「登場人物の誰にも感情移入が出来ず最初から最後まで息苦しい112分」ニトラム NITRAM よねさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物の誰にも感情移入が出来ず最初から最後まで息苦しい112分
1996年にタスマニア島で起こった無差別重乱射事件が起きるまで犯人の日常を淡々と追うドラマ。主人公のマーティンは幼少期から奇行を繰り返す人間で、近所の人からは名前を逆に綴ったニトラム(NITRAM)と呼ばれて揶揄っていた。それでも両親は何とか彼を自立させようと試みるが、何をやらせても長く続かず会話も噛み合わない。そんなマーティンはサーフボードを手に入れるために始めた芝刈りの仕事で年上の女性ヘレンと知り合い意気投合し幸せな日々が訪れるが・・・。
登場人物の誰にも感情移入が出来ず最初から最後まで息苦しい112分。タスマニア島に充満するその閉塞感は実にリアルで、どこにでもころがっているパズルのピースが禍々しい因果に引き寄せられて地獄絵図へと姿を変えていく日常が自分のすぐそばにもあるありふれたものであることがとにかく恐ろしい。主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技が桁外れに素晴らしく、子供のような無邪気と悪魔のような狂気を併せ持つマーティンを見事に体現していました。
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