「主題が違うのでは」ニトラム NITRAM sodomeさんの映画レビュー(感想・評価)
主題が違うのでは
「エレファント」や「ウトヤ島」など、無差別殺傷事件をテーマにしたものは多々ある中で、本作は主役の人間性に迫った、ある意味ヒューマンドラマに近い。
事件そのものの描写はあえて少なくし、出来るだけ客観的に、そこまでの過程を映し出している。
その見せ方は素晴らしく、主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズを始め、俳優の演技も見事だ。
それを凌駕して勿体無いと感じたのは、主題として提示した最後のテロップ。この問題を銃規制のみに重きを置くというのは、あまりにも浅い。
もちろん、それも重要な問題だが、それ以上に主人公に寄り添おうとしない、社会構造も指摘すべきでは無いのか。それ自体は映像からもちろん読み取れるものの、最後にあのようなテロップを入れられると、話が違うだろ、と興醒めしてしまう。
銃社会から縁遠い社会に生きてるから、そう思うのかな。中々難しい。
✳︎この手の映画は「良い」「悪い」の判断がむずかしいので、点数はあくまで映像や脚本に対するものです。
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