「原作は知らないけれど…」ノイズ グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
原作は知らないけれど…
原作未読なのでまったくの想像なのですが、この映画は原作が本来持っている重要なポイントをことごとく外してしまったのではないか。
そんな風に見えたのですが、どうなんだろう?
①永瀬正敏刑事の鋭い勘と3人にじわじわと迫っていく手法がお粗末過ぎる(映画では、俺はお前らをちゃんと疑ってるぞ、と匂わせるだけ。捜査のプロだぞ、と思わせるのは風体だけで、アプローチが描かれていない)。
②神木隆之介の警官が〝カサブタになる〟ことの意味をどう解釈してあの行動を決断したのか(映画では、島を去る先輩の言葉を短絡的に、かつ軽率に理解したとしかみえないので、とても浅い人に見えてしまう…結果、自殺が唐突にしか感じられない)。原作では、あの判断にももっと松山ケンイチの周到な関与があったのではないだろうか。
③藤原竜也の自白だけで、松山ケンイチが無罪放免となるはずがなく、もっと島の人の事情聴取を個別に進めていけば、藤原竜也の自白の信憑性はかなりの部分が疑わしく、神木隆之介の残したビデオメッセージとの不整合(証拠として、藤原竜也や松山ケンイチには非公開だったはず)が説明できず、検察も単独犯として、松山ケンイチの関与無しでは立件・起訴できないレベルだと思う。
④医者や村長からのハラスメントを受けていた村役場の幹部らが、共犯者として秘密保持する動機があまりにも弱い。常識的に考えて、藤原竜也が逮捕された途端に、自分の罪を軽くするために知ってることはすべて自ら警察に話すと思う(映画では、そのあたりの人間心理にはまったく触れられないので、人間ドラマとしての要素は放棄していたとしか思えない)。
ぐだぐだと書いてしまいましたが、他にも黒木華さんの葛藤や疑念がほとんど無視されていたので、あー、勿体ない❗️と嘆息することしきりでした。
犯人蔵匿罪、証拠隠滅罪、その他もろもろ
どう考えてもあちこちに色んな罪が考えられるし、刑務所に入ったとしても殺人じゃなく過失致死罪によって実刑と執行猶予付きで最高7年くらいかな。と、素人考えですが、弁護士さんの意見を聞いてみたい案件ですなぁ。