「「おもてなしの国」が聞いて呆れるニッポンの腐った実情」東京クルド SGさんの映画レビュー(感想・評価)
「おもてなしの国」が聞いて呆れるニッポンの腐った実情
この作品が一人でも多くの日本人に届くことを心から願う。
だから初めて星5つを付けた。
まず知ることからしか事態は動かない。
「帰ればいいんだよ、他の国行ってよ」
働くことも滞在することも正式には認められない"仮放免"という立場に長年苦しむクルド人の若者に対して、嘲笑気味に吐き捨てた入管職員の言葉は、私たち日本人の無神経で無関心で無理解な実情を象徴しているようにも思えた。
やり場のない怒りと情けなさと恥ずかしさを覚えるシーンだ。
まずは知るべきだろう。
私たちと同じように日本で生まれ育ち、同じように日本語を話し、同じように夢や希望を抱きながらも、ひとりの人間としてのアイデンティティーを持つことすら許されず、就労や就学、移動の自由も与えられない人々がこの国にこれだけいることを。
自分と家族の将来を思い描くことも、いつ収監されるか分からない恐怖の前で閉ざされてしまっている人々の絶望感を。
「おもてなしの国」「安全で平和で優しくて美しい国」なんて聞いて呆れるニッポンという国の腐りきった実情を。
そのことを気づかせてくれた点で、この作品はどんな名作よりも価値がある。
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