「【気づいたら思考している程、映画の世界にどっぷり浸からされています】」ノイズ 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)
【気づいたら思考している程、映画の世界にどっぷり浸からされています】
・2022年公開の日本のサスペンス映画。
・過疎化が進む猪狩島だが、島の復興を願う圭太(藤原竜也さん)が生産した「黒イチジク」が大人気となり、国から交付金5億円が内定し、島民一同が盛り上がる。しかしある日、突然島に現れた怪しい男(出所したばかりのサイコキラー)を事故的に殺してしまう。居合わせていた幼馴染の純(松山ケンイチさん)と幼馴染で新米警官の真一郎(神木隆之介さん)と圭太は、島の復興が目の前にある中で、殺人事件が起きたことが世間に知れたら、人気どころか交付金までもらえなくなる可能性が出てくると考え、3人で死体を隠すことで島の平静を乱さないことを決意。だが、元受刑者の行方を追って本土から刑事が島を訪れることで平静だった島に波紋が広がり始める・・・ という大枠ストーリー。
[お勧めのポイント]
・死体を隠す3人の視点で緊迫感を感じれる物語
・思考をしてしまう魅力(ノイズの意味を考えずにいられません)
・鑑賞後、後追いで事の真相を知りたくなるオチ
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【死体を隠す3人の視点で緊迫感を感じれる物語】
・殺人というよりは事故的に殺めてしまったこと(隠したことが悪いだけ)、それを隠しきれば島は平穏でいられると考える幼馴染3人のリアリティ、死んだのは元受刑者のサイコキラー、などが積み重なって「死体を隠す3人=悪」とは捉えられないんですよね。むしろ、3人に共感させてくれるように魅せてくれるんですよね。だからこそ、3人が隠すことが明るみになりそうになると、観ているこちらがハラハラする。しっかりと登場人物に共感させてくれて、感情を揺さぶってくれる物語はダレずに最後まで「どうなるの?!」と観たくなる作品でした。
【思考をしてしまう魅力(ノイズの意味を考えずにいられません)】
・タイトルである「ノイズ」は、劇中に台詞としても出てきます。「さあ~、島を乱すノイズを排除しましょう~」と。この台詞を聞いたその瞬間は「造られすぎ」といいますか「わざとらしさ」を感じてしまいました。が!後で考えてみると、タイトルの「ノイズ」の意味が不明瞭なまま物語が進む中、ここできちっとタイトル「ノイズ」をどういう意味で使っているのか、という言葉の定義をしてくれていたんだろうなぁという考えに至りました。
・そして「島を乱すノイズ」という具体的な意味を提示した上で物語を進めていくと、「ノイズ」の意味がどんどん抽象化されていくんですよね。「誰か(島)にとって、何か(平穏)を乱すもの=ノイズ(元受刑者)」と。その誰かや何かが、変わってゆく。そのノイズとは、誰にとってもどこにでもある。あれ、じゃあ本当のノイズって何?と。
・そうこう考えているうちに、結局、製作者さんの狙いにまんまとはめられている気がしました。笑 これぞ、映画の面白みですよね。気づいたらどっぷりとその世界に浸からせてくれている。そんな思考をしてしまう魅力を持った物語でした。
【鑑賞後、後追いで事の真相を知りたくなるオチ】
・正直、後味悪い映画です。笑
・結末のシーンの意味や、答えを魅せてくれると思っていたことを魅せてくれない、などのモヤモヤが止まりません。
・恐らく、誰もが鑑賞後に抱く感想だと思います。映画を流れで観ているだけでは、絶対にわからない謎だと思います。後で考えたり、他の方の口コミや考察を参考にして、「あぁ、こういうこと?」と真相に近づいた気はしても、未だに明確な結論はわかりません💦 そのモヤモヤは確実に抱くと思います。むしろ、明確な真相がわかったら教えてください!笑
・ただ、いくつかの考察を観た中で、一番「すごい!これかも!」と思えた考察が一つありましたので共有だけしておきますね。「ノイズ 考察アナグラム」で検索してみてください。そこで出てくるURLが「fromau.net」さんの考察がすごい!と思いました。
※もちろん、鑑賞後に見てくださいね!鑑賞前に見ても、よくわからないと思います。
【総じて】
・モヤモヤする終わり方しますし、もう一回見てもそのモヤモヤが晴れないことが確実だと思うのですが、不思議と「面白い映画だったなぁ」「誰かともう一回観てもいいかも」と思える作品です。
・それは、役者さんの演技のうまさによって見える孤島の猪狩島の雰囲気や、事件を隠し通そうとする3人の幼馴染への共感など、鑑賞中の約2時間、この映画の世界感にどっぷり浸かれたからだと思います。
・すぐには観ないと思いますが、きっと1年以内にはもう一度観る気がします。皆さんも是非一度ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。ありがとうございました。
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#全体3.6 #物語3.6 #演出3.6 #演技3.6 #配役3.6 #映像3.6 #音楽3.5
コメントありがとうございます。
もやもやモヤモヤもやもやモヤモヤ‥ですね。
加奈が面会に来たあたりから、訳わからなくなってました。
純の部屋の加奈の写真の数が凄いですね。
ストーカーのドラマ等に出てくる壁に貼った被害者の写真を色々見ましたが、
ダントツに面積広く枚数が多かったです。すなわち、異常の異常の異常な純、であるのですね。人殺しもする可能性有り、なわけですね。
また新たな疑問が出ました。
そんな恐ろしい純が、自分から自首すると言うのに、何故圭太は、止めて圭太自身が自首すると言いそうしたのでしょう?実際、村長を殺したのは、純だし。
そうか、純は圭太の性格を知りぬいているので、必ず止めて圭太自身が自首すると見込んで言ったのですね。
この作品、ラストだけでなく、全体が訳わからないストーリー展開、というか、
ぱっと見、のどかな島で起こった殺人事件ぐらいの扱いにとれるけど、主題は、
圭太、加奈、純なのですね。最後にそれに気づかされるけどわからないもやもや。
>リカさん
コメントありがとうございます。
紐解き方の視点が凄いですよね、感動しました。それでも、私もリカさん同様疑問がかなり残ってしまいました。監督さんに直接伺いたいものです。それくらいモヤモヤしますね。。。
私の見解では、圭太も加奈も、娘が絵日記で伝えようとしてる本質(純の脅威)は既に理解していて、これまで観て見ぬふりをしてきたのではないかと思います。(アナグラムそのものは後で気づいたのかな、と)
それを、絵日記後に繰り広げられる若干違和感のある会話の流れでそう思いました。
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絵日記みせおわる→圭太「ごめんな」→加奈「私、島(←もしかして純?)に縛られたくない。・・・中略・・・もう我慢しない。圭太が守ってくれたように、これからは私が守るから(←もしかして娘のこと?ということは純の意図わかってた?)」→「加奈。純のこと許してやってくれ。俺はずっとあいつの気持ちに気づいていたのに観て見ぬふりをしてきた。・・・」
※島の話から突然、純の話に。我慢とか守られるとか、一見、島での暮らしのように聞こえますが、なんか唐突過ぎて違和感。でも、島を純に読み替えたら個人的にすっきりしました。
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なんて、勝手に推察しちゃいました。なので、この夫婦は純の意図はわかっていて、加奈と純のノイズを取り去ろうとするモノ(圭太がいなくなった今は娘)を守ろう、としている。結果として、加奈が・・・という流れなのかなぁ。と。
いやぁ、全てが推測の域を出なくて、やはりモヤモヤしますよね。。。どうにかしてほしいです、このモヤモヤ笑
モヤモヤし過ぎて、原作読もうかと思いましたが、全然異なる結末のようでした。結局、答えに行きつけず💦
ただ、このモヤモヤこそが、この映画の面白みなのかもしれませんね。
こんばんは、はじめまして。
レビューを拝見してご紹介のあったところを見てみました。ご紹介ありがとうございます。
凄いですね。
だから、ラストの順番は、加奈が圭太に面会して絵日記の話をする。純が銃で二発撃つ。圭太が、(加奈が純に銃殺され純も自殺した事を聞いて)泣きながら絵日記の言葉を呟きながら歩く。なのですね。
たた、疑問に思うのは、
加奈が娘の絵日記に疑問を抱かなかったのか?
圭太の頭の中で、加奈の死と絵日記を結び付けること、英訳してのアナグラムを理解していたのか? です。