「深いような深くない話」聖地X とうきさんの映画レビュー(感想・評価)
深いような深くない話
まずこれはホラーではありません。普段ホラーを一切観ないほうですが、これはホラー苦手の人にも安心で観れる内容です。
実に興味深い話ですが、メッセージ性も厳密性も足りないです。
封じられた井戸とか、大樹とか、こぼれた水とか、意味深な撮り方で何回も何回もそういうのを映るシーンあったが、結局あれは意味ないですね?雰囲気だけの伏線をたくさん敷いて、回収はあまりしていない、登場人物の行動を含めて全体的に色々不自然です。
輝夫が一回目で妹の夫に電話をかけた時、あんな不気味な出来事があるのに、何故すぐ本人かどうか確認しに行かなかっただろう?次の日を待つ必要性が全くありません。
そもそも妹さんは問題の店に行ってから、第二の夫は初めて作られたのに、その前に街中にまだ存在していない「夫」を見かけるはずがないです。もし彼女は何か不可思議の力にその店まで誘導されたとしたら、そういう描写も兄妹と店の関係性についての話もなかったです。単純に物語のロジック性を深く考えていないと思います。
一番筋が通らないと思ったのは、妹さんの記憶が薄くなると同時に作られた第三の夫はいつか消えるという話、そしてそうと思わせる終わり方ですが、そもそも第三の夫は家政婦さんが作られた「人」だから、妹さんと関係なくない?
一番重要な店のミステリーな部分は意外にあっさり解決したが、根本的な原因はオカルトのせいにして、でもそのオカルト現象の背景も深堀りもなかったので、最終的に何を伝えたいかわかりませんでした。そもそも「聖地」と何か関係があります?全部見終わっても「なるほど」と納得できる箇所はなかったです。
見方はお客さんまかせというですけど、ストーリー自体は結構明白な話でほかはオカルトまかせだから、考えさせる材料は本当はあまりないです。