「世界最高峰の演技を観よ」ニトラム NITRAM ミニ映画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
世界最高峰の演技を観よ
なによりケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演に尽きる。カンヌ国際映画祭主演男優賞も納得。
主人公ニトラムが元々持っていたものと、そこにじわじわと積もっていく変化を見事に体現している。
どんな犯罪者も人の子で、それぞれに人生がある。生まれ持ったものや、育った環境で人はつくられる。
決して殺人を擁護するわけではないが、血の通った一人の人間のドラマとして繊細に描いている。
表面的に報道される残忍な事件のニュースではなく、そこに至るまでの背景、過程にフォーカスを当てることで、孤立や銃社会の問題を考えさせられる。
ラストは本テーマにおいてチャレンジングな演出。
敢えて、結果のセンセーショナルな映像ではなく、過程の心理描写に重きを置く選択だろう。
エンドロールでは無音のパワーが重くのしかかる。
コメントする