劇場公開日 2022年3月25日

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ニトラム NITRAMのレビュー・感想・評価

全67件中、1~20件目を表示

4.5犯罪を描く難しさ

2022年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

犯罪者を語ることの難しさをひしひしと感じる作品だ。そして、その難しさは誰かが引き受けねばならないのだという作り手の責任感もひしひしと感じる。発達障害と思われる主人公が大量殺戮を犯す、このことだけで本作を語るのは難しい。差別的感情を抱かせずに犯人の心のあり様に迫るという難題を、挑まなければいけない。
この映画を観る時、主人公のマーティンをどのように理解すべきか。本作は、理解と共感を分けながら、注意深く鑑賞する必要がある。友人のいないマーティンの孤独、破綻した親子関係、唯一彼に救いをもたらす母親と同世代の女性ヘレンとの関係を否定されること。同情ではなく、彼を追い詰める社会の構造や常識のメカニズムを理解していかなくてはならない。社会に適応して生きることはそんなに偉いことなのか、この映画を観ているとよくわからなくなっていく。社会は実りのない場所だ、実りはないけど、みんなが生きるプラットフォームだから壊すわけにはいかない。しかし、どんな社会にも馴染めずに排斥されてしまう人はいるのでこうした暴発は社会を維持する必然として、時折発生してしまう。とてもしんどい気分になるが、直視するしかない社会の実像がここには描かれている。

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杉本穂高

4.0主人公と関わる脇役たちがとても忘れ難い

2022年3月29日
PCから投稿

'96年にタスマニア島で起こった銃乱射事件の犯人をめぐる物語である。個人的なことを言わせて貰えば、テーマがテーマなだけに鑑賞時かなり覚悟が要った。だが実際に見始めると、不思議と映像から目が離せなくなると言うか、この主人公が犯行に及んだ心の内側を知りたいという想いが湧いた。本作は決して残虐性をあらわにした物語というわけではない。むしろその直前までの過程を紡いだ作品。主人公の精神性は凪の海面のように穏やかな時もあれば、不協和音を爆発させて手のつけられなくなることもある。そこに付随する両親との関係性、追い出された学校、土地購入の問題、ふとしたことで知り合う男友達、そして謎の女性。主演のケイレブの演技は繊細かつ観る者の心をかき乱すヒリヒリした感触で一杯だが、その一方、謎の女性を演じたカーゼル組の常連、エッシー・デイヴィスの存在感が秀でている。彼女は一体何者だったのか。いまだに気になって仕方がない。

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牛津厚信

3.5Sad and Dark

2022年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

There is virtually no joy to be pulled from Nitram, an account of the man who committed a mass shooting in Tasmania. His mental illness is singular, an untreatable recluse who mows lawns and plays with fireworks in the bush. The movie is a linear descent into the unfortunate historical moment, which surprisingly is skipped altogether. At best will have you saying, "I didn't know about that."

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Dan Knighton

5.0どこまで共存してゆけるのか

2024年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

一見すると銃規制の大切さを訴えているようで、
規制よりも扱う人間側の問題であり、
人間側とは一人一人を指すのでなく、
個々、関わり合い全てを指す社会全体の問題なのだ、
と投げかけられているように感じた。

安全も危険も人と人の間にかかっていると。

しかしながら先天的に理解し難い狂暴性を合わせ持った人物と、
その社会がどこまで共存してゆけるのか、
この難しさもまた突き付けられたように感じる。

果たして金持ちの彼女が生き続けるルートなのか、
家族が新たな物件を手にするルートなのか、
銃砲店員の危機管理意識なのか、
そもそも病院側の積極的な介入による拘束措置なのか、
悲劇を避けるに、振り返って考えるポイントがあり過ぎて悩む。

また昨今、巷の似たような事件を思い出し、
重く受け止める一本となった。
邦画「月」の製作陣は、本作を観た、参考にした、のではないかと、ふと浮かんだ。

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N.river

4.0実話なのも凄いが

2024年1月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

なにより役者さんの演技がとても凄く、
世界観に引き込まれてしまった。

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め

3.5ポートアーサー事件

2024年1月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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ゆい

5.0空白がいい

2024年1月15日
iPhoneアプリから投稿

色、音楽、演技どれをとっても自分好みで良かった!感動した!

マーティンは自分の不遇を感じつつも、それは表現することが難しく孤独を感じている。
父の死後、母に「周りを変えたい」とマーティンが伝えるシーンはなんとも言えない焦燥感を感じる。母には何を言っているのかわからないと言われ、マーティンも自分でもわからないと言う。映画内で唯一言葉で自分の気持ちを伝えたシーンだったと思う。

大切な人の死。孤独。腫れ物扱い。
犯罪者は自閉症で片付けられるけど、もっと複雑な問題を抱えていた。そして彼に目を向けてあげるべきだった。それが彼にとって大切な人

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エレベーターガール

4.5冥福を祈ります。

2023年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0それにしても一番悪いのは

2023年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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北枕寝二

3.0理不尽と不条理

2023年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

ポート・アーサー銃乱射事件に至る過程を、事件を起こした「NITRAM」の人間模様を映画にしています。これが結構重いので以下、雑感を箇条書きで。
・人は誰しも不幸になりたくないし、不幸にしたくもない。しかし、個々人は独立した人格であって、立場もあり、思いは様々。それぞれの接触が常に意図した方向に実現するわけでもないし、実現しない方が圧倒的に多い。その実現しないストレスが行動に影響を与えていくが、実現してもいい方向に動くとも限らない。
・人はやさしさを求めている。与えるかいただくかは問題じゃない。が、やさしさに人は満足するわけでもない。
・実は、MARTINと呼んでいる人はいなかったことに気づいた時の衝撃
・「からかい」「いじり」がストレスになり、暴発するのは人の性。どこでも一緒。今回はいじめられっ子の暴発なんだろうけど、大好きな父が失意で弱ったこと、両親以上に心を触れあえることができたヘレンを失ったことが混ぜこぜになっちゃったか。
・NITRAMを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、どっかで観たようなでもなあ、と後で調べたらアウトポストで配属されたきた彼じゃないか!化け方がすごい。なんだよ、あのだらし無い身体の作りは。大変だったろうなあ。それから、発達障害者の演技が秀逸。
・たぶん、事件を起こした本人自身がどうしてこうなったと思っているんじゃないかな。

映画自体は非常に興味深く良作ですが、自分自身、消化し切れず胸糞ということもあり、あまりお勧めはしないかな。

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zem_movie_review

4.0実際の事件

2023年5月29日
iPhoneアプリから投稿

 1996年にオーストラリアで実際に起きた銃乱射事件の犯人の事件を起こすまでの映画。
 なかなか周りに馴染めず、孤立した青年マーティン。イジメにもあっていただろうし、大人になっても、近所の子供にまで揶揄われてしまっている。同年代にも相手にされず、仕事にも就いていない。
 たまたま出会ったヘレンという女性と仲良くなり、お金持ちでもある彼女から車をもらったり、お金も残してくれた。それで銃も買えてしまった。彼のことは街中が知っているだろうから、銃を買えてしまうことがよくないし、免許もないのに車の運転を許している父母や他の大人たちもどうしたものか?
 ヘレンのお金で海外は行ったのか?パスポートは取れたの?と疑問が残る。
 ラスト、この事件をきっかけにオーストラリアでは全ての銃を政府が買い上げて破棄したと伝えていた。他の国も見習ってほしいものだ。でも、現在は当時を上回る銃が出回っているとのこと。なかなか銃のない世の中にすることは難しいようだ。

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アンディぴっと

4.0ニート病む

2023年5月7日
Androidアプリから投稿

1996年オーストラリアのタスマニア島で起きた銃乱射事件を基に、単独狂行に及ぶまでいたった青年の心理に迫っている。監督は、これまでにも凶悪犯罪者を主人公にした映画を多く撮っているオーストラリア人ジャスティン・カーゼル。ガス・ヴァン・サントの『エレファント』をはじめ、乱射事件の被害者をあつかった作品は意外と多いけれど、その犯人を主人公にした映画というのはあまり見たことがない。

社会からの疎外、孤独、嫌われ者、奇行、性的異常....他人との接点がほとんどないという共通点を持つ犯人たちを主人公に物語にしても、観客の共感を呼べないとわかっているからだろう。そこでジャスティン・カーゼルは何をどう演出したかというと、犯人の青年に神の選択肢=偶然の出会いをもたらし、ラストの犯行へと導いているのである。オーストラリア州政府による銃規制の甘さをエンドロールで糾弾したりして予防線をはってはいるが、おそらく主題はそこではない。観客に犯人の“深淵”を覗き込ませることにあったのではないか。

タイトルの『NITRAM』はマーティン(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)の逆さ読みで、“シラミ野郎”という意味を持つ蔑称らしい。小さい頃から花火が好き、騒音をたてるため近所中から怒鳴られまくっている大の嫌われ者だ。この“NITRAM”、精神科の病院からクスリを処方してもらっているが病名がよくわからない。発達障害なのか躁鬱かそれとも知的障害者なのか、本人友達を作ろうと一生懸命なところを見ると、どうも引きこもりや自閉症とは違うようなのだ。

ただでさえ観光ぐらいしか仕事が無いタスマニアで、そんな厄介者のNITRAMを雇ってくれるところなどあるはずもなく、甘々の両親のもとで3食昼寝付きのニート暮し。民宿経営を夢見る親父はそんなダメ息子を一切叱りつけることもなく甘やかし放題で、母親(ジュディ・デイヴィス)は口うるさくNITRAMを管理しようとするがあくまでも世間体から、(映画ラストに示されるように)基本的には出来の悪い息子に無関心なのだ。この甘やかしと無関心が怪物NITRAMの基礎を作ったといっても過言ではないだろう。

サーファーに憧れ金髪を伸ばしているNITRAM、金をためてボードを買おうと芝刈りのバイトを始めたのがいけなかった。雑草が延び放題のお化け屋敷で犬猫たちと暮らす孤独な大金持ちヘレン(エッシー・デイヴィス)と出会い、さらに人生甘やかされてしまうのである。食うに困らない生活と自分に懐くペットたち、口やかましい母親のいない広々とした住居スペース、そして大量の銃を買い込む資金源を得たこと、これらがNITRAMの凶行を物理面からサポートしたのである。

しかし、不慮の事故(っておまえのせいだろ!)で唯一の理解者を失ったNITRAMはまたもやボッチ生活に逆戻り、神はこの変人に友人だけは決して与えようとしないのだ。途中で挟まれた(よくパスポートが発行されたなと思うのだが)NITRAMのハリウッド一人旅の模様を自撮りしたシークエンスが、抜群の“孤独”演出効果を発揮しているのである。ポート・アーサーでも殺戮シーンをおさめるためハンディカムをセットしていたNITRAM。つまり誰かに見てもらうために犯行に及んだのではないだろうか。

小さい頃花火の火の粉を浴びて大やけどをおってTVニュースのネタにされたり、近所の大人たちから「うるせぇこのガキ!」と怒鳴りつけられたり、小学校のガキどもからやんやの(バカにされた)喝采をあびたりした時の快感が、生涯忘れられなかったのではないだろうか。「みんなが俺のことを見てくれている」そこにいてもまったく無視される“シラミ”のような存在の自分にみんなを気づかせる唯一の手段、それがNITRAMにとっての“ドンパチ”だったのではないだろうか。

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かなり悪いオヤジ

4.0主人公の内面を掘り下げるケイレブの態度

2023年3月24日
iPhoneアプリから投稿

202303 454
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 MARTIN
時々僕は自分を見て分からなくなる
誰を見ているのか
何ていうか、そいつに届かない
皆と同じになるようそいつを変えたいけど
方法がわからない
だから結局僕はここにこうしてるしかない

 MOTHER
あなたが何を言ってるか分からない

 MARTIN
別にいいよママ。僕も分からない

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HAPICO

4.0胸糞悪すぎる

2023年1月19日
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gx4flc

2.5ケイレブの怪演

2022年12月3日
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孤独、喪失、心の疾患?
正直彼の内面が理解しきれず共感しづらい。
事件を起こした理由もわからん。

だが、その難しい役のニトラムを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズは流石の一言。
また、ニトラムの母親役のジュディ・デイビスの演技も凄く良かった。

ラストの銃乱射直前で場面を切り替えて母親とテレビのシーンを写すとこ好き。

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カミムラ

3.5えもいわれぬ一作

2022年11月26日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

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ぴーたん

3.5子供に向き合わない親

2022年11月7日
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『大人は判ってくれない』を観終わったときと、同じ感慨を覚えました。評価子は。
ちゃんと子供と向き合わない親が、子供をこんな途に走らせてしまったのだろうと、評価子は思います。

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talkie

4.0じりじりと緊迫感に包まれて

2022年10月26日
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mitty

4.0描写が好き

2022年10月16日
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鑑賞方法:映画館

常に緊張感あって撮り方が巧いんだと思う。描いた事以上に描かなかった事が好き。

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ルル

4.0映画「JOKER」とテーマは同じ

2022年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1996年オーストラリア・タスマニア島で起きた銃乱射事件を題材にした映画「NITRAM」を観て、最初に頭に浮かんだのが米映画「JOKER」です。シチュエーション、人物像は違うが、内容的には共通している部分が多い。
この映画の主人公MARTIN(NITRAM)は、軽度の障害のため社会に馴染めないので、大人になってもニートで、親にパラサイトしているし、障害手当ももらっている。そんな彼が、元女優で金持ちのヘレンに会い、恋愛関係になっていく……(後は映画・ビデオを見てください)。
欧米では、毎年のように銃乱射事件が起こっているが、日本では、刃物で切り付けたり、自動車で跳ねたりする事件が毎年のように起こっています。各国で事情は違うかもしれないが、ほとんどが男です。
「全てのことがどうでもいいや!」と人生を投げた男が起こす事件が多い。「事前に○○すればよかった」、「事前に○○できなかったのか」などの後付け評論をしても、人権のこともありほとんどできません。安倍元首相の狙撃事件を見ればわかります。
残念ながら、このような事件を未然に防ぐことは、民主国家ではほとんど不可能です。

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eimei