「p.ヴァーホーベン新たなる傑作」ベネデッタ たまさんの映画レビュー(感想・評価)
p.ヴァーホーベン新たなる傑作
老いてなお、ヴァーホーベン監督健在。としか言いようがない作品。
新たなる傑作をまた生み出した。
自分はロボコップで度肝を抜かれた口であるから、初期オランダ時代の彼の作品をよく知るわけではない。
トータルリコール、氷の微笑、ショーガール、スターシップトゥルーパーズ、などなどとヒット作、快作、怪作を連発してきたその表現者としてのパワーにまず敬意を表する。
ハリウッドからヨーロッパに戻り、ブラックブック、エル、と作品を作り続け、今作である。
今作、17世紀イタリアの実在した女性、ベネデッタカルリーニ、をモデルとした実話ベースの話。
監督の人間描写、社会を冷徹に捉えエンタメ映画に落とし込むその腕力たるや、衰えを知らず。
尼僧をとりまく教会権力、社会、人間の欺瞞、愚かさ、を痛烈に描いている。
また主人公ベネデッタのありようも、一筋縄ではいかない。
キリストの妻として聖痕が現れる描写にしても、彼女の狂信が生んだものか、はたまた信心から生まれたものか、
教会内での同性愛を描いた作品には、名作薔薇の名前、なども想起されるが。
そこはヴァーホーベン監督。同性愛シーン、など直接に描いておりR18映画となっている。
が、この作品の肝でもあり、また個人的にはこれぐらいは、ともいえなくもない。現代においては。
ペストが猛威をふるい、人々が命を落としていく時代背景、
ベネデッタの真っ直ぐな生き方。物語のスピード感かつ現代性など。
この作品、ベネデッタの生き様に、勇気をもらえる人もいるのではないだろうか。
ヴァーホーベンの快作、傑作である。
主人公ベネデッタを演じるヴィルジニーエフィラ。
素晴らしい演技。
シャーロットランプリングの存在感。
必見の映画である。