スパゲティコード・ラブのレビュー・感想・評価
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スパゲティコードと言うほど複雑ではないが、あっさり風味の“絡み”が今様かも
「東京をさまよう13人の若者たちの行動が複雑に絡み合い」との宣伝文句があるが、その中には元彼・元カノの仲だったり、SNSで繋がっていたりする関係性がそもそもあり、しかもその2~3人の範囲で関係が変化する程度の展開。なので、プログラミング分野の業界用語である「スパゲティコード」を冠した割にはさして複雑ではなく、あっさりした絡みの群像劇という趣だ。
MVやCMでキャリアを築いてきた映像クリエイター・丸山健志の長編映画監督デビュー作だそうで、MONDO GROSSOがボーカルに満島ひかりを起用した「ラビリンス」のMVを丸山が作った縁からだろう、満島も短い時間ながら出演して鮮烈な印象を残している。撮影監督は岩井俊二監督作品を多数手がけ、やはりMVやCMの仕事も多い神戸千木が務めていて、この2人の組み合わせはポップでスタイリッシュ、短めのカットでつなぐ点描のような映像表現に合うようだ。
悩み、挫折、孤独を抱えた若者たちが、他者とのつながりで前向きになれたり、一歩先に進めたりする。難解なパズルがすっきり解けるような爽快感はないが、あっさりしたポジティブさが今の若い世代には合うのかもしれない。
題材は良いが13人は多過ぎる印象
愛を模索する13人の若者たちの物語が複雑に連鎖していく様子を描いた青春ストーリー。それぞれの生き様がやがて1本の線に変化するようだが13人を描いているので一人当たりの時間も短く中途半端で面白みに欠ける。もう少し人数は減らして中身を濃くした方が分かり易くて共感できるように感じた。題材は良かっただけに非常に残念。
2022-7
絡み合う関係
題名のスパゲティコードはスパゲティのように絡まり合う様子を指して言う表現らしい。
舞台は現代の渋谷。13人の若者たちの群像劇。いくらなんでも多過ぎると思われるだろうが、題名をちがって複雑に絡み合うわけではないので、最初の一巡がすめばすんなりと入って行けた。知った顔もちらほらで、ドライブマイカーの三浦透子など売り出し中の俳優たちが名を連ねる。森の中で1本の樹が斃れたら、とは作品の中心テーマのようだが、この短い作品の中で人物たちが、安寧の中に戻っていくような結末には少しがっかりするのは天邪鬼だろうか。
でも観て損はないと思う。
“Es ist gut.”
東京という街で、喜び、悲しみ、嫉妬、焦燥にのまれる青年たちの生き様が、目を背けたくなる程リアルだった。
もがき苦しみ喘ぎながら、傷つきながら前に進もうとする人の姿は、醜いけれど美しいものだ。
きっと忘れなくていい。
無駄な感情、無駄な体験はひとつもない。
時間が解決してくれるまで待とう。
適度に自己中でいいじゃないか。
若者たちの愛おしい痛みのつづれ織り
13人の若者たちの群像劇。
若い頃の痛み、不安、孤独、焦燥など、忘れていることはあっても忘れることはできない。
そう、ここにある痛みはよく知る痛み。
心地良くもやはり痛かった。
愛おしい痛みだった。
かなり好きな作品と言える。
自分を見つめ直させてくれる街、東京
東京に生きる若者たちのスパゲティのように絡み合う愛の群像劇。
MV監督ともあり、MVっぽい作りというのは皆さんが仰っていることなので言わないとして、映像美や音楽のセンスは抜群。最初はあまり無いと思っていた内容も、少しずつ絡んでいく登場人物たちによってしっかりと群像劇に仕上がっていた。
フードデリバリー配達員のアイドルオタク、夢を諦めたストリートミュージシャン、友達5000人の理系、七光りと言われる広告クリエイター、不倫が生きがいのパート…etc
色んな人々がここ東京で生きている。彼ら彼女らの主観に立ちながら、良い点も悪い点も見せ、最終的には希望を持たせるという構成。
正直途中までは、モノローグが多いし、分かったような台詞がなんだかムカつくし、価値観を押し付けてくるし、「これって私が悪いの?」みたいな不幸アピール強いし、あんまり好きではなかった。
でも、お久しぶりなあの人のサプライズ出演と言い、愛と希望に満ち溢れたラストと言い、なんだかんだ好きな映画かもしれない。
特にラストカットは、声が出るかと思ったくらい好き。
↓以下余談
・ずっと死に方について話し合ってる高校生の男女とピナバタゆりやんが良かった。やっぱ青木君好きだわ。
役的には三浦透子の役が1番好き。三浦透子の主題歌も良き。
・共感できるセリフと、そうでないただただイラつくセリフがあった。
「嫌いな人と一緒にいた方が楽」ってのはなんとなく共感。
・カメラマン役の古畑新之さん、リミスリのブッチ役の人だったという衝撃。
・アイドルの芸能界引退とか訛りの可愛い女の子とか、乃木坂のドキュメンタリーの監督やってたからなのかなとか…考えすぎか。
13人の物語が違和感なく絡み合う脚本
13人の若者を描いた群像劇。それぞれ元々関係があったりする人たちがいるが、それでもこれだけの人数の話を絡ませていくのは大変だだっただろうなと思う。同じようなセリフをそれぞれの場面で言わせたり、知らない者同士がさり気なくすれ違ったりしていくのが違和感なかった。だから、絡みあっているのに観ていて混乱しない。なかなかすごいことだ。
それぞれ抱えている問題や悩みは違っても、承認欲求や愛すること、生きることについてが共通テーマだったように思える。もちろんちゃんとした結論めいたラストが待っているわけはなく、それぞれ少しだけ前向きになって生きていこうとする。これはこれで悪くない。
気になったのが元々のクレジットになかった俳優たち。特に満島ひかりだけ浮いていた気がするのは私だけだろうか。他の人との絡みもないし、後から追加撮影したような印象を受けた。
みんなボロボロで容赦がない、だから東京に行きたくなるのだろう
みんなボロボロ(役者さんが良い)、夢も希望も救いもない(褒めております)。ちょっと哲学的な思惟に富む台詞が出てくるのが救いかも知れません。
「東京」という台詞が度々出てきます。この映画を見たら「東京に行きたい」と思う地方の人がいるのではないかと思います。
多くの登場人物がすれ違って一つの映画になっています。なかなか良い構成です。
加点要素:「スパゲティコード・ラブ」という題名はなかなか絶妙です。
少し遅咲きな青春をネオンに絡み合う
2021年劇場鑑賞36本目 優秀作 70点
あまり注目されていませんが、結構好きな作品。
なんか予告の段階でチワワちゃん感ありましたが、それより良かったしこちらの方が好み。
今作に出ている若手俳優もこれからたくさんお目にかかるのだろうな、
当方てっきりタイトルのスパゲッティコード・ラブの意味ですが、麺が次第に伸びてしまうように、子供と大人の間の年頃で夢を抱えて東京にきた若者同士の浅くて淡くて苦い一瞬で終わる恋愛ものだと思って劇場に足を運びましたが、全然違くて、シンプルにパスタの麺が絡まるように、若者たちが葛藤しながら混じり合っていく、という意味でした。深読みしすぎました。
でもそこまで混じり合っていないなという印象で、でも90分の短い上映時間の中であっさり混じり合っていました。
なぜか最後泣けました。アイドル追いかけてた心がわかるからかな。。
是非。
【Xmas Present 4U】
やり過ごすには辛すぎることは沢山ある。
ありすぎる。
でも、999まで来て、最後の1つは、Xmasプレゼントだ。
この作品に散りばめられたショートストーリーの結末は、みなXmasプレゼントみたいなもんだ。
何かに気付くことはもちろん、別れも、別の大切な一歩だ。
なんとか生きてみようかなとか、計画も立てずに、行き当たりばったりでなんとかなるかもとか、そんな心境もXmasプレゼントだ。
執着と大好きは、もちろん違うと思うけど、僕は、執着が何かきっかけをもたらすことはあると信じている。
頑張れ!
どのキャラも一癖もも二癖もあって、自分の周りにいたら面倒くさいだろ...
どのキャラも一癖もも二癖もあって、自分の周りにいたら面倒くさいだろなと。
そんな人たちが絡み合うもんだからそらもっとややこしくなりますわな。
若さならではの葛藤から来るものなのかなとか、寄り添い理解したくなりながらも、面倒すぎて時々苛立ちを感じながら鑑賞。
しかし後半のみんながトンネルの出口が見えてきたあたり。 ゆりやんが隣人に『ありがとう!』と言ってた下り、とても共感できてしまった。さらっと頼ったり甘えたりするってなかなか難しい。
ある意味心に爪痕を残された一本です。
#94 イタイ人たちを集めて描いた映画
モデルの彼女だけが自分をわかっていない自己中人間として表現されているけど、登場人物全員が似た者同士な自己中人間。
私も若い頃はこんな風にイタイ人間だったな〜。
というかこの世の人間のほとんどは自己中でイタイっていう比喩なのかな?
最終的に1番自己中なのは、主人公たちじゃなくて不倫相手や、事務所の商品を簡単に切り捨てちゃう人たちなんだけどね。
老衰で死にたいけど衰えたくないって気持ち、わかる〜❣️
指原さん
登場人物が多いので、場面の切り替えが多いんですよね。
その上、カメラが結構動くから、観ていて疲れちゃった。
なので、キャパシティの少ない私の脳では、あまり内容が頭に入って来なかったです。すみません。
そんな中で、一番印象に残ったのは、八木さんの演じた凛。
観ていて段々とイライラしてきてしまったのに、田舎のスーパーの広告発言の意味が分かった時、一転して彼女を応援したい気持ちが出てきたんですよね。
短時間で八木さんの演技にやられました。
それから、エンドロールで気になったのが、劇中で出てきた曲、『誰もいない森の奥で一本の木が倒れたら音はするか?』の作詞が指原莉乃さんになっていた事。
彼女はこんなタイトルの曲を書くんだと思ったのですが、タイトルはこの映画の監督がつけたみたいですね。
13人がそれぞれ面白かった
東京に住む、または東京に来た13人の男女が愛や仕事人生について悩んでる様子を描いた作品。
1. 金髪でフードデリバリーの配達員の男はアイドルとの区切りをつけるため配達1,000本を目指していた。
2. シンガーソングライターを目指して路上演奏してる女、こころ は彼氏に振られ、嫌いな人と嫌いな事をして生きていく、とうそぶいてた。
3. 現在の彼女は売春してて、寂しい人が好きと言ってるがホントはどうだか。
4. その彼氏しんごは住所不定男で、財布とスマホ無くし、5,000人も友達がいるのに誰も助けてくれず元カノの家に泊めてもらった。
5. 占いにハマってる女は彼氏に捨てられ月に15万円も占いに注ぎ込んでた。
6. 占い女の隣の女も彼氏に振られ大好きなピーナツバターを暴食してた。
7. 夫大好き主婦のしずこはマスクでバイトしヘマばかりしてるが、実は不倫相手に捨てられた。
8. カメラマン男つばさはパッとせず、モデルの女にダメ出しされた。
9. そのカメラマンの男に会いに来た女はフォトグラファー志望で家に帰りたくないという高校中退の未成年女子。
10. 死ぬなら凍死が良いと言ってる女子高生のさくらちゃん。髪を編んでる。
11. その彼氏の男子高校生のけいちゃん。死ぬなら老衰が良いと言ってる。
12. スタジオのBGMをやめさせた高飛車で親の七光モデルのクロセリン。
13. 人生の計画立ててる男。108歳まで生きるつもりがノープランになってしまった。
観客は自分1人だけ、携帯でメモしながら観てた。
東京に翻弄されてる若者や、彼氏彼女に捨てられ、自暴自棄になってる人、将来どう死のうかと話してる高校生など、いるいる、って思い、面白かった。
個人的にはしずこ役の土村芳が好みだなぁって思った。
拭い去れないラノベ感覚が、むしろ良い感じ。
しつこく深掘りしないオムニバスな骨格。これが良い感じの不描写になってて。しかも、各レーンに、どれも異なる切なさがあって。
これは面白かったです。見終わったから製作陣を眺めると、知らない名前が並んで居る中て、撮影が「ティファの手紙」「ラストレター」の神戸千木さん。脚本は「五億円の人生」の蛭田直美さんと、要所は手堅く押さえてある訳だ。と言うか、個人的には好きな人で固められてたw
恋愛なんて他人から見ればスパゲティコードな訳ですよ、確かに。
言うほどには、もつれてなかったけど。
令和の東京を無機質・冷淡に捉えるところから始まる物語り。「自嘲」と「諦観」と「もがき」。オムニバス的に、交わりを持たない登場人物達のストーリーを並行で、起承転結をハッキリさせ、同期させながら進めて行きます。この進行と時間配分が、結構好き。
世の中、そんなに悪く無いし、恋愛は絶望を残すだけじゃ無い。希望もあるで。って言う映画。
「がんばれ」とは言わないし、奇跡も起きない。他人から見れば、ほんの小さな変化が、二人にとっては人生を変えるほどの変化になっていたりする。と言う落とし方、と言うか、力の抜き方が今っぽくて好き。
女性脚本家らしい台詞回しが、割と小気味良くて飽きないし、リアリティもちゃんと感じられるエピソードも良いです。ただし、理系はもっとメンドクサイこと言うと思いますし、「音」の発生と伝搬についての説明が、中学生レベルってのは軽く1アウトですよw
倒れる木が引き起こす振動は、基本どこまでも伝わります。距離に比例し小さくなって行く振動は、それがあまりにも小さく、だれにもに気付かれないだけ。それを「存在しないのと同じ」と言うなら、認知範囲の外側には何も存在しないと言ってる様なもの。
離れていても。近くにいても。壁の向こうであっても。
音に気づいてくれる人がいると言う幸せ。
音に気づいてあげること。
それ、「愛」じゃないですか?
みたいな。
各々のエピソードが単体のショート・フィルムだとツマラナイかもしれないけど、これだけを束ねると、結構染みます。なんでなんっすか?
束ねること自体が、反則技かもしれませんけど。
良かった。結構。
あーーー、でも。
No Planの中学生(?)にはお説教が要る。一晩かけて、色々とw
人生そんなもんだ。
人生の突起に引っかかりもがく、東京で生きる若者達を描いた群像劇。
困った時に感じるSNSのフォロワー5000人の価値とか、援交紛いのことをして収入を得ている自分の価値とか、自分には音楽しかとか、思いを断ち切る為の願掛けとか、写真家としての思いとか、東京に対する思いとか、家庭、失恋、生きること将来のこと等々、様々なところで自身やアイデンティティと向き合う若者達。
生きる意味?そんなもの求めてどうすんの!夢は寝ている時にみるもので、その為には、と考えて行動した時には目標って言おうよ!
承認、認識されなくたって、動けば音は発生してるよと、難しく考え過ぎて潰れたらしょうがないよと言いたくなる。
既にオッサンだし拘りもなく生きてきた自分は若い頃こんなに悩んだかなと、ふと振り返ってみたけれど…勿論何かしら迷ったり諦めたり痛かったりしたことは多々あった筈だけど、特にこれといって大きく引っ掛かったりしたものが思い浮かばない。案外そんなもんでしょ。
だけど、そんなことを考えさせてくれるむず痒さがなかなか良かった。
辞表じゃなくて退職届
満島ひかりのPVかと思う位美しい映像。
25歳過ぎたら魔法がとける。
嫌いな人といた方が楽。
・・・共感できる2つの台詞。
美しい映像の中で現実なのか非現実なのかわからなくなっていく。
今時、紙に連絡先書いて渡す人いるのか?
今時、家賃払って愛人囲ったりする人いるのか?
今時、自分の作品プリントしてスクラップしてる人いるのか?
今時、「お嫁さんになるから仕事どうでもいい。」って思ってる人いるのか?
・・・いるんだろうな。どこかに。世の中って広いし。
でも絶対絶対残念なのは「辞表」って書いちゃうところ。高慢な性格の設定だから書いちゃったとしても、だったら平仮名で「やめる!」でも良くないか?後、会社ってそうやってその日中に荷物まとめて出てくとか無理だから…って考えちゃって年取っちゃったなと落ち込み不完全燃焼。
でも赤羽圭(役名)の前向きな存在感に救われ、人ってつながってないようでつながってるんだなと、観賞後しばらく会ってない友達に連絡して安否確認した。元気だった…ここまでで完全燃焼。
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