRAM Giovanniさんの映画レビュー(感想・評価)
観ていてつらいです。
クリックして本文を読む
主人公はご近所からは疎まれ、家にも安らぎを感じられず、恋人も友人も仲間もいない、仕事も無い生活を二十数年間続けています。決して自分で殻に閉じこもっているわけではなく、寧ろ積極的に人とコミュニケーションを取ろうとしますが全く嚙み合わず逆に周りからは小馬鹿にされる日々です。彼が数日おきに気分が落ち込むというのも理解できます。自分を愛せない気持ち、自分が自分であることを嫌悪する気持ちが事あるごとに湧き上がってくるのでしょう。唯一の理解者であるヘレンも彼自身が原因の事故でこの世を去ってしまいます。自分に甘かった父も世界に失望して自死し、時を後にして銃乱射事件がTVで大きく報道されます。手元に銃とカメラがあること。自分自身の頑張りは疾うに限界であること。このまま空回りし続けても状況は良くならないこと。きっといろんな思考が彼の頭の中を渦巻いていたのでしょう。家を綺麗に掃除し、飼ってた犬を解放し、銃とビデオカメラを鞄に入れ彼は立ち上がります。
コメントする