「ラストが圧巻」アネット 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストが圧巻
ベイビー・アネットと邪悪な父・ヘイリーの凄まじい対決。
ラストの操り人形だったアネットが、人間の少女・アネットに変わる。
このシーンに心を掴まれた。
歌う少女アンジェル・マクダウェルの、憎しみを表現する歌唱が素晴らしい。
そして2人の二重唱。
「愛と憎しみ」
対立する心情をハーモニーしながら、アネットは断罪して行く。
この辺りが堪りません。
「地獄に堕ちろ!!」
「邪悪なペテン師マク・ヘンリー」
「神の類人猿・マク・ヘンリーは邪悪なペテン師で悪魔の使者」
この映画は、笑えないジョークを連発する
スタンダップ・コメディアン・ヘンリーの冒険と転落の叙事詩でもあります。
オペラ界のスターのアン(マリオン・コティヤール)
天使のように美しく気高いアン。
そのソプラノ・ヴォイスはベルベットのように滑らか。
天使に媚びても相応しくない男ヘンリー(アダム・ドライバー)
2人の結びつきは初めから破滅を予感して、
デビル(ヘンリー)は天使(アン)に嫉妬し、意図したか分からないが、
天使は召される。
そう言った背徳感。
レオス・カラックスの毒気が懐かしく復活が嬉しい。
多くのファンが待っていた筈だ。
この悪魔的なロック・ミュージカルは、
冒頭にはレオス・カラックス監督と娘のナスティア・カラックスが仲睦まじく
登場して、カラックス監督の口上で始まる。
破滅的に美しいこの映画を、
観客は深呼吸して、
息を潜めて、
ただただ見つめ、
浸る。
琥珀糖さん、共感とコメントありがとうございます。
カラックス作品は他に「ポーラX」を観ていますが、意欲作でも未消化に終わった印象がありました。久しぶりのカラックス映画を楽しめたのは、いい意味で作者が映画を見世物として制作していることです。拘りの美学と映画愛が、この作品にはありますね。役者もいいし、人形の演出は見事に尽きます。僭越ですが、悲劇でも面白がることは演劇の醍醐味と言っていいと思います。特にミュージカルはオペラと同じく、表現者の直向きさと技術力を素直に称賛したくなります。
丁寧な返信ありがとうございました。
映画も出会いですよねー。
何かを観たら、連想ゲームのように次の映画に出会ったり。
人様のレビューもきっかけになります。
またおじゃまして読ませていただきますね。
大河ドラマは、ちょっと迷走してるかも。
個人的感想ですが。
コメントありがとうございました。
臨場感がありました?
自分ではよくわからないですが。
カラックスの映画は全然観てないので、「アネット」に前のめりになったのは、スパークスのおかげです。
「ポンヌフの恋人」では、デビッド・ボウイの曲が使われてるとか聞きましたが、カラックスは音楽の好みがはっきりしてるのかな。
こんにちは。この映画はカラックスにとって6本目か…7本目の映画になるかと思いますが、生涯でその本数しか映画を撮っていないのには驚かされます。
もうカラックスの新作を見ることはないと思っていました。
賛否両論ありますが、私はカラックスを見ることができて、うれしく思いました。
ポンヌフの恋人を観たときの鮮烈な印象は今も忘れることができません。
破滅的で挫折感に満ちた世界観ではありますが、娘や日本での上映がカラックスの希望なのかもしれません。
ミニシアターで単館上映かと思っていたら、シネコンでの上映もあったので、少なからず反響があったのかもしれません。
アダム・ドライバーとマリオン・コティヤールも良かったですね。コメントありがとうございました。